植草一秀の『知られざる真実』 2015 年 10 月 5 日 (月) 大筋合意TPPの安倍政権、政権公約違反は明白 米 国 のアトランタで開 かれているTPP交 渉 閣 僚 級 会 合 で大 筋 合 意 が成 立 した模 様 である。 自 動 車 の原 産 地 規 則 医 薬 品 のデータ保 護 期 間 乳製品輸入枠拡大 の三 点 が論 点 として残 されていたが、妥 協 が成 立 し、TPPが大 筋 で合 意 に達 したものである。 合 意 成 立 後 、各 国 が批 准 手 続 きを実 行 し、調 印 に至 ればTPPが発 効 す る。 日 本 では、2012年 12月 総 選 挙 に際 して、安 倍 晋 三 自 民 党 が主 権 者 に 6項 目 の公 約 を明 示 した。 http://goo.gl/Hk4Alg わが党 は、TPP交 渉 参 加 の判 断 基 準 を明 確 に示 します。 <TPP交 渉 参 加 の判 断 基 準 > 1 政 府 が、「聖 域 なき関 税 撤 廃 」を前 提 にする限 り、交 渉 参 加 に反 対 する。 2 自 由 貿 易 の理 念 に反 する自 動 車 等 の工 業 製 品 の数 値 目 標 は受 け入 れ ない。 3 国 民 皆 保 険 制 度 を守 る。 4 食 の安 全 安 心 の基 準 を守 る。 5 国 の主 権 を損 なうようなISD条 項 は合 意 しない。 6 政 府 調 達 ・金 融 サービス等 は、わが国 の特 性 を踏 まえる。 これが自 民 党 が主 権 者 に明 示 した公 約 である。 1 このなかで、もっとも重 大 な問 題 がISD条 項 である。 ISD条 項 は、「国 の主 権 を損 なう」ものであるから、自 民 党 は「ISD条 項 に 合 意 しない」ことを公 約 として明 示 した。 今 回 大 筋 合 意 に達 したTPPにISD条 項 が盛 り込 まれているなら、日 本 は TPPには参 加 しないということになる。 ところが、現 実 には、TPPにISD条 項 が盛 り込 まれている。したがって、日 本 はTPPに参 加 できない。 閣 僚 級 会 合 で大 筋 合 意 が成 立 したとしても、日 本 のTPP参 加 はない。こ れが当 然 の結 論 である。 「食 の安 心 ・安 全 」や「国 民 皆 保 険 制 度 」なども、6項 目 の公 約 に明 示 され ているが、ISD条 項 が盛 り込 まれると、これらの公 約 を守 ることも不 可 能 にな る。 外 国 資 本 が、遺 伝 子 組 換 の表 示 義 務 によって損 害 を蒙 ったとしてISD条 項 を発 動 し、裁 定 機 関 が外 国 資 本 の主 張 を認 めると、「食 の安 心 ・安 全 」を 守 ることはできなくなる。 医 薬 品 や医 療 機 器 などの価 格 規 制 に対 しても、外 国 資 本 がISD条 項 を 発 動 する可 能 性 が高 い。 日 本 の医 療 費 価 格 が跳 ね上 がれば、公 的 医 療 保 険 で国 民 医 療 を賄 うこ とができなくなる。 医 療 は公 的 医 療 保 険 医 療 と民 間 医 療 保 険 医 療 の二 本 立 てに移 行 する ことになる。 このことは、高 い保 険 料 支 払 いを必 要 とする民 間 医 療 保 険 加 入 者 は十 分 な医 療 を受 けられるが、公 的 医 療 保 険 医 療 しか受 けることのできない一 般 庶 民 は十 分 な医 療 を受 けることができなくなることを意 味 する。 また、TPP交 渉 の内 容 はベールに覆 われており、主 権 者 の「知 る権 利 」も 侵 害 されている。 主 権 者 はすでに、「TPP交 渉 差 止 ・違 憲 訴 訟 」 http://tpphantai.com/ を提 起 し、私 も原 告 団 に加 わっているが、憲 法 違 反 で、かつ、国 民 生 活 を 2 根 底 から破 壊 するTPPに日 本 は参 加 してはならない。 日 本 のTPP参 加 には、国 会 の批 准 が必 要 であり、これを阻 止 するため に、まずは、2016年 夏 の参 院 選 で、TPP反 対 勢 力 が参 議 院 過 半 数 を占 有 する状 況 を生 み出 さなければならない。 オールジャパンの闘 いの対 象 は、まずは、 戦 争 法 、原 発 稼 働 、TPPの三 つである。 https://www.alljapan25.com/ TPPは誰 かが得 をして、誰 かが損 をする枠 組 みである。損 をするのは日 本 である。 米 国 資 本 は日 本 における収 奪 を拡 大 するためにTPPを推 進 している。 もともと、日 本 が入 らなければTPPを推 進 する理 由 はなかったのだ。 3
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