2015 年8月 22 日 現場説明会補足資料 2015 年度 宮ノ浦遺跡 第 15 トレンチ クロスナ層の細分と大、中、小型脚台を層位的に取り上げることに成功! 愛媛大学考古学研究室、上島町教育委員会 はじめに 本年度の調査では、製塩炉を検出し、さらに貝や魚骨、 獣骨といった自然遺物も多く出土しました。これらの成 果は、製塩の方法や規模、さらに製塩活動をおこなって いた人々の生活を知る手がかりとなるでしょう。 とくに、15 トレンチでは、いくつかのタイプの製塩土 器を層位的に取り上げることができたことも重要な成果 です(写真1)。 クロスナ層の細分 本調査では、古墳時代前期のクロスナ層を7a 写真1 土器溜まり検出状況 層と7b 層の2層に分けました。7a 層は砂層の クロスナ層で色は赤褐色を呈しています。一方、 B層 7b 層は土壌化したクロスナ層で、黒褐色を呈 てこの7b 層に属しています。 → しており、昨年検出した4つの土器溜まりは全 C層 → 7a 層 今年度の調査では、このクロスナ層を、さら D層 → → 7a 層は、地表面から約 80cm 下から現れ、ト レンチ内で複雑に堆積しており、多くの製塩土 6 号土器溜まり(F 層) → 7a 層と小型、中型脚台 E → に細分し、7a 層を5つの層、7b 層を5つの層 に分層し、各層を面的に掘り下げました(図1)。 G → 4、5 号土器溜まり 器片を含みます。細分された B 層と C 層は北拡 3 号土器溜まり → 張区の西側だけに堆積している層で、小型の脚 台のみが出土しました。D 層では中型の脚台が 2 号土器溜まり → 主体をしめます。D 層の下には6号土器溜まり があり、これも中型の脚台が主体をしめる土器 7b 層 の土器溜まりが見つかっており、その堆積状況 から、各土器溜まりの前後関係が明らかとなり ました。 J層 → よりも黒みが強い層です。この層からは、5つ I層 → 7b 層は、土壌化したクロスナ層で、7a 層 → 1 号土器溜まり(H 層) 溜まりです。 7b 層と中型、大型脚台と複数の土器溜まり 新 製塩炉(K 層) 古 図1 クロスナ層のフローチャートと製塩土器の脚台 今後の調査の展望 各時期における塩作りをおこなっていた場所の特定や、操業の規模を明らかにしていくことが今後の課題の 一つです。また、自然環境の変化が製塩活動を担っていた集団にどのような影響を与えたのかを意識しながら 調査していく必要があります。 (八木)
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