日本に食糧難の時代は来るのか?

日本に食糧難の時代は来るのか?
リヨーコクシヨウジ株式会社
代表取締役社長 佐々木
優輔
弊社は豆腐や味噌などに使われる非遺伝子組換え
奪うという構図になっています。
大豆を中心に、食品メーカー様に食品原材料を提供
本当に日本に食糧難の時代が来るのでしょうか? 農
する事業を行っています。私が入社した1997年に、
アメ
業機械やトラックなどもエネルギーがないと動きません。
リカで遺伝子組換え大豆の商用栽培が開始されまし
シェールガス/オイルをはじめとした新エネルギーが伸
た。私の最初の仕事は、食品用に適した非遺伝子組
びることによってエネルギー問題が無くなるという前提
換え大豆品種を探し、遺伝子組換え大豆が混入しな
ではありますが、
アメリカで生産されているコーンの半
いような流通の仕組みを構築することでした。当時の
分近くがバイオエタノールに使用されており、
このような
遺伝子組換え大豆は、
ラウンドアップレディという除草剤
穀物のエネルギー利用をやめれば、食糧の高騰による
をかけても枯れない耐性を持っており、消費者よりも生
貧富の格差を縮小し、恒常的な食糧難が防げるので
産者にとってメリットがありました。
その後、遺伝子組換
はないかと思われます。一方で、
インドに目を向けてみ
え大豆は栄養成分が優れた品種、単位面積あたりの
ると、肉の消費量は多数を占めるヒンドゥー教の戒律も
収穫量が多い品種など、
消費者のメリットも考えて改良
あって今のところ中国の1/10ですが、戒律の緩みによ
されました。
り肉食化が進むと、牛肉1kgを作るのに穀物10kgの
品種改良や栽培条件の改善による単位面積あたり
消費が進み、
穀物需要の拡大が予想できます。
の収穫量増加と、人口増と肉食化による消費増大との
日本では、世界の異常気象が2年続けばいつでも各
均衡を取りながら、
世界の穀物生産量はこの20年で約
国の輸出禁止等により食糧危機にみまわれるとして食
1.5倍になりました。穀物の在庫が逼迫すると相場が上
料自給率が問題視されていますが、短期的視点では
がり、食糧難が危惧されます。かつてのシカゴ大豆相
備蓄の方が重要なのではないでしょうか。
場は、
大豆1ブッシェル
(27.2kg)
当たり5ドル程度でした
弊社にできることは大都市圏と離れた西日本にある
が、21世紀に入りアメリカでコーンをエタノールにしてガ
企業として、
日本各地の倉庫に在庫し、
わずかではあり
ソリンに混ぜるバイオエタノールが法制化され、燃料の
ますが備蓄の機能を果たすことです。
また、大都市圏
価格が穀物価格に影響を与える時代になると、10ドル
が災害にあった場合の食糧供給ができることも、我々
相場になりました。
お金がない国との貧富の格差による
の役割と考えています。今後も微力ながら社会貢献に
食糧問題が起こり、
アメリカの車がアフリカ人の食糧を
努めていきたいと思います。
ワイエムビジネスレポート 2015. 9月号 No.83
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