~ 教育は「愛」 ~

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教育は「愛」 ~
校
長
千
葉
裕(ちば
ひろし)
「千葉先生、行き着くところ、教育は“愛”なんですよ。そこのところをもっと、現場の先生
方に分かって欲しいなぁ・・・。」
お会いする度に、ビールジョッキを片手に、笑顔で、熱っぽくお話ししてくださったのは、私
の恩師、高橋健夫(たかはし たけお)先生(筑波大学副学長、日本体育大学副学長)です。日
本の体育科教育を力強く牽引してくださった高橋先生でしたが、多くの弟子たちに惜しまれなが
ら一昨年、天国へ旅立たれました。
私は、高橋先生が天国へ行かれてから、「教育は“愛”」という言葉の意味の深さに改めて気付
かされました。教師である以上、子どもたちにとってよい授業の指導方法を探究し、授業の腕を
磨くことは、当たり前のことです。しかし、理論や手法だけではなく、もっと大切なものは、
「愛」なのです。見返りを求めず、只ひたすらに子どもたちの成長や成功を願い、教師として自
分の出来る最高の力を発揮しようと発奮すること。その思いが、子どもたちに通じた時、教師と
子どもたちとの間に、深い「絆」が結ばれ、忘れられない思い出を胸に刻むこととなるのです。
壺井 栄氏の『二十四の瞳』に登場する大石久子先生(おなご先生)は、教え子たち12人の
24の瞳をいかなることがあっても、輝かせなくてはならない、という感慨をもって教壇に立
ち、「愛」を注ぎます。やがて、子どもたちの一途に大石先生を慕う姿に感動した島の大人たち
も、大石先生へ信頼を寄せるようになります。
私は、小学校6年生の時にこの小説を読み、映画も観ました。以来、「大石先生と子どもたちの
“絆”」は、教師の在り方の理想像として今でも明確に胸に描いています。そして、高橋先生の
「教育は“愛”」という言葉とこの理想像は重なるのです。
私たち教師は、「教育」という営みを通して、子どもたちと一緒に、人としての生き方を学んで
いきます。その根幹に据えるのは、私は「愛」だと思います。
ある男の子から手紙をいただきました。
「サッカー大会で学んだことは、数えきれないほどありましたが、中でも一番心に残った言葉
は【愛】という言葉です。最初はよく分からなかったけれど、辞書で【愛】を引いてみると『大
事にする、また、大切に思う』と載っていました。それを読んでぼくは幸せだな、と思いまし
た。なぜなら校長先生が言っていた通り、石川先生がいるからです。校長先生の言葉で、ぼくは
石川先生を中央大会で優勝させてあげようと思って、その結果、優勝できたのだと思います。本
当にありがとうございます。」
石川先生の「愛」が、子どもたちに伝わり、深い「絆」となって「優勝」という2文字に輝い
たのです。私自身、今回のサッカー中央大会で、石川先生と66の瞳から「愛」の力を学ばせて
いただきました。
☆ 「教育は“愛”」