構造デザインのめざすもの その 2 「キール・アーチは諸悪の根源、か

ASDO・JSCA 東京共催
研修会
構造デザインのめざすもの
その 2
「キール・アーチは諸悪の根源、か」
-形態抵抗構造の課題とデザイン-
平成 27 年 8 月
共催
東京構造設計事務所協会(ASDO)
日本建築構造技術者協会(JSCA)
皆様
猛暑が続く昨今ですが、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申しあげます。この研
修会も皆様のお陰をもちまして、毎回盛況の内に開催させて頂いていることに感謝申し上げます。
今回の研修会は前回に引き続き日本大学名誉教授斎藤公男先生による「構造デザインの目指すもの」
の第 2 回目のご講演として、下記の通り開催いたします。ご講演の内容については斎藤先生から別紙の
ような要旨を頂いています。要旨にありますように、今回は現在流動的な状況にある新国立競技場計画
にも関係するお話をして頂ける予定です。多くの皆様の御参加をお待ちしております。
記
テーマ: 「キール・アーチは諸悪の根源、か」 -形態抵抗構造の課題とデザイン-
日時 : 2015 年 9 月 29 日 (火) 受付:16 時 30 分~
研修会開始:17 時
場所 :日大理工学部駿河台校舎 1 号館 6 階 CST ホール
プログラム: 司会
市村隆幸(親交設計代表)
17:00~17:05
趣旨説明
金田勝徳(構造計画プラスワン)
17:05~19:00
講演(休憩 10 分)
会費(資料代): 正会員・準会員・賛助会員・会員事務所所員・JSCA 会員
非会員
¥2,000
学生
¥500
¥1,500
参加希望の方は本申込用紙にご記入の上、E-MAIL または FAX にて下記まで申し込み下さい。
申込締切日 2015 年 9 月 15 日(火)なお締め切り日前でも定員になり次第、締めきらせて頂
きますのでご了承願います。
問合せ先(株)星野建築構造設計事務所
申込書送付先
E-MAIL:[email protected]
東京構造設計事務所協会
□
TEL 03-3406‐3615
FAX:03‐3406‐3614
2015 年
御中
9 月 29 日(火)開催の ASDO・JSCA 東京共催
構造デザインのめざすもの
月
日
研修会
その 2「キール・アーチは諸悪の根源、か」
に参加を申し込みます
氏
名
所
属
会員種別
( 正
準
賛助 ) 会員
非会員
学生
講演要旨
日本大学理工学部名誉教授
斎藤公男
フィジカルな意味で、そして地球上では、空間を成立させる基本は「構造」である。構造のあり様に
よって建築の空間や形態が変化し、その質が決定される。そして建築の構造もまたひとつの有機体であ
り、外から見える形式や形状は多くの支配因子の選択によって決定されたひとつの「解」(総合)。その
生成のプロセスもまた、きわめて重要といえる。ここにモフォロジーとなる言葉は注目される起点があ
る。
“Morphology”という言葉の起源は 19 世紀半ば、ギリシャ語の Morphe(形態)と Logy(学)からの造
語。一説によれば、Forum は Morphe の逆語で、ゲーテによってつくられたといわれる。生物学におけ
る形態の変化や組織体を意味し、form、shape、type、configuration といった類義語とは異なった、奥
の深いニュアンスをもっている。
時代の思潮のみが突出していく世界と並んで、一方では普遍的で説得力のある「構造形態」を追求す
る世界がある。
「空間と構造の交差点」に介在する原理と創造への関心こそが、そこにコラボレートする
人との間に実りある対話をつくりだすはずである。
そもそも空間構造とはなにか。
「Space Structure、空間構造とは使い勝手の自由な広大な内部空間を創ることを目的として、これを
外部空間としてとらえた時、環境 Surroundings、Environment との釣り合いが十分成り立つ構造をい
う。内部空間は第一で、外部空間は第二である。本構造の実利は第一で終わる」(坪井善勝「空間構造と
Space Structure とは」
『建築雑誌』1971,11)。
Space(Spatial)Structure に対するイメージや定義は人によって多少違うようであるが、その基本的特
徴として次の二点があげられよう。ひとつは構造体自身がも形態的な抵抗が顕著なもの。最も単純なも
のはアーチとカテナリーが示す軸力構造である。梁の持つ“量的な抵抗”に比べ“質的な抵抗”という
べきか。構造体はスリムになり、軽く、そして柔らかくなる。したがって、座屈や大変形といった特有
な構造問題が現れる。
「形態」と「構成」は空間造形にとっても生命でもある。
「形態抵抗」と「立体抵抗」をもつ空間構造に
とって“構造表現”がいかに大きなテーマであるかという理由はここにある。
<「空間構造物語」(彰国社、2003)より>
昨今、注目を浴びるオリンピック施設をめぐる様々な言説の中で看過できないフレーズが目につく。い
わく「アーチ構造は諸悪の元凶だ」と。そこには隠された要因があり、表に現れない多くの議論が省略
されたためにひき起こされる誤解を誰もが危惧していよう。ここではアーチ構造に代表される“形態抵
抗”の歴史的系譜を辿ると共に、多様なデザインを展望する中で今日的課題を考えてみたい。
日本大学理工学部駿河台校舎 1 号館
案内図