C-11 大気圧でのプラズマ重合によるPTFEのめっき技術

C-11
大気圧でのプラズマ重合によるPTFEのめっき技術
化学環境部 繊維応用系
○田原 充
機械金属部 金属材料系
出水 敬
機械金属部 金属表面処理系 中出卓男
大阪府立大学
大久保雅章
はじめに
フッ素樹脂は現在、金属ナトリウムを用いた処理によって接着性を付与しているが、この方法は環境負荷が
大きく、危険も伴うため、我々はプラズマを用いて親水性ポリマーをフッ素樹脂表面にグラフト重合するこ
とを検討してきた。従来、プラズマ重合は減圧したチャンバー内で行う必要があったが、我々はさらに、吹
き出しコロナを用いて大気圧でのプラズマ重合を試みた。この方法は取り扱いが格段に容易なため、片面親
水性のフッ素樹脂はライニングに限らず、新しい多くの分野で利用される可能性がある。ここではフッ素樹
脂へのめっきの応用について検討した。
図1 大気圧プラズマ重合装置
対向電極間にアルゴンガス導入
しプラズマ化したガスをモノマー
蒸気中のPTFEに吹き付けてプラズ
マ重合を行った
Load (N/mm)
1
0.5
0
0
5
10
Polymerization Time (min)
図3 プラズマ重合時間を変化さ
せたときの銅めっきの密着性
図2 銅めっきしたPTFEのSEM写真
(a)未処理PTFE (b)プラズマ重合したPTFE
まとめ
金属ナトリウム処理は処理むらが大きく、また、PTFE表面が褐色となりかつ非常に荒くなるため、均一で微細な処理が必要とされる
ものには用いることができなかった。プラズマ重合では平滑で透明な処理が可能となり、微細加工や光学分野での応用が考えられる。
ここではその一つの応用例としてプラズマ重合したPTFEに銅めっきを行ったところ、良好な密着性が得られた。PTFEのプラズマ重合に
よる表面改質は、プリント基板やギガヘルツ域の高周波アンテナなどの分野への応用が期待できる。