公共建築物における木材の利用促進について ~北海道開発局営繕部の取り組み~ 営繕整備課 はじめに 平成 22 年 10 月に施行された、 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」 を受け、北海道開発局営繕部においては、 庁舎の木造化や内装木質化を推進しております。 今後より一層木材の利用を図っていくためには、これまで以上に木材の利用についての取 り組みを進めていく必要があります。 北海道開発局営繕部における取り組み 北海道開発局営繕部では、官庁施設整備において内装等の木質化を積極的に図っていま す。今年度、初めて本格的木造庁舎の設計に取り組んでおり、木造官庁施設の整備に係る 事業の効率的な推進と事業内容の均衡を図るため、本省及び現在木造庁舎を計画している 地方整備局と連携しながら業務を進めているところです。 これまでは、主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造を構造種別とする庁舎の整備を行ってき たことから、木造設計に関する知見をこれまで以上に深めていくことが急務となっており ます。そこで、我々職員は北海道内にある木造公共施設や集成材工場の現地調査を行い、 木造の設計手法や材料調達のノウハウを学んでおります。また木材関係のセミナーや講習 会にも積極的に参加し情報収集を行うと共に営繕部内で情報共有を図っているところです。 北海道内にある木造公共施設 道内にある市町村や林野庁の木造公共施設における、構法や内装等の木質化について調 査しました。 [図 1 参照] 設計に際しては、床の振動対策を考慮したスパン設定や建物用途に即した最適な構法選 定を行う事が非常に重要なことがわかりました。また、部位に応じて様々な樹種の木材が 使用されており、 木材の見せ方についての工夫や、維持管理を考慮した仕上材の選定など、 調査を通して参考となる部分が沢山ありました。 公民館+福祉センター(町) スポーツ施設管理棟(市) 子ども総合支援センター(市) -図1 木造公共施設の内部- 事務庁舎(林野庁) 北海道内にある集成材工場 道内には JAS 認定集成材工場が 11 箇所あり、集成材の規格毎に工場の分類化(大断面・ 中断面・小断面)がなされていました。今回は道東地区に 2 箇所ある大断面集成材工場の うち 1 箇所を調査しました。[図 2 参照] 原木からラミナ※加工された木材が集成材工場へと運ばれ、集成材として製造されたも のが建設地へと運ばれることから、建設地と集成材工場との位置関係の把握や建物規模及 び用途に応じた断面寸法を設定することは、コスト管理の面からも重要なものとなります。 また、集成材工場では木材をストックしていないため、木材調達における納期が課題と なります。 集成材の製造過程の調査は、今後の設計における断面寸法の考え方及び納期について非 常に参考になりました。 -図 2 集成材工場の様子- おわりに 今後、より一層木材の利用を図るため、木造庁舎の整備が増加していくことと思われま す。これまで調査させて頂いた施設を通じて得ることが出来た情報を基に、木材の特長を 生かした親しみのある庁舎の設計を進めていくとともに、引き続き最新技術の調査を進め ていきます。最後に、木造の建物設計に関する情報がございましたら、ご一報頂ければ幸 いです。 ※ ラミナ:ひき板(のこぎりで製材された板状の材) や小角材
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