時系列を考慮するクラスタリングを用いた ロボティックスワームの群れ

平成 27 年度 卒業論文概要
時系列を考慮するクラスタリングを用いた
ロボティックスワームの群れ行動解析
B103119 末永 仁
【背景と目的】
Swarm Robotics Systems(SRS) は比較的単純で均質な複数のロボットを使用して群れ行動を獲得する
システムである.SRS の群れ行動は,多数のロボットによる冗長性を持った複雑な振る舞いをするため,
明確な解析手法が確立されていない.そこで,我々の研究グループではクラスタリングによる解析を導入
し,SRS にて生成された群れ行動をネットワークに見立て,機能の構成単位の“ サブグループ ”として抽
出し,その解析を試みてきた.従来の解析方法では,過去のクラスタ構造を反映しない静的なクラスタリ
ングを扱ってきた.しかし,SRS の群れ行動は時間的に変化するネットワークであると考えられるため,
時間的な変化を考慮したクラスタリングが必要である.
本研究では,時間変化に対応するため近年注目されている“ Temporal Networks ”に着目する.その中
で,時系列を考慮したクラスタリングのフレームワークである“ FacetNet ”を用いて,時間変化に適応し
たサブグループの抽出を試みる.
【解析実験】
本研究では,SRS のタスクの一つである協調採餌問題におけるシミュレーション上の群れ行動を解析対
象とする.このタスクでは制限時間内に,より多くの餌を巣まで持ち帰ることを目的としている.環境に
は 40 台の同一の仕様の自律移動型ロボットと 3 個の餌,及び 6 個の障害物が配置されている.餌が巣に
運ばれた場合,新しい餌が環境中に出現する.制限時間は 5000 タイムステップとする.
SRS で得られたロボットの挙動を FacetNet によるクラスタリングを行い,クラスタリングに用いる類
似度にはロボット間の距離の逆数を使用し,各ロボットがサブグループに所属している確率を見る.
【結果と考察】
各ロボットごとの,一つのサブグループに所属する確率を表したものを Fig.1 に示す.図の横長の山が
生じている場所あり,ロボットが同じグループに連続して所属していることを表している.このことから,
時間的に一貫性を持ったサブグループの生成が確認できる.
28 20 10 1 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 time step
Fig. 1: Affiliation Probability of Robot
4000 4500 Robot ID
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