平成26年度 新産業創出研究会「研究成果報告書

平成26年度
新産業創出研究会「研究成果報告書」
「救急患者搬送時の病院前救護におけるハンズフリー「音声認識記録システム」実用化の研究」
[ 国立大学法人島根大学 ・ 教授 ] [ 仁科 雅良 ]
1. はじめに
下記を目的として進めた。
・救急患者搬送時の、救急救命士や救急隊員のハンズフリー、アイズフリーでの処置記録が可
能な「音声反応式記録システム」の開発と、実用化の研究
・現場や搬送中の処置記録の搬送先病院への情報通信によるリアルタイム情報共有、連携強化
2.概要
救急隊員,救急救命士は救急現場において、患者に対する確認事項,搬送先医療機関への連絡,
医師との会話,患者処置記録など多岐に渡っている。救急車の中で対応者は、ゴム手袋をはめて
の対応の為、端末の操作など手が塞がる仕組みは救急処置に専念し難く、また走行中に時間経過
や処置内容等の搬送記録を手書きし残すのは容易でない。一刻を争う救急現場での適正な対応は、
救急隊員や救急救命士はハンズフリーやアイズフリーが好ましく、煩わしい端末操作や記録メモ
等の手間からの開放による患者搬送の専念が求められる。患者対応で両手が塞がった状態におい
て、処置記録がデータ化され、搬送先の医師にリアルタイムに伝わり、それによって医師から適
正な指示が得られ、搬送先医療機関も的確な受入準備ができるシステムが要求される。これによ
り救命率の向上が期待できる。
現在、救急車(救急救命士等)と医療機関(医師)との連携、コミュニケーションの多くは音
声で行われている。この音声を利用し、ハンズフリーやアイズフリーが可能な「音声反応式記録
システム」の研究開発と製品開発により、これまでの課題解決を図る。
3.研究成果および今後の課題
スマートフォン(アンドロイド OS)のシステムを開発して救急士による検証を行った。
(成果)
・ 救急現場では、マイクの性能が認識率向上の鍵であり、装着性なども考慮すると、指向性の無線マ
イク(ブルーツース)が必須であった。
(現状で最適なマイクがあるが、プレス発表を控えており、
ここでは割愛する。)
・正確にマイク入力されれば、認識率については、問題ない。
・救急車内から搬送先病院への画像送信については、安全性あるいは技術面から十分に可能でること
を実証した。
(今後の課題)
・システム構成について
認識率については、問題ないが救急業務は、緊迫しており、いつも何かしゃべっている状況なので
マイク所持している救急士の不必要な声が入力されるので、次のように救急業務に合わせてシステム
を構成する必要がある。
救急業務には、大きく分けて 2 つの業務がある。
・心肺停止救急
最も緊迫した業務で、次のことをシステムでサポートする。
1. CPR 開始、薬剤投与、除細動の時間管理機能によるガイダンスする。
(最も評価の高い機能)
2. 心肺停止救急には、正確な時系列記録が必要なので、重要で必要な時系列記録する。
誤動作防止として、辞書数を出来るだけ少なく、長い文章にするなど工夫すれば更に機能が向上す
る。
・ 一般救急業務
心肺停止救急業務以外の救急業務で、次のことを主にシステムでサポートする。
1.業務記録は必要であるが、現在の手書きを、テキスト化して、病院に転送することを主な目
的とする。救急業務後の入力でも良いので、入力環境は、心肺停止救急業務より、良いが記録
内容は多種多様になる。市販されている電子カルテシステムで、患者の状況記録することも選
択肢としてある。
4.おわりに
救急患者搬送時の、救急救命士や救急隊員のハンズフリー、アイズフリーでの処置記録が可能な
「音声反応式記録システム」の開発と、実用化を目指した。救急医療は、緊迫した緊急性の高い
業務で、IT 機器の利用が最も難しい業務の分野の一つである。業務の遂行方法と IT 機器の利用
の最適化により一層、救急医療の質が高まる。
5.本研究の今後の計画
本格販売のシステムには、課題に述べたように、若干の工夫が必要であり、関心のある企業の参加も含
めて開発、実用化を進めることを検討する。
6.その他
(1)出願特許(タイトル・出願番号・発明者・特許権者など)
「救急医療における情報通信ネットワークシステム」
発明者:橋口尚幸、中村守彦、四郎丸功、増成博志
出願番号 2012-013088 号
(2)投稿論文(タイトル・学会名等)
該当無し
(3)本研究会の参加企業・団体名
テックシロシステム、山陰制御、出雲消防本部
オブザーバー:NTT ドコモ