連続平面上における追跡問題への スワームロボティクスアプローチ

平成 26 年度 修士論文概要
連続平面上における追跡問題への
スワームロボティクスアプローチ
M136510 野村 冬星
[背景・目的]
スワームロボティクスシステム(Swarm Robotics System:SRS)は比較的均質か
つ単純な複数台のロボットを用い,局所的な知覚から,群行動の創発を目的とす
るシステムである.進化計算を用いてロボットの制御器を構築する手法は進化ロ
ボティクス(Evolutionary Robotics:ER)と呼ばれ,SRS 等の複雑な環境下におい
て,設計者の負担を軽減する効果があると期待される.SRS に制御器としてよく用
いられる人工神経回路網(Artificial Neural Network:ANN)に進化計算を適用し,
結合荷重値のみならず,構造も進化の対象に含める手法を構造進化型人工神経回路
網(Topology and Weight EANN:TWEANN)と呼ぶ.本研究では TWEANN に
よって SRS 用の制御器を構築することを目的とする.その際,構造進化の種類を
変えながら実験をし,各手法の比較を行う.
[実験設定]
TWEANN において,構造複雑化,構造単純化,複雑化-単純化混合手法の 3 種
類の手法で実験を行う.各手法について,5 試行,100 世代,50 個体で実験を行う.
複雑化と混合手法を用いた実験では,初期個体として入力層と出力層のフィード
フォワード 2 層構造を使用し,単純化では,複雑化と混合手法で得られた最良個体
を組み合わせた構造を初期構造とする.
[計算機実験]
SRS のタスクとして,10 台の Predator と 2 台の Prey が存在する追跡問題を取
り扱う(Fig.1).Predator にコントローラとして ANN を搭載し,これを進化計算
によって構築する.
[結果・考察]
各手法における最終世代の最良個体が獲得した,適
応度と構造サイズの平均を (Table.1) に示す.ここで,
構造サイズとは ANN のノード,リンク数の合計であ
る.構造複雑化のみを用いた手法に対し,構造単純
化や混合手法を用いた方が適応度,構造サイズとも
に良質な結果を示した.
Table. 1: Fitness calculation
Complexificy Simplificy
Fitness
1341.48
2117.55
StructuralSize
472.2
390.6
Blended
2105.99
390.4
Fig. 1: Pursuit Problem