事業計画 - 一般社団法人 日本建築構造技術者協会(JSCA)

2015年度事業計画書
□活動方針
JSCA は、2014 年度に法人化 25 周年記念事業として全国
各支部で様々な活動を行い、構造設計の専門家団体として
社会に貢献し続けていくことを強くアピールした。2015 年
度はこれらの活動を踏まえて、構造設計一級建築士をはじ
めとした多くの構造設計関係者を会員として集結し、建築
や街の安全・安心を確保するための活動を継続しつつ JSCA
の発展を図っていく。また、構造家懇談会からの究極の目
標である「構造設計者として厳しく高く自戒し後進を育成
しつつ、この職能に対する社会の評価と信頼をかちとり、
将来、幾世紀にも亘って地球上の人間の生活空間の構造を
支えていく」に向けて、構造設計者のさらなる職能向上を
目指した活動を行う。
東日本大震災から得られた教訓のひとつとして、天井を
含む非構造部材の安全性確保の重要性があげられる。JSCA
は 2014 年 6 月に「非構造部材の安全性確保に関する提言」
を発表し、建築に関わる全ての専門家がそれぞれの役割を
果たしていくことが必要ということを主張しつつ建築関係
団体と意見交換などの活動を継続してきた。2015 年度は
JSCA の提言にしたがって、引き続き建築関係団体との協議
を行うとともに、非構造部材の安全性確保のための仕様書
等の策定および出版物刊行を実施し、さらに講習会等で建
築に関わる設計者・施工者に啓蒙活動を実施していく。
防災・減災を目的とした「国土強靱化基本法」が 2013
年 12 月に施行され、また、南海トラフ巨大地震、首都圏直
下地震および上町断層地震等の災害予測が各地域で公表さ
れるなどにより、防災に対する社会の関心はますます高ま
りを見せている。特に、既存建築物の耐震安全性確保につ
いては、改正耐震改修促進法の施行により、多くの公共お
よび民間建築物の耐震診断/耐震改修が進みつつある。
JSCA は、耐震診断/耐震改修設計の相談および診断・改修
内容の確認などの活動支援を引き続き行うとともに、新築
の設計より難しい場合があると言われる耐震改修設計につ
いて、構造設計者のさらなる技量向上を図るための活動も
行う。また、建築構造相談コーナーを運用し、一般の建築
物のオーナー等からの相談への対応を継続する。
JSCA は、従来から、建築物の安全・安心の確保のために
は建築基準法だけでは十分でなく、性能設計や社会との対
話が重要であると提唱してきた。2015 年度は以前に公表し
ている性能メニューのうち耐震性能に関するメニューの内
容を見直す。また、長周期・長時間地震動および直下型地
□事業計画
1.重点目標に関連する事業
1)非構造部材の安全性確保
(1)関係者の役割の検討および建築関係団体
との協議継続
(2)非構造部材の安全性確保に関する情報整備
および出版活動
(3)講習会等による啓蒙活動
震等による入力地震動が近年、話題になっており、これら
の地震動も含めた耐震安全性を評価することが求められて
いる。特に、免震・制振システムを採用した応答制御構造
において上記の課題等の検討を継続して行い、その成果を
会員や社会に発信していく。
社会との対話に向けた活動として、2012 年に発行したパ
ンフレットを活用して、会員が日常業務でクライアントと
の対話活動を引き続き行うよう促すとともに、パンフレッ
トの利用により設計者とクライアントとの対話活動がどの
ような効果を挙げているかを検証し、今後の活動のさらな
る展開に繋げていく。
構造設計者の活力や情報発信力を高めるためには、職能
研鑽が重要である。2015 年度は、より多くの地域の会員が
同じ内容の講習を受ける機会を増やしていくために、IT を
活用した講習会を実施する。また、本部と支部とのウェブ
会議を活用した委員会活動も推進する。次世代の構造設計
者の育成のための活動も積極的に進める。特に本部および
支部で開催される「構造デザイン発表会」は、若手会員を
中心とした発表・意見交換等による能動的な職能研鑽の機
会として位置づける。さらに、構造設計の本質を次世代の
構造設計者に伝承する研修活動も充実させつつ、会員の増
強もあわせて図っていく。
「自然との共生」「自然エネルギーの利用」「長寿命化へ
の対応」等、地球環境に配慮した建築が求められている。
JSCAは、環境配慮型建築に対して構造設計としてどのよう
な対応が可能かの検討を行う。また、環境配慮の具体策の
ひとつとして木造建築への取り組みが考えられるので、
中・大規模木造建築の構造設計に関する情報整備、教育お
よび啓蒙活動を充実させる。
このほか、定款第3条に定める目的達成のための対外的、
社会的な活動を引き続き継続する。
以上のような認識に立ち、2015年度は以下の5項目を重点
目標として活動を行う。
1)非構造部材の安全性確保
2)既存建築物の安全・安心の確保
3)性能設計に向けた活動
4)職能研鑽と次世代の育成
5)環境配慮に資する構造設計の普及・促進
2)既存建築物の安全・安心の確保
(1)耐震改修事例の情報交流
(2)耐震診断/改修に携わる構造設計者支援
(3)建築相談コーナーの運用
3)性能設計に向けた活動
(1)耐震性能設計メニューの改訂
(2)応答制御構造の課題の検討
(3)社会に向かっての広報活動
4)職能研鑽と次世代の育成
(1)ITを活用した講習会(定期講習会等)の実施促進
および委員会活動の推進
(2)「構造デザイン発表会」および研修活動による
次世代の構造設計者の職能研鑽
(3)中堅・若手会員の増強
5)環境配慮に資する構造設計の普及・促進
(1)環境配慮型建築に資する構造設計・技術の検討
(2)中大規模木造建築の構造設計の情報整備と啓蒙
活動
2.その他の定款に定める事業
1)建築構造の設計、工事監理等に関する調査研究
および規準の作成
(1)建築構造の設計、工事監理等に関する調査研究
(2)第三者による構造性能確認を行うピアレビュー
制度の推進
(3)建築構造に関する調査研究の受託
(4)建築構造の設計および工事監理に関する規準の
必要に応じた見直し、検討および普及
(5)建築構造技術者の職能・業務・報酬基準の必要に
応じた見直し検討
2)建築構造の設計、工事監理等に関する技術書の
刊行および会誌の発行
(1)技術書の刊行および会誌の発行
(2)協会PRのための出版物の刊行
3)建築構造技術の向上に関する国際交流の推進
(1)日米建築構造技術協議会への協力
(2)日中建築構造技術交流会への協力
(3)世界構造技術者会議開催への協力
(4)建築構造設計に関する国際会議等への参加
4)建築構造の設計および工事監理等に関する
講習会等の開催
(1)調査研究発表会、講演会および見学会等の開催
(2)構造設計実務者研修(基礎編、
実践編及び応用編)
の開催
5)建築構造の設計者・工事監理者の育成および登録
(1)JSCA建築構造士制度にかかる認定試験、登録
および定期講習等の実施
(2)構造デザイン発表会の開催
6)建築構造の設計者・工事監理者の表彰
(1)JSCA賞の選考および表彰
(2)JSCA賞受賞者講演会の開催
7)地震等災害時における公的機関が行う被害調査等
への協力
(1)地方公共団体等からの要請に基づく
建築物応急危険度判定等の実施
(2)被害調査等の実施
8)建築構造の設計者・工事監理者等への建築構造の
設計および工事監理等に関する助言及び支援
(1)構造設計者、建築物所有者およびマンション管理
組合等からの依頼による構造レビューの実施
(2)構造設計者、建築物所有者およびマンション管理
組合等からの依頼による耐震診断・補強判定等の
実施
9)その他本協会の目的達成のための事業
(1)建築行政への協力および提言
①建築設計および工事監理業務の専門分化に伴う
諸制度の見直しに関する行政への提言
および協力
②建築構造に関する技術基準等の制定・改定
について行政への協力および提言
③既存建築物の耐震化推進に関する行政への協力
④業務報酬基準等に関する法制度運用への提言
および協力
(2)関係諸団体との相互交流
①建築構造技術者の資格制度および継続職能開発
(CPD)について関係諸団体との連携
②各種催物の共催等、関係諸団体との協力・交流
の促進
③建築構造の設計および工事監理に関わる
業務報酬体系整備に関する関係団体との
共同研究および調整
(3)平常時および非常時における一般市民・地域行政
を対象にしたボランティア活動の実施