あなたに薦める『この一冊』9 月 『空をつかむまで』 関口 尚 著 国語科教諭 中学 集英社 出版 上田 1年2組 裕太 担任 主人公は、廃校が決まった田舎の中学に通う3年生。彼は小学生の時には 天才的なサッカー選手だったものの、スランプと膝の故障からサッカーをやめ、 何事にも言い訳をして逃げる日々を送っていた。 そんな主人公が成り行きで入部させられた水泳部。 部員は「姫」と呼ばれる天才スイマーの同級生と、主人公と同じく成り行き で入部させられた「モー次郎」の 3 人だけ。彼等は水泳部顧問のわがままな提 案によって、なくなってしまう美里中学校の名前を残すため、大切な人のため、 優勝すべくトライアスロン大会に挑むこととなる・・・。 スポーツを通して少年少女の青春を語るというありがちな設定ながら、大会 で優勝して終わる、という小説ではありません。最後に少し衝撃的で悲しい出 来事が待っています。その部分にも注目し読んで欲しいと思います。 みなさんは嫌なことや無理だと思うことから逃げて生活していませんか? 嫌だと思っていたことでも取り組んでいくうちに楽しさを見いだすかもしれ ません。これから先、可能性やチャンスがみなさんの前に訪れると思いますが、 逆にそのチャンスを自分で自信がないからということを理由に狭めていくこと はいけないと思います。勉強にしても、部活にしても、習い事にしても、逃げず に挑戦していきましょう。 ★著者『関口 尚(せきぐち ひさし) 』豆知識★ 何かを言い訳にして辛いことから逃げること。失敗や負けることを恐れ逃げ 続けること。そんな自分から脱出する。「絶対抜け出してやる」そう心の中で誓 うことができる作品です。 作家 1972 年 09 月― 栃木県岩舟町出身。幼いころから読書を好んだ。 高校時代は武者小路実篤や志賀直哉などの純文学作品に傾倒し、 次第に作家への憧れを抱くようになった。1991 年、栃木県立栃木 高校を、96 年、岩手大学人文社会科学部を卒業。 ★上田 裕太(ウエダ ユウタ)先生の紹介★ 同大学で聴講生として 1 年過ごし、97 年から茨城大学大学院人文 科学研究科に入る。大学院では中古文学を研究し、平安時代の歌物語『平中物語』を *担当科目・クラス 深く掘り下げた。 国語 (中 1 年 1~3 組) *星座 → しし座 *趣味 → スポーツ観戦(特に野球)、書道 *自分の中学・高校生活 中学は勉強に部活、高校は勉強中心に過ごし ていました。 *本校生の印象 元気な生徒が多い *感動した本 「99のなみだ : 涙が心を癒す短編小説」 リンダブックス編集部編 【著】 泰文堂 出版 *読むことが望ましい本 1999 年の大学院修了後も定職につかず、栃木県内の映画館で映写機オペレーターの アルバイトをしながら生計を立て、長年の夢だった小説家を目指すようになる。2001 年、本格的に執筆活動をスタート。02 年、映画館の受付嬢に憧れる高校生の一直線な 恋心を描いた処女作『プリズムの夏』が第 15 回小説すばる新人賞を受賞し、文壇デビ ューを果たす。04 年には、自分自身が大学時代を過ごした盛岡市を舞台に、鉱石ショッ プのアルバイト店員として働く大学生たちの人間模様を描いた『あなたの石』(集英社) を発表した。 2007 年、3 作目となる『空をつかむまで』(集英社)が、若手作家の登竜門・第 22 回坪田 譲治文学賞を受賞。「大人も子供も共有できる世界」を描いたとして選考委員から高く評 価された。・・・・・・・・・ 出典:JapanKnowledge Lib Who‘s Who 図書館 ☆関口尚【著】本校図書館所蔵本の紹介☆ ・ブックのいた街 祥伝社 出版 「アルケミスト : 夢を旅した少年」 パウロ・コエーリョ 【著】 角川 出版 “最高の友人”との忘れられない日々を描く、ぎゅっと抱 きしめたくなる物語。 ・プリズムの夏 集英社 出版 ひたむきな想いを描く青春小説。 ・ナツイロ 集英社 出版 彼女に振り回された季節は、それでも輝いた日々だったの かもしれない。今どき大学生の青春小説。 ・パコと魔法の絵本 幻冬舎 出版 編集後記:著者関口尚の作品は少年少女の成長物語が多く、お薦め本 「空をつかむまで」は中学生が主人公ですが、処女作「プリズムの夏」は生 き生きとした高校生が主人公です。「空をつかむまで」を読み終えたら是 非、他の作品も読んでみてください。心の扉がまた一つ開くかもしれませ ん。 昨日を失った少女の心に特別な思い出を残そうとした大 人たちの、心温まる奇跡の物語。 常翔学園中・高図書館
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