重力波観測に向けたレーザー強度安定化装置の開発

重力波観測に向けたレーザー強度安定化装置の開発
加川智大
第二世代型重力波望遠鏡の開発が米国、欧州で進められるなか、日本でも神
岡鉱山の地下に大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)の建設を行なっており、重力
波の直接観測の実現が期待されている。重力波の試験観測が行われるinitialKAGRA(iKAGRA)は2016年3月に完成予定であり、次いで本格的な観測運転
が始まるbaseline-KAGRA(bKAGRA)は2017年度中の完成予定である。
KAGRAではレーザー干渉計の原理を用いて重力波観測を試みており、重力
波観測の実現にはレーザー光源や地面の振動等の雑音を極力低減する必要があ
る。約200Wの高出力レーザーを用いるbKAGRAではレーザーの強度揺らぎに
よる輻射圧が鏡を揺らす雑音が無視出来ないため、本研究では音響光学変調器
の相対強度雑音を30Hzにおいて
2.4×10-6 Hz-1/2 から7.0×10-8 Hz-1/2
まで安定化している。図1に現
状の安定度を示す。上記の
bKAGRAの要求を達成するには
さらに約35倍の安定化が必要で
あり、更なる安定化を試みてい
る。本講演ではその現状につい
て報告する。
Relative intensity noise [/Hz1/2]
(AOM)を用いたレーザー強度安定化のシステムを構築し、レーザー強度の安定
化を行っている。
bKAGRAの目標感度(1年間に10回の観測)を達成するためには、レーザーの
相対強度雑音を最も要求の厳しい周波数帯20~30Hz帯で2×10-9 Hz-1/2 まで安定
化することが要求される。
0.0001
本研究では現在、光検出器に
13.7mWレーザーを入射させた際
1e-05
↓安定化前の相対強度雑音
1e-06
1e-07
↑安定化後の相対強度雑音
1e-08
10
100
1000
Frequency [Hz]
図 1: レーザーの相対強度雑音
10000