教育基本法(条文) 昭和二十二年三月三十一日 法律第二十五号 第九条︵宗教教育︶ して、また宗教のうち一定の宗派を信 ①宗教に関する寛容の態度及び宗教の ずる又は信じないことに関して、他宗 社会生活における地位は、教育上これ 教ないし他宗派をそれと認めつつ、侮 を尊重しなければならない。 べつ、排斥をしないこと、ゆるしいれ ②国及び地方公共団体が設置する学校 ることであり、さらに反宗教者に対し は、特定の宗教のための宗教教育その ても寛容の態度をとること 他宗教的活動をしてはならない。 ○﹁宗教の社会生活における地位﹂ ◎本条の趣旨 宗教が歴史上社会生活において果た ・本条は、憲法第二十条第三項を受け してきた役割、過去の偉大なる宗教家 た規定。 の人格、宗教が現在の社会生活に占め ・第一項は、すべての教育を通じて、 ている地位、及びその社会的機能、及 宗教教育が重んぜられるべきことを前 び宗教の本質等を、一宗一派に偏する 提として、 宗教教育の在り方を示すもの。 ことなく、客観的態度で教材の中に取 ・第二項は、憲法の政教分離の規定を り入れること 受けて、国公立学校の宗教的中立性、 すなわち宗教教育の限界︵特定の宗教 ○﹁特定の宗教のための宗教教育﹂ のための宗教教育ないし宗教的活動の 学説上、以下のいずれも禁止される 禁止︶を示すもの。 と解するのが有力。 a .特定の宗教のための宗教教育 ︵参考法令︶ b. すべての宗教のための宗教教育︵宗 日本国憲法 教一般を宣伝する目的で行われる教 ①第二十条 信教の自由は、何人に対 育︶ してもこれを保障する。いかなる宗教 c .宗教を排斥することを目的として 団体も、国から特権を受け、又は政治 行われる教育 上の権力を行使してはならない。 ②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式 ○﹁宗教的活動﹂ 又は行事に参加することを強制されな の意味については、﹁行 ﹁宗教的活動﹂ い。 為の目的が宗教的意義をもち、その効 ③国及びその機関は、宗教教育その他 果が宗教に対する援助、助言、促進又 いかなる宗教的活動もしてはならない。 は 圧 迫、 干 渉 等 と な る 行 為 ﹂ ︵昭和 年最高裁判決︶とされている。 ○﹁宗教に関する寛容の態度﹂ 宗教を信ずる又は信じないことに関 ︵文部科学省ホームページより抜粋︶ 5 SOUSEI 2006. 4 教 育 基 本 法 ︵現 行︶ 第六条︵学校教育︶ 朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝国議会の協賛 を経た教育基本法を裁可し、ここにこれを公布せ 法律に定める学校は、公の性質をもつものであ しめる。 つて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法 人のみが、これを設置することができる。 教育基本法 ②法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であ つて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主 的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類 めなければならない。このためには、教員の身分 の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理 は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなけ 想の実現は、根本において教育の力にまつべきも ればならない。 のである。 第七条︵社会教育︶ われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を 希求する人間の育成を期するとともに、普遍的に 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行 してしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育 われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励 を普及徹底しなければならない。 されなければならない。 ②国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的 を明示して、新しい日本の教育の基本を確立する 館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当 ため、この法律を制定する。 な方法によつて教育の目的の実現に努めなければ ならない。 第一条︵教育の目的︶ 第八条︵政治教育︶ 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及 び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育 の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的 上これを尊重しなければならない。 精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期し ②法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又 て行われなければならない。 はこれに反対するための政治教育その他政治的活 動をしてはならない。 第二条︵教育の方針︶ 第九条︵宗教教育︶ 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所 において実現されなければならない。この目的を 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活に 達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生 おける地位は、教育上これを尊重しなければなら 活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力 ない。 によつて、文化の創造と発展に貢献するように努 ②国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の めなければならない。 宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしては ならない。 第三条︵教育の機会均等︶ 第十条︵教育行政︶ すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教 育を受ける機会を与えられなければならないもの 教育は、不当な支配に服することなく、国民全 であつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済 体に対し直接に責任を負つて行われるべきもので 的地位又は門地によつて、教育上差別されない。 ある。 ②国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわ ②教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を らず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、 遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として 奨学の方法を講じなければならない。 行われなければならない。 第四条︵義務教育︶ 第十一条︵補則︶ 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育 この法律に掲げる諸条項を実施するために必要 を受けさせる義務を負う。 がある場合には、適当な法令が制定されなければ ②国又は地方公共団体の設置する学校における義 ならない。 務教育については、授業料は、これを徴収しない。 附則 第五条︵男女共学︶ この法律は、公布の日から、これを施行する。 男女は、互に敬重し、協力し合わなければなら ないものであつて、教育上男女の共学は、認めら れなければならない。 52
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