平 成 20 年 コ レ ク タ ー に よ る イセエビプエルルス幼生の採集結果 イセエビは磯根資源として重要であり、水産技術研究所伊豆分場ではこれま でに漁場造成や資源管理など資源の増大、安定に向けた取り組みを行ってきま した。また、その中で本種の基本的な生態や漁獲量の予測に向けた検討などを 行 う た め 、コ レ ク タ ー( 写 真 1)を 用 い た プ エ ル ル ス 幼 生 の 採 集 を 昭 和 50 年 か ら 継 続 し て 行 っ て い ま す 。コ レ ク タ ー は 海 藻 を 模 し て 作 成 し た も の で 、平 成 20 年にはコレクター5 基を下田市白浜の板戸港の 岸 壁 か ら 垂 下 し て 、4 月 か ら 12 月 ま で の 間 、プ エルルス幼生の採集を行いました。 平 成 20 年 の 採 集 は 4 月 中 旬 、5 月 中 旬 、8 月 上 旬 に 各 1 尾 ず つ 、計 3 尾 の プ エ ル ル ス 幼 生 が 採 集 さ れ ま し た ( 表 1 )。 プエルルス幼生の加入量は、黒潮の接岸距離 が近くなり、台風が接近して時化になることで 増加することが知られています。しかし、平成 20 年 は 、黒 潮 流 路 は 5 月 中 旬 以 降 C 型( 非 大 蛇 行離岸流路)であったこと及び台風等の接近が 例年に比べ少なかったためか、プエルルス幼生 写真1 の大量採集はありませんでした。 コレクター 120 採集尾数(尾) 100 80 60 40 20 0 1 図1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (平成)年 コレクターによるイセエビプエルルス幼生採集尾数の推移 平 成 元 年 か ら 平 成 20 年 ま で の 年 別 の コ レ ク タ ー に よ る プ エ ル ル ス 幼 生 採 集 尾 数 の 推 移 を 示 し ま し た( 平 成 元 年 及 び 平 成 4 年 は 実 施 し て い ま せ ん ( ) 図 1 )。 プ エ ル ル ス の 採 集 状 況 は 平 成 10 年 頃 を 境 に 異 な っ て お り 、 平 成 12 年 を 除 き 、 平 成 11 年 以 降 は 比 較 的 採 集 尾 数 の 多 い 年 と い え ま す 。 沿 岸 に 着 底 し た プ エ ル ル ス 幼 生 は 2 年 後 に は 体 長 13cm 以 上 の 漁 獲 サ イ ズ ま で成長します。 限りある資源を有効に活用できるよう、今後も調査を継続して実施し、漁獲 量予測の検討に利用していく予定です。 表1 平成20年イセエビプエルルス幼生のコレクター採集結果 月 旬 点検数 プエルルス幼生採集尾数 上 4 0 4 中 10 1 下 13 0 上 9 0 5 中 20 1 下 20 0 上 20 0 6 中 15 0 下 15 0 上 20 0 7 中 10 0 下 15 0 上 14 1 8 中 15 0 下 20 0 上 15 0 9 中 5 0 下 10 0 上 5 0 10 中 5 0 下 5 0 上 0 0 11 中 5 0 下 0 0 上 5 0 12 中 0 0 下 0 0 合計 275 3 注)点検数とは期間中にコレクターを引き上げてプエルルス幼生が採集されてい るか確認した回数を示す。 (飯沼 紀雄)
© Copyright 2024 ExpyDoc