「春の気象現象について」 気 象 ひとくちメモ

平成28年2月29日
熊 本 地 方 気 象 台
る
気 象 ひとくちメモ
「春の気象現象について」
2月4日の立春を過ぎると、季節は徐々に春に向かいます。春の気象現象といえば、東シナ海
低気圧(南岸低気圧)よる大雪、日本海低気圧による春一番、寒の戻り、遅霜、菜種梅雨、春霞(か
すみ)、黄砂等の様々な現象があります。今回は、これらの気象現象の要因について説明しま
す。
地球は1日に1回自ら回転(自転)しています。
また、1年かけて太陽のまわりを一周(公転)して
います。このとき、自転の軸は図1のように公転
する面に対して23.4度ほど傾いています。この
ため、地球が太陽を 1 周するときの位置によって
図 1 地球の自転と公転の関係
日光が射す方向(太陽高度)が変わることになり
ます。結果として地表の温まり方が変わるため季
節が生まれます。
北半球で最も太陽高度が低くなる日が冬至(1
2月22日ころ)で、反対に最も高くなる日が夏至
(6月21日ころ)になります。また、昼と夜の長さが
図2 熊本の旬別気温(平年値)
ほぼ等しくなる日が春分(3月21日ころ)、秋分(9
月23日ころ)です。これらは図1に示す位置関係
にあります。ところで、気温が年間で最も低くなるのは図2のように日射が最も少なくなる冬至のこ
ろではなく、すこし遅れて立春のころになります。
春の時期、気温は平年値で見ると図2のように立春を過ぎると右肩上がりに暖かくなります。し
かし、この時期はシベリアの冷たい空気の勢力がまだ強く、日本には温度差が大きい寒気と暖気
が交互にやってきます。このため、図3のように天気は周期的に変化し、暖かい空気がやってくる
ときには南岸低気圧よる大雪、日本海低気圧よる春一番、春霞など、冷たい空気がくるときには
寒の戻り、遅霜などの気象現象がときに見られます。また移動性高気圧に伴って黄砂もやってき
ます。このように寒気と暖気が周期的な交代が春の気象現象をもたらしているのです。
図3 天気の周期変化
(平成28年2月17から21日の9時の天気図)
ところで、よく三寒四温という言葉を聴きますが、これはもともと中国のことわざで、冬の時期の
天気は寒い日が3日ほど続くと、その後4日ほど暖かい日が続く、およそ7日周期で変化していた
ことから言われたようで冬の季語です。しかし、現在の日本では、本来の意味ではなく気候がだ
んだん暖かくなっていくという意味に使われているようです。
立春を過ぎたころは寒暖の変化が激しく、ときには、春一番や南岸低気圧による太平洋岸の大
雪など、激しい気象現象も発生します。最新の気象情報にご留意願います。
本件に関する問い合わせ先:熊本地方気象台
(096-352-0345)
※バックナンバーは熊本地方気象台ホームページに掲載しています。
(http://www.jma-net.go.jp/kumamoto/kishoumemo/kishoumemo.htm)