社会ソリューションを支えるICT技術を磨く

公益社団法人
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
2015 年 10 月 6 日
ICT ベンダの事業の現状と今後
-社会ソリューションを支える ICT 技術を磨く-
日本経済研究センター
研究本部
2015 年 9 月 16 日(水)に第 11 回会合を開き、総合 ICT ベンダの事業の現状と今後
についての討論を行なった。変動の大きいデバイス供給や B2C 事業から撤退し、優位
性のある技術を活かしつつ安定的な社会ソリューションビジネスへ重点化しつつある
が、先端技術分野やビジネスモデル開発等における人材不足など、解決すべき課題も
明らかになっている。議論の要旨は下記の通り。
1. ICT ベンダは、変動が大きいデバイスや B2C 事業から撤退し、本来のコア技術を活
かしながら、継続的な社会貢献が可能なソリューションビジネスへ重点化しつつあ
る。但し、顧客ニーズを捉えるといっても、技術を軽視するわけではない。高性能
なコンピューティング、ブロードバンドネットワーク、ソリューションの実現能力
など、優位性のある技術領域を選択し、環境から生活分野まで幅広い社会ソリュー
ション分野に特化した事業展開を進めている。
2. その結果、画像認識のリアルタイム処理、災害時の都市の混雑予測、映像センシン
グによる構造物の劣化、大規模プラントの故障予兆監視、SDN によるサイバーアタ
ックへの自動防御など、低コストで高速なビッグデータ処理技術、仮想化など高度
なネットワーク技術などを活用した具体的な成果が出つつある。
3. その一方で、様々な課題もある。まず、ICT 人材だが、ビジネスモデルを変える発
想のある人材や、単なるプログラミングではなく人間の知性・創造性をフルに活用
するような能力を持つ人材が不足している。また、サイバーセキュリティについて
は、攻撃技術への取組みが弱いことが、防御の面にも影響しかねない。また、イノ
ベーションの主体として、既存の制度や枠組みに対して果敢にチャレンジするマイ
ンドも十分とは言えず、今後強化が必要な分野だろう。
4. ICT の進歩により、既存の労働の機会による代替と新たな職業の誕生、顧客価値起
点でのビジネスエコシステムの形成、企業連携による価値共創などがますます進む
だろう。ソリューション事業で足場を固めつつある ICT ベンダだが、こうした動き
に対応するため、厳しい経営環境をくぐり抜け、さらに変化していくことが必要だ。
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日本経済研究センター
情報通信技術が変える経済社会研究会
情報通信技術が変える経済社会研究会
座長
有識者
経済団体
メンバー
岩田
一政
公益社団法人日本経済研究センター理事長
浅見
徹
東京大学大学院情報理工学系研究科教授
奥和田久美
文部科学省科学技術・学術政策研究所上席フェロー
高口
鉄平
静岡大学大学院情報学研究科准教授
実積
寿也
九州大学経済学研究院教授
篠崎
彰彦
九州大学経済学研究院教授
日本経済団体連合会
エレクトロニクス、自動車関連、IT、小売、流通など会員企業等
10 社
企業
オブザーバー
NHK、総務省
アドバイザー
鈴木達治郎
日本経済研究センター特任研究員/長崎大学教授
高地
圭輔
日本経済研究センター主任研究員
小林
辰男
事務局
同
上
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