ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー http://www.novartis.co.jp/ MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG 2015年6月29日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年6月13日(現地時間)に発表したものを日本語に翻 訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先され ます。英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。 「ジャカビ®」治療により、多くの真性多血症の患者さんが 長期にわたる疾患コントロールを達成 • 事前に予定されていた18カ月時点の解析によると、「ジャカビ®」(一般名:ルキソ リチニブリン酸塩)の投与を受けた真性多血症の患者さんの80%で、1年以上効果が 持続したことが示される1 • 本試験では、「ジャカビ」投与群の患者さんの83%が治療を継続 「ジャカビ」の長期安全性プロファイルを裏付け1 • 真性多血症の患者さんの4人に1人は従来の治療薬に抵抗性または不耐容 「ジャカビ」はEUで真性多血症治療薬として承認されている唯一の標的治療薬 としてアンメットニーズに対応2 2015年6月13日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、ハイドロキシウレアに抵 抗性または不耐容の真性多血症(PV)患者さんを対象に、「ジャカビ®」を評価した主要な 第III相臨床試験であるRESPONSE試験における安全性および有効性の長期間の結果を発 表しました。事前に計画されていた本試験の18カ月時の解析では、疾患コントロールが不 良で「ジャカビ」の投与を受けた真性多血症患者さんの80%で、持続的な効果が認められ たことが示されました。持続的な効果とは、瀉血療法を行わずにヘマトクリット値が45% 未満、脾臓サイズが縮小という疾患コントロールの二つの主要な指標を1年以上にわたっ て維持することです1。この結果は、オーストリア ウィーンで開催された第20回欧州血液 学会(EHA)で発表されました。 主席治験責任医師であるパリ・ディドロ大学サン・ルイ病院のジャン-ジャック・キラジ ャン医師(Jean-Jacques Kiladjian, MD, PhD)は次のように述べています。「真性多血症 は、疾患のコントロールが不良な場合、重篤な合併症を生じることがあります。今回のデ ータは、こうした患者さんに、『ジャカビ』が持続的で包括的な臨床的ベネフィットをも たらすことを示しています。ほかの治療薬に不耐容か疾患のコントロールが不良な真性多 血症の患者さんは、大きなアンメットニーズを抱えています。第III相臨床試験の長期の結 果が裏付けたように、『ジャカビ』はこのような患者さんに対する有益な新しい選択肢に なります」 真性多血症は、血液細胞が過剰産生される治癒困難でまれな血液がんで、血栓、脳卒中や 心臓発作などの重篤な心血管系の合併症を引き起こします3。真性多血症の患者さんの約 25%はハイドロキシウレア抵抗性(効果不十分)または不耐容(許容できない副作用)と なり、疾患コントロールが不良とされます2。疾患コントロールの不良は通常、ヘマトクリ ット値が45%を上回り、白血球数と血小板数の両方またはいずれか一方が上昇した状態と 定義され、消耗性の症状や脾臓の腫大を伴う場合があります2,4,5。 1/5 第III相臨床試験では、「ジャカビ」群に割り付けされた真性多血症の患者さんの83%が18 カ月時点で治療を継続していたのに対し(治療期間中央値111週間)、BAT(best available therapy:現状で利用可能な最良の治療)群では、18カ月時点で治療を継続していた患者さ んは1人もいませんでした。また、瀉血療法を行わずにヘマトクリット値のコントロール を達成した「ジャカビ」群の患者さんの89%で、最初の奏効から18カ月にわたって効果が 持続し、脾臓サイズの減少が見られたすべての患者さんにおいて、脾臓サイズの減少が持 続しました。治療開始から32週目の時点で「ジャカビ」投与を受けていた患者さんの90% は、32週目から80週目の間に瀉血療法を行いませんでした。さらに、32週目の時点で血液 学的完全寛解を達成していた「ジャカビ」群の患者さんにおいて、最初の奏効から18カ月 以上にわたって効果が維持する確率は69%でした1。本試験の、治療開始から18カ月時点 における別の解析では、「ジャカビ」の投与により、真性多血症の重要な血液学的パラメ ータである白血球数と血小板数のコントロールも維持できることが示され、ベースライン の値が最も高かった患者さんで最大の低下幅が見られました6。 ノバルティス オンコロジー プレジデントのブルーノ・ストリジニ(Bruno Strigini)は次 のように述べています。「欧州委員会が真性多血症成人患者さんの治療薬として『ジャカ ビ』を承認するまで、こうした患者さんには限られた治療選択肢しかありませんでした。 この長期データから、真性多血症に対する「ジャカビ」の確かなエビデンスが裏付けられ、 血液がんの患者さんに新しい画期的な薬剤をもたらす上でのわれわれの注力が示されてい ます」 全体的に「ジャカビ」の忍容性は良好でした。「ジャカビ」投与群におけるグレード3ま たは4の貧血および血小板減少症の発生率はそれぞれ、100患者年あたり0.9件および2.6件 であり、48週目時点の解析から増加は認められませんでした。「ジャカビ」群で頻度が高 く見られた非血液学的有害事象(AE)は、頭痛、下痢、そう痒症、疲労であり、多くがグ レード1または2でした。「ジャカビ」群では、有害事象による投与中止はわずかにとどま りました(4.5%)1。 RESPONSE試験について RESPONSE 試験は、世界の 90 カ所以上の施設で実施された、国際共同・無作為化・オー プンラベル試験です。ハイドロキシウレア抵抗性または不耐容の真性多血症の患者さん 222 名を、「ジャカビ」投与群(開始用量:10 mg 1 日 2 回投与)または BAT(:治験責 任医師が選んだ単剤療法または経過観察)群のいずれかに、1:1 の割合で無作為に割り付 けました。「ジャカビ」の用量は、試験期間を通じて適宜調節されました。「ジャカビ」 群の患者さんにおける、真性多血症と診断されてからの経過年数中央値は 8.2 年であり、 これまでのハイドロキシウレア投与期間中央値は約 3 年でした。患者さんの多く(80%超) が、スクリーニング前 24 週間に 2 回以上の瀉血療法を受けていました。患者さんは、欧 州白血病ネット(ELN)の改訂基準に基づいて、ハイドロキシウレア抵抗性や不耐容に分 類されました 1。 試験の主要評価項目は、8 週目から 32 週目に瀉血療法なしでヘマトクリット値がコントロ ールされており(無作為割り付けから 8 週目までの瀉血療法は 1 回までとする)、ベース ラインから 32 週目に、画像による評価で脾臓容積が 35%以上縮小した患者さんの割合で した。瀉血療法の実施対象は、ヘマトクリット値が 45%を超えており、本試験への参加時 (ベースライン時)の値から 3%以上上昇しているか、ヘマトクリット値が 48%を超える 患者さんでした。事前に予定されていた、治療開始から 80 週目(18 カ月)時点における 別の解析では、奏効の持続性、ヘマトクリット値のコントロール、脾臓サイズ減少、血液 学的完全寛解および安全性を評価しました。この 80 週目のデータカットオフ時点では、 このほか、ベースライン値を基に血液学的パラメータを評価する別の解析も実施されまし た 1。 2/5 真性多血症について 真性多血症は、骨髄で血液細胞が過剰産生される治癒困難でまれな血液がんで、世界全体 で 10 万人あたり約 1~3 人が罹患しています 3,7。この疾患は、JAK-STAT 経路の調節異常 によって生じます 8。全血中に占める赤血球の体積の割合であるヘマトクリット値の上昇 が典型的な所見であり、これによって血液の粘度が亢進し、血栓のリスクが高まるほか、 白血球数と血小板数も上昇します 3。その結果、脳卒中や心臓発作などの重篤な心血管系 の合併症を引き起こし、罹患率や死亡率を上昇させる可能性があります 9。また、真性多 血症の患者さんには、脾臓の腫大や消耗性の全身症状がみられ、骨髄線維症と同程度の QOL(生活の質)に対して影響を及ぼします 5,10。 真性多血症の治療によく用いられるのが、体内から血液を抜き取って赤血球の濃度を低下 させる瀉血で、これによってヘマトクリット値を 45%未満に保ちます 3,9。しかし、瀉血療 法は、症状のコントロールや、赤血球の過剰産生の効果的な管理ができないため、恒常的 に行う治療選択肢として適していないことが多く、ハイドロキシウレアなどの抗腫瘍薬を 追加することがあります 9。ハイドロキシウレアに瀉血を併用する必要がある患者さんで は、ヘマトクリット値が安定せず、かなりの期間にわたって安全でない濃度になることが あります 11。残念ながら、真性多血症の患者さんの約 25%が、ELN 基準に基づくハイド ロキシウレア抵抗性または不耐容となり、疾患コントロール不良を生じ、疾患進行のリス クが高まります 2。 「ジャカビ」について 「ジャカビ」は、JAK1 および JAK2 チロシンキナーゼの経口阻害剤です。「ジャカビ」 は、欧州委員会により、ハイドロキシウレアに抵抗性または不耐容である真性多血症(PV) の成人患者さんの治療、原発性骨髄線維症(慢性突発性骨髄線維症)、真性多血症後の骨 髄線維症または本態性血小板血症後の骨髄線維症の成人患者さんにおける脾腫または諸症 状の治療薬として承認されました。「ジャカビ」は、欧州連合、カナダ、日本、アジアや 中南米、南米の国々を含む 80 カ国以上で骨髄線維症の治療薬として承認されています。 このうえに、骨髄線維症および真性多血症の治療薬として世界各国で承認申請が進められ ています。 ノバルティスはルキソリチニブについて、インサイト社から米国外での開発と商業化のラ イセンスを取得しています。「ジャカビ」は、米国では Jakafi®という製品名で、ハイドロ キシウレアが効果不十分であるか、ハイドロキシウレアに不耐容である真性多血症の患者 さんの治療薬のほか、中リスクから高リスクの骨髄線維症の患者さんの治療薬として、イ ンサイト社が販売しています。 真性多血症に対する「ジャカビ」の推奨開始用量は、10 mg の 1 日 2 回経口投与です。血 小板数が 100,000/mm3 から 200,000/mm3 の患者さんに対しては「ジャカビ」15 mg の 1 日 2 回投与、血小板数が 200,000/mm3 を上回る患者さんに対しては 20 mg の 1 日 2 回投 与が、骨髄線維症に対する推奨開始用量です。用量は、安全性と有効性に基づいて調整し ます。骨髄線維症の患者さんや血小板数が 50,000/mm3 から 100,000/mm3 の真性多血症 の患者さんに対する推奨開始用量については限られた情報しかありません。このような患 者さんに対する最大推奨開始用量は 5 mg の 1 日 2 回投与であり、慎重に調整する必要が あります 12。 「ジャカビ」は、米国外の国々におけるノバルティス社の登録商標です。Jakafi はインサ イト社の登録商標です。承認されている適応症以外では、「ジャカビ」の安全性と有効性 のプロファイルは確立されていません。 3/5 骨髄線維症(MF)および真性多血症(PV)の治療に関する「ジャカビ」の重要な安全性 情報 「ジャカビ」は、血球数減少や感染症などの重篤な副作用を起こす可能性があります。こ のため、 全血球のモニタリングが推奨されます。 肝障害や重篤な腎障害がある患者さんや、 血小板減少症、貧血、好中球減少症などの血液学的有害事象を示す患者さんには、減量か 休薬が必要になることがあります。「ジャカビ」を強力な CYP3A4 阻害剤やフルコナゾー ルと併用する場合も、減量が推奨されます。妊娠中の女性に対する「ジャカビ」の投与は 推奨されていません。また、「ジャカビ」服用中の患者さんは、妊娠や授乳を避けてくだ さい。進行性多巣性白質脳症(PML)が報告されています。進行性多巣性白質脳症が疑わ れる神経精神症状には注意が必要です。慢性 HBV 感染の患者さんで、B 型肝炎ウイルス 量(HBV-DNA)の増加が報告されています。慢性 HBV 感染の患者さんには、臨床ガイ ドラインに準拠して、治療とモニタリングを実施する必要があります。「ジャカビ」を投 与した患者さんに、非メラノーマ性皮膚がん(NMSC)が報告されており、定期的な皮膚 検査が推奨されます。骨髄線維症の患者さんで多くみられる副作用(>10%)には、尿路 感染症、貧血、血小板減少症、好中球減少症、高コレステロール血症、浮動性めまい、頭 痛、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ 上昇、内出血、体重増加があります。骨髄線維症の患者さんに多く見られる副作用(1~ こ ちょう 10%)には、帯状疱疹と 鼓 腸 があります。骨髄線維症の患者さんに認めたまれな副作用 には結核があります。真性多血症の患者さんで多く見られた副作用(>10%)には、貧血、 血小板減少症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、浮動性めまい、アラニン アミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加がありま す。真性多血症の患者さん多く見られた副作用(1~10%)には、尿路感染症、帯状疱疹、 体重増加、便秘、高血圧があります。 詳しい処方情報はwww.jakavi.comをご覧ください。 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その 内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに より、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、 ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼 科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅 広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580 億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約120,000人の社員を擁しており、世界150 カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。 http://www.novartis.com/ 4/5 参考文献 1. Kiladjian JJ, Vannucchi AM, Greisshammer M, et al. Ruxolitinib versus Best Available Therapy in Patients with Polycythemia Vera: 80-week Follow-up from the RESPONSE Trial. Abstract #S447. 20th Congress of the European Hematology Association (EHA) Vienna, Austria, 2015. 2. Alvarez-Larran A, Pereira A, Cervantes F, et al. Assessment and Prognostic Value of The European Leukemianet Criteria for Clinicohematologic Response, Resistance, and Intolerance to Hydroxyurea in Polycythemia Vera. Blood. 2012;119(6):1363-1369. 3. Leukemia & Lymphoma Society. “Polycythemia Vera Facts.” Available at: http://www.lls.org/content/nationalcontent/resourcecenter/freeeducationmaterials/mpd/pdf/polycythemiavera .pdf Accessed on May 2015. 4. Barbui T, Barosi G, Birgegard G, et al. Philadelphia-Negative Classical Myeloproliferative Neoplasms; Critical Concepts and Management Recommendations from European LeukemiaNET. J Clin Oncol. 2011;29(6):761-770. 5. Emanuel R, Dueck A, Geyer H, et al. Myeloproliferative Neoplasm (MPN) Symptom Assessment Form Total Symptom Score: Prospective International Assessment of an Abbreviated Symptom Burden Scoring System Among Patients with MPNs. J Clin Oncol. 2012;30(33):4098-4103. 6. Harrison C, Masszi T, Zachee P, et al. Complete Hematologic Control with Ruxolitinib in Patients with Polycythemia Vera (PV) Resistant to or Intolerant of Hydroxyurea. Abstract #E1353. 20th Congress of the European Hematology Association (EHA) Vienna, Austria, 2015. 7. Titmarsh G, Duncombe A, McMullin M, et al. How Common are Myeloproliferative Neoplasms? A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Hematol. 2014:1-7. 8. Schafer AI. Molecular Basis of the Diagnosis and Treatment of Polycythemia Vera and Essential Thrombocythemia. Blood. 2006;107(11):4214-4222. 9. Finazzi G and Barbui T. How I Treat Patients with Polycythemia Vera. Blood. 2007;109(12):5104-5111. 10. Mesa RA, Niblack J, Wadleigh M, et al. 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