ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランスの向上に向けて

労働慣行
ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランスの向上に向けて
味の素グループは、一人ひとりの成長と企業の継続的な発展を通して、企業を構成するすべての従業員の豊かで実りある人生の実現と、
社会の発展に貢献したいと考え、
ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス
(WLB)の具現化に取り組んでいます。
ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス(WLB)の具現化
昨今の人財の属性や価値観の多様化、環境の変化を踏まえ、
2012年度から職場主体の取り組みを開始しており、2014年度には、
ダイバーシティが競争力強化に不可欠です。また、多様な人財が
生産性向上を図るために『Work@A~味の素流「働き方改革」~』
持てる能力を発揮し、新たな価値を創造するためには、すべての
プロジェクトを立ち上げ、在宅勤務等の新制度導入やITツールの活
従業員のWLBの実現が重要です。味の素(株)では、2008年に
用促進などを行っています。
労使共同で立ち上げた「WLB向上プロジェクト」での様々な取り
2015年度からは、
これまでの取り組みをダイバーシティ&WLBへ進
組みにより、従業員の相互理解や働く環境・働き方の見直しを着
化させ、
「働き方改革」を加速させることに加え、ダイバーシティの中で
実に進めてきました。
特に女性の活躍を推進していきます。
■ 味の素グループにおけるダイバーシティ&WLBのコンセプト(イメージ図)
「Eat Well, Live Well.」
私たちは地球的な視野にたち、
“食”と“健康”そして、
“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します。
ASV
~Ajinomoto Group Shared Value~
ダイバーシティ&WLB
一人ひとりの成長と企業の継続的な発展を通して、
企業を構成するすべての従業員の豊かで実りある人生の実現と社会の反映に貢献する
貢献
会社
共成長
高い生産性と新たな価値創造により、
サステナブルに存在し続ける
誰もが働きたいと思える会社へ
個人(わたし)
生きがい、働きがいに満ち溢れ、
企業人、家庭人、地球人として自立、自律し、
実りある人生を実現している
支援
~多様性を活かす組織風土~
多様な人財が互いを尊重しながらそれぞれに能力を発揮し、
異なる視点や考え方を活かしている
女性活躍推進
味の素ウーマンズカウンシル
味の素(株)は、女性活躍を加速させるための推進体制として
味の素(株)では、社内外の多様な人財間の交流・ネットワークづ
2015年10月「味の素ウーマンズカウンシル」を設立しました。社内各
くりを通じ、Challenge(本人の意識改革)
・Circumstance(周りの
部門の人事労務担当者および味の素労働組合担当者をメンバーとし、
意識改革)を推進していきます。
現場の現状・実情を踏まえた上で、以下の3つの切り口で活動を行っ
例:キャリア座談会、エイ女(営業女子)交流、イクメン・ワーママ交流、
育短上司交流、ヒル活など
※1
ていきます。特に、
「A-WIN 」活動を促進し、
この活動を通じた従業
員の意識改革の推進を行っていきます。
3つの切り口
❶Challenge(本人の意識改革)
❷Circumstance(周りの意識改革)
❸Continue(勤務継続につながる仕組み)
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「A-WIN」活動
味の素グループ サステナビリティレポート 2015
※1 味の素(A)
・ウーマンズ/若手/ワーキング(W)
・井戸端(I)
・ネットワーク(N)
労働慣行
■ Work@A~味の素流「働き方改革」~
味の素(株)では、多様な人財の多様な働き方を実現するために、
働き方改革プロジェクトを立ち上げ、2014 年度より働き方に関わる新制度導入、
IT ツールの活用促進などを行っています。
<基本戦略>
<新制度>
多彩な人財 多様な働き方
① スーパーフレックスタイム(フレックスタイムのコアタイム廃止)
Work@A
~味の素流「働き方改革」
~
仕事と時間の見える化を進め、決めた時間でやりきる仕事を
宣言(コミット)し、時間と場所を選択することで、
生産性向上を図る。
② 時間単位有給休暇の導入
③ 在宅勤務制度の導入
④ 裁量労働制の導入(2016 年 4 月導入予定)
<早朝型勤務>
早朝での集中した業務遂行と終了時刻を意識した働き方の推奨
① 本社の退館時刻を 20 時に設定(全館自動消灯)
② 本社食堂にて、朝食(挽きたてコーヒーと焼きたてパン等)
を提供
各職場での様々な取り組み
味の素(株)の各職場では、2012年度以降にWLB向上の取り組
その後、計画表に基づき取り組みを進め、年度末にレビューおよ
みが加速しました。まず、各期の初めにWLBについて議論し、職場
び次年度の計画を策定することで、さらなるWLBの向上につなげ
単位で「WLB取り組み計画表」を作成します。
ています。
「働き方計画表」の活用
5S活動の推進
「働き方計画表」とは、従業員一人ひとりが月別の残業時間や
業務のスピードを上げ、生産性の向上につなげることを狙いとし、
有給休暇取得日を事前に計画し、定期的に振り返りを行う、
自分自身
各職場で5S活動を推進しています。5S活動により業務効率を向上
の働き方を主体的にデザインするためのツールです。
「働き方計画表」
させることは、顧客満足の向上のみならず、個人が有益に使える時
を活用することで、
「時間生産性を意識した働き方」
「自分で労働
間の創出にもつながると考えています。取り組みのきっかけとして、ま
時間や休みをコントロールできている状態」への転換を図ります。
ずは書類の5S活動から行いました。今後は、実施職場を増やしつつ、
書類の5S活動から業務の5S活動に発展させ、さらなる生産性の向
「WLB推進
(相互理解促進)
ワークショップ」
の開催
各職場での取り組みの一つとして、2012年度より「WLB推進ワー
クショップ」を開始し、これまでに多くの職場で実施しました。この
上に向けて取り組んでいきます。
取り組み前
取り組み後
ワークショップは、主に①各自のライフプランの共有、②自職場のビ
ジョン・ミッションの確認、③アクションプランの作成、
で構成されて
います。仕事以外の互いの事情を理解し、支援し合う職場環境を整
備することに加え、個人や職場の目指す姿を再確認することで、職
場の一体感を醸成し、生産性の向上につなげたいと考えています。
今後、実施職場のさらなる拡大を予定しています。
業務時間内に定期的に「5Sの時間」を設け、職場一体となって取り組みを推進
5S とは
「5S 活動」実施職場の声
①整理(Seiri)
ワークショップ参加者の声
②整頓(Seiton)
①~③を
繰り返すことで、
④清潔
(Seiketsu)
を保つ
● これまで知らなかった自組織メンバーの夢、価値観、想いなどの一端を
理解した上で、全員一致でコンセンサスをとって、一つのアクションプ
ランにまで落とし込むことができ、一体感の醸成につながったと思う。
③清掃(Seisou)
⑤躾(Sitsuke)
①~④を習慣化する
● 自組織の役割を、職位を超えてともに考えることができ、個人ではな
く組織の必要性を再認識できた。
生産性の向上
● 職場がきれいになるだけでな
く、書類の共有化などが一層
進み、
業務効率が上がった。
● 5Sの目標に向かって職場が
一体となって取り組めたこと
で、
一体感も高まった。
● 今後も目標設定をしながら、
職場の改善を皆が実感でき
るような活動を継続していき
たい。
味の素グループ サステナビリティレポート 2015
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労働慣行
関連制度の整備と活用
味の素(株)では、働きがいのある、働きやすい職場づくりを目指
暇など、生産性向上と自立やライフプランの実現につながる制度の
して、様々な関連制度の整備と活用を進めています。
活用が進んでいます。
2014年度は、新たに導入された在宅勤務制度や時間単位有給休
■ 味の素(株)のワーク・ライフ・バランス関連制度の利用状況
取得人数等
関連制度・取り組み施策 内容
2013 年度
女性
2014 年度
男性
女性
男性
育児休職
子どもが満 1 歳になった後の最初の 4 月末日まで取得可能(通算 15
日間は有給)
103 名
4名
112 名
7名
育児短時間勤務
1 日 2 時間 30 分の短縮を限度とし、小学校 4 年生の始期に達す
るまで期間制限なく取得可能
149 名
0名
179 名
2名
子供看護休暇
中学校始期に達するまでの子を養育する従業員は、子ども一人当た
り年間 10 日間の休暇を取得可能
50 名
3名
41 名
3名
看護休職
配偶者、父母、子、同居または扶養している 2 親等以内の親族を
看護するために、1 年を上限として取得することができる
0名
0名
1名
0名
看護短時間勤務
1 日 2 時間 30 分の短縮を限度とし、対象家族の要看護状態が解
消するまで取得可能
1名
0名
1名
0名
有給休暇積立保存制度
同居または扶養している 2 親等以内の親族の私傷病によって看護
が必要な場合、学級閉鎖となった場合等に積み立てた有給休暇を
取得可能(積立できる上限日数は 40 日)
39 名
24 名
57 名
27 名
在宅勤務制度
最大で月 4 日間、就業環境が整えられた自宅で集中して資料作成
等の勤務が可能(2014 年 10 月導入)
―
―
40 名
37 名
時間単位有給休暇
年 16 時間、時間単位で有給休暇を取得可能(2014 年 5 月導入)
―
―
220 名
104 名
リフレッシュ休暇
25 ~ 32 歳、33 ~ 40 歳、41 ~ 48 歳、49 ~ 56 歳 の 期 間
においてそれぞれ 9 日、16 日、30 日、16 日のリフレッシュ休暇を
取得可能
238 名
213 名
ボランティア休暇
非営利団体、社会福祉団体等のボランティア活動の適用認定を受
けた従業員に対し、一年度につき 8 日間を上限とするボランティア
休暇を付与
38 名
48 名
再雇用制度
退職理由が以下に当てはまり、退職せざるを得ず、本人が希望する
再雇用者 2 名 再雇用者 0 名 再雇用者 3 名 再雇用者 0 名
場合に再雇用登録の対象とする
(登録者 53 名)(登録者 1 名) (登録者 52 名)(登録者 1 名)
●出産・育児 ●介護・看護 ●転居を伴う結婚や配偶者の転勤
TOPICS
「WLBが実現しやすい企業」4年連続TOP10
味の素(株)は、2015年2月、
「勤務先として人材をひきつける
魅力ある企業」を調査・表彰する「ランスタッドアワード 2015」
※1
で、
「WLBが 実現しやすい企業」で2位に選ばれ、4年連 続で
TOP10入りを果たしました。
今後も、
「味の素グループWay」の「人を大切にする」を実践
しつづけるとともに、
ワーク・ライフ・バランスの取り組みを加速し、
信頼され、魅力度の高い企業であり続けたいと考えています。
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味の素グループ サステナビリティレポート 2015
※1 ランスタッドアワード:世界的な総合人材サービス企業であるランスタッド社が、企
業魅力度を10項目の指標で調査し発表するもの。日本では、18歳から65歳までの
男女8,000名を対象としたアンケートで、170社について評 価を実施。会社の「認
知率」と「その会社で働きたいか」という2点を重要評価基準とし、これに10指標
別ランキングを加味した独自の方法により、総合的な「エンプロイヤーブランド・企
業魅力度」の高い企業を算定している