正常な消化管壁の構造と超音波象

正常な消化管壁の構造と超音波象
写真:胃体部
1:内腔と粘膜表面の境界エコー(高エコー)
2:粘膜筋板を含む粘膜層(低エコー)
3:粘膜下層(高エコー)
4:固有筋層(低エコー)
5:漿膜との境界エコー(高エコー)
粘膜 m
上皮層・
固有粘膜層
粘膜筋板 mm
粘膜下層 sm
固有筋層 mp
小腸
食道
噴門
胃
虫垂
幽門 十二指腸
漿膜下層 ss
大腸
漿膜 s
ん
消化管アトラス
長谷川雄一著
ベクトル・コア より
ん
粘膜:m(mucous membrane)
:
上皮層と粘膜固有層からなる。内腔側からの刺激に対する消化管の保護や、粘液や消化液の分泌、吸収に関わる。上皮層は機械
的な刺激の強い部分(口腔・食道・肛門など)では重層扁平上皮、分泌や吸収の行われる部分(胃・腸など)では単層円柱上皮で
構成される。粘膜固有層は上皮層の外側にある疎性結合織の薄い層で、毛細血管、リンパ管、腺を含む。
粘膜筋版:mm(muscularis mucosa)
:
粘膜固有層の外側にある平滑筋の薄い層である。
粘膜下層 :sm(submucosa)
:
粘膜と筋層(平滑筋)を接合させる結合組織である。粘膜下層には血管、リンパ管、神経が走行する。
固有筋層:mp(muscularis propria)
:
通常内側の輪状筋(環状筋)
、外側の縦走筋の二層の平滑筋からなり、蠕動等の消化管運動を司る。二層の筋の間には Auerbach
神経叢があり、自律神経の支配のもと消化管運動の調節を行う。内輪筋は消化管を環状に収縮し、縦走筋は消化管を短縮する機能
を持つ。これらが連携し、食物塊を肛門側へと移動させる。胃は幽門部を除き、輪状筋・縦走筋に加え斜走筋の三層からなり、複
雑な消化管運動によって食物の機械的消化を促す。
漿膜下層
ss(subserosa):
漿膜の内側にある疎性結合組織の薄い層である。
漿膜
s(serosa)
:
消化管の外側を覆う半透明の薄い膜で、単層扁平上皮(中皮)と疎性結合織で構成される。消化管を支持し、少量の漿液を分泌
することで臓器同士の摩擦から消化管を保護する。