2015年 神奈川県公立高校共通選抜試験総括 名学館 EXCEL 教務部

2015年 神奈川県公立高校共通選抜試験総括
名学館 EXCEL 教務部
2015年2月16日(月)に行われました神奈川県公立高校共通選抜試験の問題につ
いて簡単ではありますが文章にさせていただきました。特に今後受験をされる皆さん
にはどのように入試が変化しどのように対応していくべきか、ご一読頂き参考にして
いただければと思います
英語 出題のねらい
中学校で学習する英語の内容について、基本的な英語の力を中心に、英語のコミ
ュニケーション能力をみることを主なねらいとした。
具体的には、音声による英語を理解する力、単語を正しく書く力、文構造や語法を
理解する力、日常生活の場面に応じてふさわしい内容を考え表現する力、資料 から
情報を整理して表現する力、英文から情報を正確に読み取る力、英文を論理的に構
成する力、まとまりのある文章の概要や要点をとらえ内容を理解する力に ついて、
基本的な力と応用的な力を総合的にみることができるように出題した。
分析
◆「読み、書き」能力が問われ難化
昨年と比べ、リスニングを含む大問9題であることは変わりませんが、文法問題の
配点が増え、長文問題での配点が減り、全体として小問数が1題増えました。英文記
述問題や完全解答を要求する設問が増え、全体的に難しくなった。教科書の表現を
身に付け、それらを使った英作文の練習をはじめ英文記述する機会を増やす学習が
必要になります。
問1リスニング
(ウ)の問題は日本語の記述から英文の記述問題に変更になりました。解答するため
に必要な情報を、あらかじめ問題文をしっかり読み対応しなければなりません。
問2適語補充
昨年より1題増加。昨年まであった日本語訳がなくなったため、前後の英文から空
欄の単語を推測しなければなりません。また、foreign、receive などつづりを間違いや
すい単語が出されたこともあり問題集などで出題される単語など学校の単語テストに
こだわらず学習しなければなりません。
問3 適語選択 問4 語順整序
問3の難易度は例年通りです、語形変化のルールをしっかり学習していれば問題な
いでしょう 問4の語順整序の形式は昨年同様。現在完了、間接疑問など頻出の文
法事項が多く、難度はそれほど高いものではありません。記述問題のことも考慮し問
題演習の際には英文を書く習慣を身に着けましょう
問5 英作文。問6絵の内容を表す英作文
1題増加し(イ)は受験生が設問に合う英文を自由に考え記述する問題で、これまで
ではあまり見られなかった形式になっています。基本文などを記述できるようにして条
件に合う文法を判断する訓練をしたほうが良いです。問6は昨年よりも最少語数が増
加したため、難易度は上がりました。
問7 図表を多用した長文問題。
設問が1題減ったが、文章内容との正誤問題が完全解答であるため、得点するには
内容を早く正確に読み取り理解する力が必要で普段より英文を見て読みきる力が必
要です。
問8 表やグラフ、英文についての問題。
昨年より1題減りましたが、語数や資料の分量は変わりませんが、多くの受験生は得
点源にしているため時間を要したと思われます。全体の時間配分などしっかり意識で
きるようにしてください。
問9 対話文の読解。
文章量は昨年より増加したため時間配分などに配慮が必要です。空欄補充の問題で
は前後のつながりから適切な表現を選ばなければいけないため内容を正確に把握し
ながら読み進める必要があります。
国語 出題のねらい
中学校までに学習する国語の内容について、古文、文学的な文章、論理的な文章、
韻文などを素材として、基本的な国語の力を中心にみることを主なねらいとした。
具体的には、文章全体の流れを理解し、文脈の中における語句の意味をとらえる
力や表現上の工夫に注意する力、登場人物の描写や言動の意味などを考え、内容
を理解する力、文章を目的や必要に応じて要約したり要旨を的確にとらえたりする力、
文章の構成や展開、表現の仕方を正確にとらえる力、目的に応じ必要な情報を読み
取る力、伝えたい事実や事柄を適切に表現する力などが必要とされています。
◆問題を多く解き演習に慣れることが重要
出題ジャンル、問題形式、難易度ともに昨年とほぼ変化はありません。問四の記述
問題において、字数が倍増した以外は若干、難易度は下がった。文章は、全てのジャ
ンルで教訓的な内容を扱うものに変わった。
問一 知識問題
漢字の読みは漢検準2級程度ができれば問題ありません、書き取りは5級程度まで
が出題されていました。文章内の助詞の識別、俳句・短歌の鑑賞問題も昨年と同様
の形式で俳句の鑑賞文では、若干解釈が^難しかったかと思われます。
問二
出典は江戸時代に書かれた文章で補助訳が増えたため、内容的に読み取りやすい
ものになりました。設問は、判断に迷うものが少ないため、文章内容が理解できれば
容易に解けるものだった。
問三 文学的文章の読解
心情が直接的に表現されているものが多く、読み取りやすいものだった。設問では、
文脈の中における語句の意味をとらえる力が必要な問題が多かった。記述問題は、
問題文にあるキーワードに注目できたかがポイント。主題・文章の特徴をとらえる問
題は出題されなかった。
問四の論説文は、抽象的な内容を扱う文章になり。例年に比べて具体例が少ない
こともあり筆者の意見を適切に読み取るのという点では難易度があがりました。
設問では、(エ)の書き抜き問題が。「理由を端的に表した語句」を書き抜くという抽
象度の高い発問内容だったため最も難しい問題だったと思われます。(オ)の条件作
文は、「百字以上 百十字以内」と、字数が大幅に増えましたが、書き出し、結びの条
件語句に似た表現が文章中にあるため、それほど難しいものではなかった。字数の
多さに戸惑うことなく、チャレンジすれば解ける可能性は十分と思われます。
問五 資料読み取り作文
昨年より難易度が下がった。(イ)の記述問題は、適切に情報を読み取り、読み取った
情報にあてはまる内容を本文中に探すことで、答えは一つに絞られるため、これらの
作業をいかに素早くできるかがポイントになりました。
数学 出題のねらい
中学校までに学習する数学の内容について、基本的な数学の力を中心に、計算の
技能、事象を数理的に考察し表現する力、数学的な見方や考え方など、総合的な力
をみることを主なねらいとなっていました。
具体的には、数と式の計算技能、関数とそのグラフについての基本的な概念の理
解、収集した資料を整理する力、問題を正しく把握し方程式で表現する力及び方程式
を活用する力、図形の計量についての力、図形について論理的に表現する力をみる
ことができるように出題されていました。
分析
◆資料活用から初出題
全体構成および設問数、配点は昨年度と同様であったが、出題単元に変化が見ら
れた。
問1、問2は、基本的な計算力と幅広い単元の基礎力を問う設問
計12問出題され、配点は44点。中3で学習する範囲を中心に、各単元の典型的な
問題が出題されている。問4における出題単元の変化の影響か、問2で確率が出題
されたのは共通入試では初めてで多くの受験生がとまどったかもしれません。
問3、関数の問題。
(ア)(イ)は出題形式・難度ともに例年並みでした。(ウ)の四角形の面積を2等分する
直線の式から座標を求める問題は、“四角形が平行 四辺形であることを見つけ、面
積を2等分する条件から通る点を求め、直線の式を決定した上で交点の座標を求め
ていく”といったやや難度の高い問題でした。
問4は、「資料の活用」に関する問題
例年の確率にから変更し初めての出題であり、ヒストグラムや度数分布表を正確に
読み取り、 中央値・最頻値といった用語の意味を正確に理解した上で取り組まなけ
ればならない点からも、戸惑った受験生は少なくないと思われる。また学校でも定期
試験の範囲になりにくい側面もあり自宅学習、過去問学習中心の受験生は一層戸惑
ったかもしれません。
問5 2次方程式を用いた、割合に関する文章題。
(イ)は、2段階で割り増しすることから方程式を立て、途中経過を記述しながら答えを
導かなければならず、私立入試などでよく見られる難度の高い問題でした。
問6 円錐(えんすい)を用いた立体に関する問題。
体積を求める(ア)、2点間の距離を求める(イ)は、過去にもよく出題された問題でし
たが、 立体の表面を通る最短距離を求める(ウ)は出題形式自体は過去の共通入
試でもよく見られましたが、補助線を加えて相似な二等辺三角形を作り解いていくの
で、かなり難易度が高い問題といえたでしょう。
問7 円の性質を利用して三角形の相似を証明する記述問題
証明する二つの項目が、2段階の手順を踏まなければならないために、記述量は昨
年よりも増えました。
理科 出題のねらい
中学校までに学習する理科の内容について、基本的な力を幅広くみることを主なね
らいとし、第1分野、第2分野のどちらの分野にも偏らないように出題されていました。
具体的には、科学的な知識や概念の理解と活用する力また科学的な見方や考え
方をみることができるように出題されていた。また、観察・実験に関しては、目的を考
えて実験を設定する力や観察・実験から得られた結果をしっかり分析し解釈する力、
導き出した考えを表現する力をみれるように出題されていました。
分析
◆難度の高い複合問題が出題
物理、化学、生物、地学から25点ずつ均等に出題された。大問8題の構成は例年
通りでした。神奈川の理科は昨年、大幅に難しくなりましたが、今年も基本事項を問う
問題もあったが、思考力・表現力を総合的に問う問題や数学的知識を複合させる問
題が引き続き多く出題されており、単なる暗記では対応できず、高い難易度であった
と言えます。
また複合的な知識を要求され、そのすべてが正確に分かっていないと答えを選べな
い問題が多く出題され、1問1答形式の練習のみで正答を選ぶのは難しいとされます
が1問1答をしっかり理解していないといけません。今後も同様の形式の問題が出題
されることが予想されるため実験や観察の目的をより明確にして日々の学習に取り
組むようにしてください。
問1問2問3問4 小問集合
問1の(エ)では相似を利用して焦点距離を求めるという数学的思考を含む問題であ
ったため、難易度は高かったといえます。
問5電流が磁界から力を受ける問題
(ウ)の記述問題は、「磁界の向きを逆にする」だけでなく、「流れる電流の大きさを大
きくする」という点についても触れてそれを35字以内にまとめるられるかがポイントで
した。
問6 酸とアルカリの中和に関する問題 問7 遺伝の規則性の問題。
ともに実験が複数あり、問題の文章が長いため、内容を整理する力が必要とされ、難
易度は高かったと思われます。
問8 火山
正解を導く条件を読み取る必要があり残り時間等からも冷静に読み取らなければな
りません。
社会 出題のねらい
中学校までに学習する社会の内容について、基本的な力を幅広くみることを主なね
らいとし、地理的分野、歴史的分野、公民的分野のどの分野にも偏らないよう出題さ
れていました。
具体的には、地理的分野では、世界や日本の地域構成等についての基本的な知
識や技能などを、歴史的分野では、古代から近現代までの日本の歴史の大きな流れ
と各時代の特色に関する基本的な知識や資料を活用する力などを、公民的分野では、
現代社会の特色、日本の政治・経済、国際社会についての基本的な知識など をみ
ることができるように出題した。また、複数の資料から必要な情報を読み取って、思
考・判断し、その結果を文章で表現するなど、総合的な力をみることが できるように
出題されていました。
分析
◆速く正確に情報処理
各分野とも、資料を読んで答えさせる形式が基本で問題の分量が多いのも特徴で
した。また設問数だけでなく、読み取るべき設問文・資料・選択肢の文の分量が多い
問題でした。さらに完全解答で得点になる完答形式の問題が7問出題されていました。
記述問題も3題出題されていて速く正確な情報処理能力が求められていました。
地理的分野
3分野の中で、難易度が最も高い問題でした。計算問題、地形図の読み取り、地
図作図の問題が毎年出題されています。地図作図の問題は計算力も必要で、多くの
受験生が時間を要する問題でした。日本地理の分野では、例年地域に関する問題が
出題されているが、地域についての知識がなくても、基礎知識と設問条件を合わせて
考えれば解答できる問題でした。
歴史的分野
例年通り原始~近世では、カードに写真資料と説明が載っている問題がされていま
した。また、近代~現代ではテーマ史が出題され全体的に、1問1答的な設問が減り、
応用力を必要とする問題が増えました。
公民的分野
現代社会の幅広い問題が取り上げられていて、設問も資料を基に考察させるが多く
資料にしっかり目を通せば解答が出やすい。また例年通り国際問題・環境問題が出
題されていました。
全体の総括
今年度の問題も昨年同様形式などに多くの変化が見られました。そこで
①「入試は変わる」としっかり意識して冷静に問題に対応できる力を身につける。
定期試験の直前以外は普段より範囲や傾向などにこだわらない学習方法をすること
など入試を意識した学習もしていきましょう。
②手間を惜しまず「読む」「書く」習慣を
ノートをしっかり使い答えを記述する訓練や丸付けの際にも正答をしっかり記述する
などしましょう。全体的に手間を要する問題が多く普段より手間を惜しまない学習をし
ていきスピードをつけていかないと時間内に終わらない可能性もあります。
③模擬試験などへの積極的な参加
本番同様の問題に数多く触れることで毎日の過ごし方試験慣れによる冷静さを身に
付けましょう
④「これだけやれば大丈夫」は傾向の変化に対応できない第1歩ということを認識しま
しょう。
「傾向は変わるもの」「問題は難しくなるのも」と常に最悪のケースに備え毎日を過ご
しましょう。今後大学入試も難化が予想されている中で第1志望合格を勝ち取るため
に理想は「何があっても大丈夫」という精神状態にしておきましょう。