E-FIELD Education For Implementing End-of-Life Discussion Education For Implementing End-of-Life Discussion ロールプレイ1 もしも、のときについて 話し合いを始める ―イントロダクション Education For Implementing End-of-Life Discussion 目的 生命の危機がある疾患に直面している患 者・家族と今後の人生、生活、医療につ いて話し合うことができる – アドバンス・ケア・プランニングを理解する – 病状の認識を確かめる – 話し合いを導入する Education For Implementing End-of-Life Discussion 事例1… 82歳男性、高血圧、高脂血症、心房細動、 陳旧性心筋梗塞、脳梗塞後遺症で加療中。 10年前に心筋梗塞を発症、冠動脈ステント が留置されている。8年前に脳梗塞を発症し、 左片麻痺となったが、リハビリで歩行可能 な状態となった。左半身の筋力低下は残存 している。 徐々に全身状態が低下し、嚥下機能も低下 してきている。 先月誤嚥性肺炎で入院。この1年で2回目の 入院であった。加療され、2週間で退院。 Education For Implementing End-of-Life Discussion …事例1 主治医は、今後も肺炎を繰り返す可能性 が高いと判断。 全身の動脈硬化も進んでおり、再び脳梗 塞、脳出血、虚血性心疾患を発症するリ スクが高いと考えている。 今日は退院後初めての外来。今後の治療 療養、家庭での生活を話し合う目的であ なたのところに相談に来た。 Education For Implementing End-of-Life Discussion 今日は退院後の初めての外来です。 今後の治療・療養について話し合おうと 考えています。 どのようなことを話し合いますか? 話題をどのように切り出しますか? Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ケア・プランニング Advance Care Planning(ACP):定義 今後の治療・療養について患者・家族と医療従 事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス – 患者が望めば、家族や友人とともに行われる – 患者が同意のもと、話し合いの結果が記述され、定 期的に見直され、ケアにかかわる人々の間で共有さ れることが望ましい – ACPの話し合いは以下の内容を含む • • • • 患者本人の気がかりや意向 患者の価値観や目標 病状や予後の理解 治療や療養に関する意向や選好、その提供体制 http://www.ncpc.org.uk/sites/default/files/AdvanceCarePlanning.pdf Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ケア・プランニング(ACP) Advance Care Planning: A Guide for Health and Social Care Staff. National End of Life Care Programme, Web site. Available at: http://www.endoflifecareforadults.nhs.uk/assets/downloads/pubs_Advance_Care_Planning_guide.pdf . Accessed August 9, 2010 Education For Implementing End-of-Life Discussion 歴史的変遷 いずれも、意思表示が難しい状態になっ ても患者の意向を尊重した医療を行うこ とを目的としている アドバンス・ ディレクティブ 代理決定者の決定 アドバンス・ ケア・ プランニング リビングウィル Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ディレクティブ 利点 医師ー代理決定者間のコミュニケーション が改善 – しかしながら、代理決定者は苦悩を感じる Teno J. JAGS 2007 遺族調査の結果、アドバンス・ディレク ティブの表明がある患者の方が“積極的な延 命治療”を受けていない Silveira MJ, NEJM 2010 Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ディレクティブ 問題点 予想することの困難さ 仮想症例に回答することの難しさ – 低いヘルスリテラシー、教育水準、重篤な病状 健康な時は障害を受け入れられないがいざ となると受け入れる – 例)頭頚部がん患者の気管切開 適応することの難しさ – 選択肢に具体性がない(例:尊厳を保つ) – 手術、化学療法、転院などへの対応 Education For Implementing End-of-Life Discussion 書類があっても役立たない? 患者ー代理決定者ー医療者が、患者の意 向や大切なことをあらかじめ話し合うプ ロセスが重要 プロセスを共有することで、患者がどう 考えているかについて深く理解すること ができる→複雑な状況に対応可能になる Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ケア・プランニング Advance Care Planning(ACP):定義 今後の治療・療養について患者・家族と医療従 事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス – 患者が望めば、家族や友人とともに行われる – 患者が同意のもと、話し合いの結果が記述され、定 期的に見直され、ケアにかかわる人々の間で共有さ れることが望ましい – ACPの話し合いは以下の内容を含む • • • • 患者本人の気がかりや意向 患者の価値観や目標 病状や予後の理解 治療や療養に関する意向や選好、その提供体制 http://www.ncpc.org.uk/sites/default/files/AdvanceCarePlanning.pdf Education For Implementing End-of-Life Discussion アドバンス・ケア・プランニング はなぜ必要か? 患者の意向を最大限に尊重 – 一般国民の約7割は事前指示書の考え方に賛成 厚生労働省人生の最終段階における医療に関する意識調査 2013 治癒が不可能な化学療法中のがん患者の7080%は治癒が不可能であることを理解してい ない Weeks JC, NEJM 2012 終末期においては約70%の患者で意思決定が 不可能 Silveira MJ, NEJM 2011 Education For Implementing End-of-Life Discussion ACPの効用 ACPを行うと – 患者の自己コントロール感が高まる Morrison, J Am Geriatr Soc. 2005 – 死亡場所との関連(病院死の減少) Degenholtz, Ann Intern Med. 2004 – 代理決定者ー医師のコミュニケーションが改善 Teno J. JAGS 2007 – より患者の意向が尊重されたケアが実践され、 患者と家族の満足度が向上し、遺族の不安や抑 Detering K, BMJ 2010 うつが減少する Education For Implementing End-of-Life Discussion 今後のこと いつ話し合うか? 決められたものはない 以下の時が話しやすいといわれている – 状態が比較的安定している – 判断が差し迫っていない – 手術、入院など大きな疾患の変化を乗り越え た時 Education For Implementing End-of-Life Discussion 概要 生命の危機がある疾患に直面している患者 と今後の人生、生活、医療について話し合 うことができる –一般的なルール –病状の認識を確かめる –話し合いを導入する –代理意思決定者を選定する –療養や生活での不安・疑問を尋ねる –療養や生活で大切にしたいことを尋ねる –治療の選好を尋ね、最善の選択を支援する –代理決定者の裁量権について尋ねる Education For Implementing End-of-Life Discussion 概要 一般的なルール 病状の認識を確かめる 話し合いを導入する 代理決定者を選定する 療養や生活での不安・疑問を尋ねる 療養や生活で大切にしたいことを尋ねる 治療の選好を尋ね、最善の選択を支援する 代理決定者の裁量権について尋ねる Education For Implementing End-of-Life Discussion 一般的なルール… 礼儀正しく、丁寧に 患者・家族の防衛機制に応じて侵襲的で ないコミュニケーションを 表情、動作に留意し空気を読む つらそうな反応や言動があったらそこで 止める もしよろしければ~について伺いたいの ですが もしも・・・万が一・・・ Education For Implementing End-of-Life Discussion …一般的なルール… 相手の感情に留意 – 表情、視線、しぐさ 感情に気づいたら、感情への対応を優先 する – これをおろそかにすると、質の高いコミュニ ケーションは難しい • 時には時間の浪費になってしまうことさえある Education For Implementing End-of-Life Discussion …一般的なルール Hope for the best, Prepare for the worst. – まず患者・家族の希望や大切にしていること を尋ね、探索し、共感し、理解する – そのうえで、今後の病状の変化に備えて、も しもの時についての話を切り出す まず経験を尋ねる – その内容を探索する Education For Implementing End-of-Life Discussion 概要 一般的なルール 病状の認識を確かめる 話し合いを導入する 代理決定者を選定する 療養や生活での不安・疑問を尋ねる 療養や生活で大切にしたいことを尋ねる 治療の選好を尋ね、最善の選択を支援する 代理決定者の裁量権について尋ねる Education For Implementing End-of-Life Discussion 病状理解を尋ねる 病状についてどのように説明を受けてい らっしゃいますか? 今後の治療についてどのように説明を受け ていらっしゃいますか? ○○さんの病状についてはカルテを読ませ ていただいたので、大体のことは承知して いるのですが、今後のことをご相談するた めに○○さんが病状をどうとらえていらっ しゃるのかを伺いたいと考えています Education For Implementing End-of-Life Discussion 概要 一般的なルール 病状の認識を確かめる 話し合いを導入する 代理決定者を選定する 療養や生活での不安・疑問を尋ねる 療養や生活で大切にしたいことを尋ねる 治療の選好を尋ね、最善の選択を支援する 代理決定者の裁量権について尋ねる Education For Implementing End-of-Life Discussion 経験を尋ねて探索する… 万が一の時のことを考えてお聞きするので すが、 – 前回と同じような状況になった時のことを~ – 病状のために身の回りのことをすることがで きない状態になった時のことを~ ~お考えになったことがありますか? – もしよろしければ、詳しく教えてください もしもの時のことについて、これから相談 をしていきたいと思うのですがよろしいで しょうか? Education For Implementing End-of-Life Discussion …経験を尋ねて探索する お身内やご友人の方で、(テレビなどで)重い病 で危篤になられた方をご覧になった経験はありま すか? – そのときにどんなことをお感じになりましたか? それはなぜですか?詳しく教えてください ご自分が同じような状態になられたら、どうしよ うとお考えになったことはありますか? もしもの時のことについて、これから相談をして いきたいと思うのですがよろしいでしょうか? Education For Implementing End-of-Life Discussion ロールプレイをしてみよう このロールプレイは以下の2点に着目して 行います 一般的なルールを使ってみる もしもの時について話し合いを始め る Education For Implementing End-of-Life Discussion 事例1… 82歳男性、高血圧、高脂血症、心房細動、 陳旧性心筋梗塞、脳梗塞後遺症で加療中。 10年前に心筋梗塞を発症、冠動脈ステント が留置されている。8年前に脳梗塞を発症し、 左片麻痺となったが、リハビリで歩行可能 な状態となった。左半身の筋力低下は残存 している。 徐々に全身状態が低下し、嚥下機能も低下 してきている。 先月誤嚥性肺炎で入院。この1年で2回目の 入院であった。加療され、2週間で退院。 Education For Implementing End-of-Life Discussion …事例1 主治医は、今後も肺炎を繰り返す可能性 が高いと判断。 全身の動脈硬化も進んでおり、再び脳梗 塞、脳出血、虚血性心疾患を発症するリ スクが高いと考えている。 今日は退院後初めての外来。今後の治療 療養、家庭での生活を話し合う目的であ なたのところに相談に来た。 Education For Implementing End-of-Life Discussion ロールプレイ1… 2人組を作ってください まず、Aさん、Bさんを決めてください まず、個人で作業をします。7分間で、 自分が相談員だったとして、自分がどん な言葉で話し始め、どのように声掛けを するか、書き出してみましょう Education For Implementing End-of-Life Discussion …ロールプレイ1… Aさんは患者役 Bさんは相談員役です 2分間で役になりきってください Education For Implementing End-of-Life Discussion …ロールプレイ1… 役になりきる :2分 ロールプレイ :10分 フィードバック :5分 全体での振り返り :3分 Education For Implementing End-of-Life Discussion …ロールプレイ1… では、開始してください。時間は10分間 です。時間が余ったら役を解かず、患者 と相談員の関係で世間話を続けてくださ い Education For Implementing End-of-Life Discussion フィードバック 一般的なルールを使ってみる 話し合いを始める について、どのような点がよかったか、ど んな話し方が有効だったか、改善すべきと ころはどこかを話し合ってください Education For Implementing End-of-Life Discussion まとめ 生命の危機がある疾患に直面している患 者・家族と今後の人生、生活、医療につ いて話し合うことが重要である – 非侵襲的なコミュニケーションを心がける • 経験を聞き、探索する • 万が一、もし・・・としたら – 最善を期待し最悪に備える – 話し合いを切り出すことができる Education For Implementing End-of-Life Discussion
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