他波長での重力波観測の可能性 重力波研究会 @京大基研 2003年1月30日 川村 静児 (国立天文台) 内容 1. 100MHz重力波検出器について 2. DECIGOについて 3. まとめ 超高周波重力波検出器 • 予測される重力波信号は小さい • アーム長が長いと信号がキャンセルするた めアーム長を伸ばせない ー 感度が悪い • きびしい! • あまり誰もやっていない Synchronous Recycling 重力波の周期 = 4×アーム長 (1mのアーム長に対して75MHz の重力波) 重力波信号はシンクロナス的に 増幅される 遅 遅 速 速 速 遅 速 遅 ビーム スプリッター レーザー 感度(1) • 1Wのレーザーで変位ショットノイズは 10-16 m/rHz • 共振器のフィネス105は可能 • 変位感度:10-21 m/rHz • ストレイン感度:10-21 1/rHz • バンド幅:1kHz 2台の出力の相関 干渉計 A 1kHz BPF 2台上下に重ねる (距離:~20cm) 干渉計 B 1kHz BPF 積分 感度(2) • 信号は積分時間に比例して増える • 無相関の雑音はバンド幅(1kHz)の逆数(1msec) 程度より長く積分しても積分時間のルートでしか 増えない • 1年間(3×107sec)積分すると • 信号雑音比の改善: √(3×107/10-3)=1.7×105 • 感度:6×10-27 1/rHz • バンド幅:1kHz 検討項目 • 理論 - この感度で見つかるソースはあるか? - 見つからなくても有為なアッパーリミットは出せるか? • 実験 - 他の雑音の見積もり - Signal Recyclingとの比較 - 干渉計の動作方法(信号取得など) DECIGOとは何か? Deci-hertz Interferometer Gravitational Wave Observatory 短距離型スペース重力波アンテナ 10-18 ストレイン [Hz-1/2] LISA 10-20 DECIGO 10-22 10-24 LCGT (感度:任意) 10-4 10-2 100 102 周波数 [Hz] 104 周波数ギャップを埋めることの 重要性 新しい窓は新しい物理を生む! LISAの帯域から出て行った連星からの重力波 の検出 地上干渉計の帯域に入る前の連星からの重力 波の検出 宇宙初期からの重力波 全く新しい重力波源 全く新しい物理 アーム長と感度の関係 ストレイン [Hz-1/2] 10-18 100 f-2 LISA 10-19 10-20 10-21 力の雑音: XFN/L∝1/L f1 DECIGO f0 f0:1/L f0 アーム長:(1/100)LISA LISAと同じ技術レベル 100 ショットノイズ (f<f0): XSN/L∝P-1/2/L∝(L-2) -1/2/L=L/L 10-4 10-2 100 周波数 [Hz] 102 DECIGOの感度 ストレイン [Hz-1/2] 10-18 10-20 DECIGO (LISAの技術レベル L=5×107m) LISA LCGT 10-22 DECIGO究極の感度1000 10-24 DECIGO究極の感度 (量子雑音のみ M=100kg, L=5×108m) 10-26 10-4 10-2 100 周波数 [Hz] 102 104 DECIGOの有利な点 0.1Hz付近には重力波雑音がない Extragalactic WD-WD 10-10 Extragalactic NS-NS WDWD LISA 1yr 10-16 10-13 By A. Vecchio 宇宙の膨張加速度の直接計測 膨張 +加速? DECIGO 重力波 連星中性子星 (z~ 1) 出力 ストレイン テンプレート (加速していない場合) 実際の信号 位相遅れ~1sec (10年の観測) 時間 Seto, Kawamura, Nakamura, PRL 87, 221103 (2001) DECIGOに必要な技術 3台の衛星 フォーメーションフライト 太陽輻射圧など 重力場による動き ドラッグフリー衛星 光が広がる 位相ロックして増幅反射 ヘテロダイン検出 DECIGOワーキンググループ 2002年初頭に結成 現在84名(天文台、宇宙研、大阪市立大、阪大、 京大、通総研、電通大、東大、宇宙線研、東北大、 新潟大、早大他) 2002年5月9日第1回ミーティング開催 50名以上の参加者 科学的成果とフィージビリティーについて検討 2003年秋を目標に目的とリクワイヤーメントを設定 R&Dの立ち上げ R&Dの立ち上げ 精密衛星測位による地球環境監視技術の開発 (平成14年度より科学技術振興調整費の課題と して採択)のサブテーマの一つとして通総研・新 潟大・天文台で衛星間測距のシミュレータを製作 LISAの技術開発の一環としてドラッグフリー技 術に伴う低周波での雑音の確認実験をNASAの Goddard・天文台との間で共同研究を行なうこと を検討中 まとめ Synchronous Recycling干渉計2台の出力の相関を1 年間とることにより、100MHz付近で6×10-27 1/rHz (バンド幅:1kHz)の感度を達成できる可能性がある 理論・実験両面でのより詳しい検討が必要である DECIGOで地上重力波アンテナとLISAとの間の周 波数ギャップを埋める この周波数帯は重力波雑音がなく、宇宙膨張の加速 度を計測できる可能性もある DECIGOワーキンググループにて検討が始まり、ま たR&D実験もスタートする
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