2D-UPLC(GPC-逆相)による 前処理不要 添加剤分析 前処理

2D-UPLC(GPC-逆相)による
前処理不要 添加剤分析
前処理不要の添加剤分析
Koichiro Yamada; Nobutake Sato; Tatsuya Ezaki
Nihon Waters K.K.
結果
序論
合成⾼分⼦は繊維、家具、スポーツ⽤品、家電など毎⽇使われる製品に
広く使われている。しかし、合成⾼分⼦は⼀般的に光、熱、機械的要因な
どの様々な要因により劣化する。この劣化を予防し、材料としての性能を向
上させる⽬的での添加剤の使⽤は必要不可⽋であり、近年の応⽤拡⼤の
⼤きな原動⼒となっている。
また⾼分⼦の⾼機能化のために添加剤だけでなく、合成⾼分⼦中のモノ
マーやオリゴマーなどの⽐較的低分⼦量領域の分析が強く望まれているが、
広く合成⾼分⼦のキャラクタリゼーションに使われているゲル浸透クロマトグラ
フィ(以下GPCと略す)はカラムやシステム内でのピーク拡散の問題から、
フィ(以下
と略す)はカラムやシステム内でのピ ク拡散の問題から、
分⼦量2000以下の分析に適していなかった。そのため添加剤やオリゴマー
の分析は、ポリマーからの抽出やGPCカラムによる分取した後、他の⼿法に
よる分析を⾏うなど煩雑な操作が必要であった。
H3C
CH3 OHH3C
CH3
CH3
H3C
-1. ACQUITY APCによる分析-
CH3
ACQUITY APCシステムによる分析結果をに⽰す。分析時間10分と従来
の1/3以下での分析が可能であった。また、カラムの特性から、ポリマー主鎖
の1/3以下での分析が可能であった。また、カラムの特性から、ポリマ
主鎖
は排除限界付近に1本のピークとして出てきてはいるが、分⼦量30,000 150の範囲においては、明瞭なピークが確認できた。
OH
O
O
CH3
O
O
CH3 H3C
H3C
O O
また、サンプル1 については、主鎖のエポキシ樹脂に顕著なUV吸収が⾒ら
れないため、UVクロマトグラムにおいては添加剤領域の選択的な検出が可
能であった。
CH3
O
OH
CH3
CH3
3.00
RI
120.00
μRIU
OH
CH3
H3C
拡⼤図
2.50
90.00
CH3
H3C
サンプルA(ポリカーボネート製サムターンカバー)
図6. Fr-B1に溶出した成分の推定構造
1.50
μRIU
1.00
0.50
60.00
0.00
4.80
5.00
5.20
5.40
5.60
分
30.00
5.80
6.00
6.20
6.40
Epo6.03
20150903_007
(2) PDA Ch6 [email protected]
Range: 3e-2
Epo6.03
1.40
5.00
分
6.00
7.00
0.025
UV
2.0e-2
拡⼤図
0.020
20150903_007 2146 (17.875) Sm (Mn, 2x4.00); Sm (Mn, 2x0.75); Cm (214
371.8 2.133e-2
2.0e-2
2.5e-2
0.015
1.5e-2
17.64
AU
4.00
AU
3.00
1.5e-2
1.0e-2
1.0e-2
5.0e-3
AU
実験
17.87分抽出スペクトル
17.87
0.00
1.05
18.10
0.010
5.0e-3
0.005
0.0
0.0
AU
U
225
0 70
0.70
0.000
サンプルとして、市販されている以下のものをテトラヒドロフラン(以下THF)
0.3重量%となるように溶解させ、不溶物をメンブレンフィルタにてろ過し、注
⼊試料とした。
16.50
4.60
4.80
5.00
5.20
5.40
0.35
分
5.60
5.80
6.00
6.20
16.75
17.00
17.25
17.50
17.75
18.00
18.25
18.50
18.75
19.00
3.00
MS
Filter
5.00
分
6.00
7.00
3.50
RI
45.00
μRIU
拡⼤図
3.00
μRIU
60.00
Injector
1D pump
1: MS2 ES+
415.174
3.85e7
0
16.50
16.75
17.00
17.25
0
200
17.50
17.75
18.00
18.25
225
18.50
250
275
18.75
300
325
19.00
350
375
19.25
400
19.50
425
m/z
450
Time
20.00
19.75
Epo6.03
20150903_007 Sm (Mn, 2x3)
2.50
17.86
m/z = 429.2
抽出
2.00
1.50
30.00
5.00
5.20
5.40
5.60
分
5.80
6.00
6.20
6.40
1: MS2 ES+
429.176
5.83e7
17.86分抽出スペクトル
20150903_007 2640 (17.857) Cm (2637:2649-(2519:2626+2662:2804))
429.2 5.40e7
100
%
4.80
15.00
Epo6.03
%
1.00
430.2
0.00
3.00
4.00
0.020
5.00
分
6.00
0
200
7.00
0
16.50
UV
16.75
17.00
17.25
17.50
17.75
18.00
18.25
18.50
225
275
300
19.00
325
350
19.25
375
19.50
400
425
19.75
m/z
450
Time
20.00
20150903_007 Sm (Mn, 2x3)
m/z = 443.2
抽出
0.010
18.10分抽出スペクトル
Epo6.03
1: MS2 ES+
443.232
2.53e7
20150903_007 2668 (18.083) Cm (2668:2672-(2459:2655+2691:2804))
443.2 3.22e7
100
%
%
AU
250
18.75
Epo6.03
0.005
0
200
0.000
3.00
4.00
5.00
分
6.00
0
16.50
7.00
16.75
17.00
17.25
17.50
17.75
18.00
18.25
18.50
225
250
18.75
275
19.00
300
325
19.25
350
375
19.50
400
425
19.75
m/z
450
Time
20.00
図7. 2D-LCによる2次元分析結果(Fr-B2)
図3. ACQUITY APCによる分析結果
-2. 2D-LCによる分析事例2D – LCの分析結果の⼀例を図4 - 8に⽰す。1次元のACQUITY APC
カラムによってポリマーと添加剤の領域の分離が容易に可能であった。これら
のクロマトグラムの確認後 図中の枠線にて⽰した領域を2次元の逆相カラ
のクロマトグラムの確認後、図中の枠線にて⽰した領域を2次元の逆相カラ
ムに導⼊し、より詳細な解析を試みた。
OH
Fr-B1
UV
5
N
N
N
H3C
0.015
6
O
図8. Fr-B2に溶出した成分の推定構造
Fr-B2
AU
0.010
ACQUITY APCカラム
Time
20.00
19.75
20150903_007 2605 (17.619) Cm (2605:2613-(2468:2590+2630:2804))
415.2
3.88e7
100
UV370 nm
1
2
3
4
19.50
nm
400
375
%
XSelectカラム
5
350
%
4.00
サンプルB(アクリル樹脂製化粧板)
-2D-LC条件2D LC条件
カラム:
ACQUITY APC XT 125Å, 2.5 μm, 4.6×150 mm
+ XT 45Å, 1.7 μm, 4.6×150 mm(1次元)
XSelect HSS C18, 5 μm, 4.6×150 mm(2次元)
移動相:
THF(1次元、アイソクラティック)
10 mM酢酸アンモニウム⽔溶液/20%THF・アセトニトリル
(2次元、グラジエント)
流速:
0.5 mL/分
注⼊量
5 μL
測定波⻑: 230 – 400 nm(1次元検出260 nm)
検出質量: m/z 150 – 2000
4
19.25
325
Epo6.03
18.10
Waste
300
17.65分抽出スペクトル
17.65
m/z = 415.2
抽出
0.015
6
275
Epo6.03
20150903_007 Sm (Mn, 2x3)
-ACQUITY APC条件カラム:
ACQUITY APC XT 125Å, 2.5 μm, 4.6×150 mm
+ XT 45Å, 1.7 μm, 4.6×150 mm × 2
移動相:
THF
流速:
0 8 mL/分
0.8
注⼊量
5 μL
検出波⻑: 260 nm
RI極性:
正
1
250
6.40
0.00
1. サンプルA(ポリカーボネート製サムターンカバー)
2 サンプルB(アクリル樹脂製化粧板)
2.
2
CH3
H3C
CH3
今 回 、 市 販 さ れ て い る 合 成 ⾼ 分 ⼦ 製 品 を Waters 社 製 ACQUITY
Advanced Polymer Chromatography(以下APCと略す)超⾼
性能GPCシステムにより分析を⾏い その中で添加剤とポリマーの⾼分離分
性能GPCシステムにより分析を⾏い、その中で添加剤とポリマ
の⾼分離分
析を検討した。また、ACQUITY APCテクノロジーと逆相モードの分離を組
み合わせた2D-LC(GPC-逆相)による⾼分離分析、及び質量分析計
を⽤いた推定事例を紹介する。
3
CH3
O
2.00
Loop 1
CH3
H3C
Filter
Loop 2
2次元の分析の結果、エポキシ樹脂から添加剤、特に酸化防⽌剤及びUV
吸収剤と考えられる、λmax = 280 nm、及び370 nm近辺に極⼤波
⻑をもつ複数の化合物が検出された。
0.005
0.000
2D pump
2.80
4.20
5.60
分
7.00
図4. 2D-LCによる1次元分析結果(サンプルB, アクリル)
図1 2D-LCシステムにおける流路図
図1.
2D LCシステムにおける流路図
まとめ
Epo5.73
19.57
(2) PDA Ch2 [email protected]
Range: 2e-2
UV280 nm
1.2e-2
19.57分抽出スペクトル
Epo5.73
20150902_025 5874 (19.577) Cm (5840:5906)
1.0e-2
3: Diode Array
3.903e-2
3.0e-2
ACQUITY APCシステム、及び2D-LCシステムによって添加剤の分析の前
処理の簡便化が可能になった。
AU
8.0e-3
AU
今回GPC分離に使⽤したACQUITY APCカラムは、以下のようなポリマー
とシリカゲルのハイブリッド構造を持っている。このため現在GPCにおいてよく
⽤いられているスチレン-ジビニルベンゼン共重合体と⽐較して、圧⼒変動や
移動相への⽔の混⼊に対する耐性が強い
移動相への⽔の混⼊に対する耐性が強い。
20150902_025
2.0e-2
6.0e-3
1.0e-2
4.0e-3
2.0e-3
274 8
274.8
0.0
22.49
225
250
275
300
325
350
375
nm
400
0.0
18.00
19.00
20.00
21.00
22.00
23.00
24.00
25.00
26.00
27.00
28.00
Time
30.00
29.00
Epo5.73
20150902_025 Sm (Mn, 3x3)
1: MS2 ES+
1195
2.55e6
19.57
100
20150902_025 1850 (19.732) Cm (1830:1852-(1718:1812+1868:2054))
1195.4 1.79e6
100
%
m/z = 1196.0
抽出
19.57分抽出スペクトル
Epo5.73
%
1194.7
1196.1
250.0
0
200
0
18.00
19.00
20.00
21.00
22.00
23.00
24.00
References
1. 「⾼分離能SECを活⽤したポリマー解析」, 野⼝貴俊 (⽇産化学⼯業
㈱), 第283回液体クロマトグラフィー研究懇談会発表資料
2. 「Ultra-high performance size-exclusion
chromatography of synthetic polymers」, Miroslav
Janco (The Dow Chemical) et. al. J. of Separation Sci.
Vol. 36, 2718–2727, 2013
m/z
400
25.00
600
26.00
800
27.00
1000
28.00
1200
29.00
Time
30.00
図5. 2D-LCによる2次元分析結果(Fr-B1)
図2. ACQUITY APCカラム基材の構造
©2015 Waters Corporation MKT15179