南アジアのアパレル産業に関する報告発表

業界ニュース 2016.5.10
☆ 南アジア
繊維景況
世界銀行、南アジアのアパレル産業に関する報告発表
このほど世 界 銀 行 は「Stitches to Riches? : Apparel Employment, Trade,
and Economic Development in South Asia」(南 アジアのアパレル産 業 の雇
用 情 勢 、貿 易 、経 済 発 展 について)」と称 するレポートを発 表 した。この報
告 書 は、中 国 の人 件 費 の高 騰 や雇 用 環 境 の変 化 と、南 アジアの賃 金 によ
る影 響 を推 計 し、労 働 集 約 的 なアパレル産 業 の南 アジアにおける輸 出 拡
大 、雇 用 拡 大 ・改 善 に関 する可 能 性 を調 査 している。本 書 の主 なポイント
は以 下 の通 り。
• 発 展 途 上 国 は生 活 水 準 の向 上 と貧 困 削 減 を模 索 しており、こうした国 々
は、発 展 に適 した雇 用 創 出 に政 策 の舵 を切 っている。南 アジア地 域 にと
って、今 後 30 年 間 で労 働 市 場 に毎 月 参 入 してくる 100 万 人 近 い労 働 力
を吸 収 することを考 慮 すると、これは最 も優 先 順 位 が高 い課 題 である。し
かし、女 性 の労 働 参 加 率 は依 然 として低 い数 字 (30%)だ。
• 南 アジアで長 期 間 にわたって重 要 な産 業 であった輸 出 志 向 のアパレル
産 業 は、技 術 要 件 は比 較 的 低 く、貧 困 層 に対 する雇 用 機 会 の創 出 先 と
なっている。また同 産 業 は女 性 労 働 者 をひきつける特 徴 も備 えており、ア
パレル産 業 の女 性 労 働 者 の数 は、近 隣 のほぼすべての国 々において他
産 業 の女 性 労 働 者 数 を遥 かに上 回 る。
• バングラデシュ、インド、パキスタン、スリランカではすでにアパレル輸 出 が
重 要 な位 置 づけである。例 えば 2012 年 、バングラデシュの総 輸 出 のうち
83%、スリランカの総 輸 出 の 45%をアパレル製 品 が占 めている。南 アジア
のアパレル産 業 の雇 用 における女 性 比 率 は他 産 業 より高 く、パキスタン
の 5%からスリランカでは 71%となっている。
• 中 国 は現 在 、世 界 のアパレル輸 出 で最 大 であるが、今 後 数 年 間 でこの
状 況 も変 化 する可 能 性 がある。また、中 国 でのコスト上 昇 により投 資 家 は
カンボジア、ベトナムなどへの投 資 を転 換 し始 めている。中 国 の輸 出 減 は
南 アジアにとっては大 きな商 機 である。
• 調 査 結 果 では、東 南 アジア諸 国 (カンボジア、インドネシア、ベトナム)は
アパレル輸 出 全 般 の競 争 力 、製 品 の多 様 性 、世 界 的 なバイヤーにとっ
ての調 達 先 としては、南 アジア諸 国 (バングラデシュ、インド、パキスタン、
スリランカ)を上 回 っている。
• 調 査 結 果 では、中 国 でアパレル製 品 のコストが 10%上 昇 すると、対 米 ア
パレル輸 出 は、東 南 アジア諸 国 が 37~51%、南 アジア諸 国 が 13~25%
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上 昇 する可 能 性 がある。また、中 国 でアパレル製 品 のコストが 10%上 昇
すると、インドでは 120 万 人 の雇 用 創 出 の可 能 性 がある。
• 南 アジア諸 国 のアパレル産 業 は、大 きな可 能 性 がある。例 えば、バングラ
デシュとパキスタンは米 国 市 場 への輸 出 産 業 に関 する雇 用 が上 昇 する
可 能 性 が最 も高 く、スリランカは EU 市 場 に対 する雇 用 率 上 昇 の可 能 性
が高 い。
☆欧
州
不 織 布
欧州不織布生産、233 万㌧ --- 2015 年
EDANA(欧 州 不 織 布 協 会 )は、欧 州 の不 織 布 および関 連 製 品 の統 計 集 2015
年 版 を発 行 した。
域 内 の不 織 布 生 産 量 は 232 万 9,000 ㌧で、経 済 成 長 が緩 やかであったのにも
関 わらず、前 年 比 3.6%増 となった。EU の増 加 はわずかであったが、トルコなど
いくつかの国 では強 い成 長 が見 られた。トルコ等 は、二 桁 成 長 を続 けている。
製 法 別 にみると、乾 式 、湿 式 、エアレイが 3.1%増 であった一 方 、スパンメルトは
4.3%増 で高 い成 長 を示 した。ドライレイド水 流 交 絡 法 も 7.0%増 加 と大 きな伸
びとなった。
最 終 用 途 別 では、依 然 として衛 材 が 31%の最 大 シェアを占 めており、717,200
㌧が出 荷 された。また、2015 年 に最 も顕 著 な伸 びが見 られた分 野 は、自 動 車
(+9%)、農 業 (+11%)、ワイパー(+11%)、飲 食 関 係 (+12%)、フィルター
(+17%)であった。一 方 で、芯 材 やコーティング基 材 、建 築 分 野 は大 幅 な減 少
となった。
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