学生フォーミュラにおける車体周りの空力 解析事例 茨城大学学生フォーミュラ部 テクニカルディレクター 江口 勇仁 目次 1. 2. 3. 4. 学生フォーミュラの紹介 ウィングの必要性 エアロデバイスのコンセプト 車体周りの空力解析事例 全日本学生フォーミュラ大会 公益社団法人 自動車技術会(JSAE)主催 ~車づくりを題材としたものづくりの総合力を競う大会~ 学生が構想・設計・製作したフォーミュラスタイルのレーシングマシンによる競技会 エコパ(静岡県掛川市) 2014年度 第12回大会 日本・中国・タイなどから全90チームが参加 審査内容 静的審査 デザイン 150点 コスト 100点 動的審査 325点 プレゼン 75点 675点 加速性能 旋回性能 75点 50点 オートクロス 150点 + 車検(0点) 合計1000点満点で審査 エンデュ ランス 400点 動的競技 オートクロス・エンデュランス 平均車速50kph 87%以上がコーナー オートクロス映像 ウィングの必要性 平均車速約50kphで本当に効 果があるのか?必要なのか? ウィングの必要性 一般車との車両諸元の違い ホイールベース mm トレッド mm エンジンパワー ps タイヤ径 inch 車重 kg 学生フォーミュラ 1600 1200 80 13 240 圧倒的に軽い! 一般車 2400 1500 240 17 1250 ウィングの必要性 タイヤデータ 75kg 線形的な領域で使用している 荷重を上げることによるCFの損失が少ない! ウィングの必要性 R=9.0の定常円旋回におけるタイム感度 輪荷重増大 -0.00137s/kg ダウンフォース27kg 車重20kg増 重心高20mm上昇 重心高上昇 ・・・0.000109s/mm 重量増大 ・・・0.00021s/kg スキッドパッド1周当たり 0.22sのラップタイム向上 ウィングの必要性 過渡特性 エアロの荷重を加えてもCSが大き く線形領域を超えることはない CS (kg/deg) Nominal Load vs CS @14psi 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 IA = 0 IA = 1 IA = 2 IA = 3 IA = 4 過渡特性の悪化はほぼ 見られない ヨーレート応答シミュレーショ ン結果 多項式 (IA = 0) 0 30 60 90 120 150 180 8 Nominal Load (kg) 7 yaw rate[deg/s] 6 ヨーレート立ち上がりの向上 5 4 エアロあり 3 エアロなし 2 1 0 0.5 0.52 0.54 0.56 Time[s] 0.58 0.6 エアロコンセプト レギュレーション変更 リアウィングの高 さ、幅の制限 フロントウィング の高さ制限 約20%のダウンフォース減が予測される エアロコンセプト 車体の動き(ロール・ピッチ・ヨー)が大きい。。。 姿勢変化に強くないといけない エアロコンセプト マシンコンセプト Fastest with Ease ・・・誰もが速く走れる車を目指す エアロコンセプト ダウンフォース・空力中心の安定化 目標値 DF@40kph 35kgf Load distribution 50:50 Weight 15kg 解析条件 • 3Dハーフモデル解析 • 約280万メッシュ • ポリヘドラルメッシュ • K-ω乱流 • 40kph • 流体領域:4m×6m×10m フロントウィング • • • • 2エレメント 3次元ウィング スリット入り翼端板 バネ下マウント フロントウィング 翼端の負圧保護のた め翼端のみ地上とのク リアランスを確保 翼下面への空気の 補填として翼端板に スリット追加 フロントウィング 33.8% DF増加 アンダーフロア バネ上マウントのため姿勢変化によりグラウンドクリアラ ンスが変化する 姿勢変化に強いアンダーフロアを創るには。。。? アンダーフロア 単体モデルで姿勢変化したときの挙動を解析 ロール時の挙動 60 Downforce(N) 50 40 30 Downforce(N) ロール Downforce(N) ロールなし 20 10 0 20 40 60 80 Initial ground height(mm) イニシャル地上高の変化による通常時・ロール時 のダウンフォースの変化はほとんど見られない アンダーフロア ディフューザー前後位置を変化させた時のピッチング解析 ピッチ変化なし 1.8degピッチ(ブレーキング時) ディフューザ位置 0mm 流れ方向 ディフューザ位置 800mm ディフューザーの位置でピッチングし たときの挙動は大きく変わる アンダーフロア 350 70 300 Movement of CoP(mm) 80 Downforce(N) 60 50 40 30 ピッチなし ピッチ有 20 250 200 150 100 10 50 0 0 0 200 400 600 Position of Diffuzer(mm) 800 ディフューザ位置が車両中心 から後方に行くほどピッチ時の DFは増加しづらくなる 0 200 400 600 Position of Diffuzer(mm) 800 ディフューザ位置が後方に行くほ どピッチ時の空力中心位置の移 動量が大きい ディフューザ位置(負圧中心位置)は極力車両 中心付近へ アンダーフロア 車両中心付近に 負圧中心を配置 フロントウィングのアッ プウォッシュに対応す るためサイドにトンネル 状ディフューザを設置 アンダーフロア ディフューザにスリットを配置することで縦渦を生成 15%のDF増加 アンダーフロア ディフューザを 追加 負圧の増加 12%のDF増加 リアウィング • 3エレメント • 2次元ウィング • バネしたマウント リアウィング サージタンク、ドライバーヘ ルメットなどの障害物 最大高さ1200 mm以下制限 フロントウィングの アップウォッシュ 限られたスペースの中で如何にフレッシュエアを翼下面に集めら れるかがカギとなる リアウィング 限られたスペースで効率的にDF を稼ぐためスラットを採用 翼下面流速、負圧の増加 リアウィング スラットなし スラットあり 15.5%のDF増加 リアウィング 翼の支持をロッドではなく翼端板を直接固定に変更 4%のDF損失を排除 最終仕様 DF@40kph Load distribution Movement of CoP(pitching) 35.3kgf 59:41 14mm 完 ご清聴ありがとうございました。
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