In Situ 細胞死検出キット、フルオレセイン

In Situ 細胞死検出キット、フルオレセイン
In Situ Cell Death Detection Kit, Fluorescein
DNA 鎖分解物の標識(TUNEL)法に基づく一細胞レベルでの、アポトーシス(プログラムされた細胞死)の免疫組織化学的検出 / 定量キット:蛍
光顕微鏡 / フローサイトメトリーによる分析が可能。
Cat. No. 1 684 795 1キット(50テスト)
Ver. 16.0
1. キット内容
注 意 標識溶液はカコジル酸塩を含み、吸入したり飲み込んだりすると有
害です。塩化コバルト(II)は、発がん性のおそれがあります。環境へ
の放出を避けて、使用の前に特別な知識を得てください。
使用時は口に入れたり、飲んだり、吸ったりしないで下さい。皮膚
や目に付着したら、多量の流水で十分洗い流してください。不測の事
態や気分が悪くなった場合は、医師の診断を受けてください。
上清はラベリング反応液から回収し、壊れにくいしっかりと蓋の閉
まる容器にいれ、内容を表示した上で、有毒廃棄物として廃棄してく
ださい。
注:酵素溶液は、カコジル酸塩を含まず無害です。
代替処理
・ 浸 透 化 溶 液:(0.1 %
Triton Ⅹ-100, 0.1 %
クエン酸ナトリウム)
新規調製物
・ペプシン(0.25%-0.5
%塩酸、pH2中)かト
リプシン 0.01規定 塩 酸 ヌ ク レ アー ゼ
フリー
・0.1M クエン酸バッフ
ァー、pH6 マ イ ク
ロウェーブ照射用
キット内容
キットの内容は以下の表を参照してください。
バイアル
/キャップ
1
青
2
紫
ラベル
標識プロトコール(セクション3.3)
陽性コントロール
(セクション3.3.1)
内 容
・細胞懸濁液
(セクション3.3.2)
・接着細胞
(セクション3.3.3)
困難な組織
(セクション3.3.4)
酵素溶液 ・ターミナルトランスフェラーゼ、リコン
ビナント( 保存バッファー中)
・10 倍濃度
・5 x 50μl
標識溶液 ・ヌクレオチド混合液(反応バッファー中)
・1 倍濃度
・5 x 550μl
必要な追加試薬
上記の試薬に加えて、いくつかの溶液を準備してください。表では、
異なる手順で必要とされる器材の概要を示しています。
手 順
器 具
試 薬
サンプルの前処理(セクション3.2)
・細胞懸濁液(セクショ ・シェーカー
・ 洗 浄 バッ ファー: リ
ン3.2.1)
・96穴Ⅴ底マイク
ン酸バッファー
(PBS)
・接着細胞、細胞スメア、 ロプレート
・ 固 定 液: パ ラ ホ ル
サイトスピン調製品
ム ア ル デ ヒ ド(PBS,
(セクション3.2.2)
pH7.4 中 4 %)
・凍結切片(セクション
・浸透化溶液:クエン酸
3.2.3.2)
ナトリウム0.1 %中 0.1
% Triton X-100(6)
パラフィン包埋切片
・キシレンおよびエタ
(セクション3.2.3.1)
ノー ル( 無 水、95 % ,
90% , 80% , 70% , -
再蒸留水で希釈)
・ 洗 浄 バッ ファー:
PBS
・プロテイナーゼ K(10
mMTris/HCl 中10~
20μg/ml)
・球菌ヌクレアーゼ
・DNase I, リ コ ン ビ ナ
ント
・パラフィルムも 洗浄バッファー:PBS
しくはカバース
リップ
・湿式チャンバー
・プラスティック ・0.1M クエン酸バッフ
ジャー
ァー、pH6
・マイクロウェー ・ 洗 浄 バッ ファー:
ブ照射装置
PBS
・湿式チャンバー ・ ト リ ス-HCL,0.1M
pH7.5 3% BSA,20%正
常牛血清を含む
2. 序論
2. 1 製品概要
試験原理
アポトーシスにおける DNA の断片化は、二重鎖低分子量 DNA 断
片(モノ、オリゴヌクレオソーム)と、高分子量 DNA 中のニックなど
を生じます。
これらの DNA 断片はフリーの 3' -OH 末端に、酵素反応により修
飾核酸を標識することによって同定できます。
ステージ
説 明
1
ターミナルトランスフェラーゼ(TdT)はテンプレートに
依存せずに 3' - OH DNA 末端への核酸の重合を触媒し、
DNA 断片の標識に用いられます(TUNEL 反応)。
2
取り込まれたフルオレセインは、蛍光顕微鏡あるいはフ
ローサイトメトリーで検出、定量化されます。
36
注:TUNEL 反応混合液は使用直前に準備し、保存しないで下さい。
TUNEL 反応混合液は、使うまでは氷上に置いて下さい。
利点
利 点
高感度
特異性
図1:ターミナルトランスフェラーゼにより固定された細胞の DNA 断片にフル
迅 速
簡便性
オレセイン標識 dUTP が付加されます。
アプリケーション
この in situ 細胞死検出キットは、細胞や組織のアポトーシスによ
る細胞死を一細胞のレベルで検出する正確、迅速、簡便なノンラジオ
アクティブ技術としてデザインされています。それ故、多くのアッセ
イシステムで使用可能です。例としては、
・基礎研究における、凍結及びフォルマリン 固定組織切片での個別
のアポトーシス細胞の検出
・癌研究における、薬品誘導アポトーシスへの腫瘍細胞の感受性の測
定
・不均一細胞群中で細胞死を起こしている細胞の二重染色によるタ
イピング(6、7)
汎用性
機能試験済み
特 徴
蛍光顕微鏡による一細胞レベルでの観察や、FACS
による細胞群レベルのアポトーシス細胞の検出(1, 2、6)。
ネクローシスに対して、アポトーシス細胞の選択的
標識(3,4)。
短い測定操作時間(1~2 時間)
・二次検出システムは必要ありません
・1回のインキュベーションと1回の洗浄だけです。
・試薬は安定化、至適化されています
・希釈操作は必要ありません。
・固定細胞、組織に適しています。これは、試料の
蓄積、 保存、輸送を容易にします(2, 5)。
・二重染色によりアポトーシスを起こしている細胞
の分化の状態や、タイプの同定を可能にします(6)。
全てのロットはマスターロットと比較して、アポト
ーシス細胞により機能試験がされています。
2. 2 背景情報
細胞死
細胞死の二つの形態である、アポトーシスとネクローシスは形態学
上、生化学上、死細胞の分子変化などの差異に基づき区別することが
できます。プログラムされた細胞死 / アポトーシスは、真核細胞の死
の最も一般的な形態です。これは、恒常性を維持する生理学的自殺
のメカニズムで、正常組織の成長過程において自然に起こります(8, 9)。
一般的に、アポトーシスを起こしている細胞は細胞膜に泡状の突起が
でき、核の崩壊を含む、核及び細胞質の構造変化の特徴的なパターン
を示します。核の崩壊は、クロマチンへの広範な傷害や、Ca2+ 依存
性内在性エンドヌクレアーゼの活性化によるオリゴヌクレオソーム単
位の長さの DNA 断片化を伴っています(10, 11)。しかしながら、形態学
的なアポトーシス像がオリゴヌクレオソーム DNA 断片化を伴なわな
い、ごく希な例外が知られています(37)。
特異性
TUNEL 反応は、アポトーシスにより生成する DNA 鎖分解物を優
先的に標識しますのでネクローシスや、放射線治療や細胞静的薬品に
より誘導される一次 DNA 鎖分解物と判別できます(3, 4)。
試験への干渉要因
偽陰性:ある形態のアポトーシスにおいては DNA 断片化がないか不
完全な場合があります(37)。TdT の DNA 断片への接近を邪魔する
細胞間マトリックス複合体などによる立体障害。どちらの場合にも
偽陰性の結果が生じます。
偽陽性:ネクローシスの後期段階で起きる広範囲な DNA 断片化(4, 38)。
細胞死のアポトーシス様式を確認するためには、それぞれの細胞の
形態学的研究を注意深く実験しなければなりません。アポトーシス
における形態学的変化は特徴的なパターンを持っています。従って
細胞の形態学的評価は、結果が曖昧な状況では重要なパラメーター
となります。
アポトーシス
アポトーシスは免疫系の成熟やエフェクター機構(12,13)、組織、器官、
肢の胚からの発達(14)、神経系の発達(15,16)、ホルモン依存性の組織再構
成(17)などを含む多くの生理学的過程で必須のものです。アポトーシ
スの不適当な調節は、虚血や発作、心臓病、癌、エイズ、自己免疫疾
患、肝臓毒性、中枢神経の崩壊病などの多くの病理学的な状況におい
て重要な働きを持ちます(18~20)。
癌研究において、細胞死が多くの抗ガン剤や放射線、過温症により引
き起こされ、アポトーシスにより応答する腫瘍細胞の固有の性質が数
種の癌遺伝子の発現により調節されていることから、癌治療の予後マ
ーカーになるかもしれないとの期待がよせられています(21)。
試 料
・細胞懸濁液
・樹立細胞株
・末梢血、リンパ球並びに白血球(4)
・胸腺細胞(1, 6)
・骨髄細胞
・生検細胞(5)
・サイトスピン、細胞スメア調製品
・チャンバースライド上での培養接着細胞(31)
・凍結及びフォルマリン固定、パラフィン包埋組織切片(1, 25, 26 29, 30, 32~34, 36, 39)
アポトーシスの同定
アポトーシス細胞を同定する方法は多く報告されていますが(22~24)、
核 DNA のオリゴクレオソーム断片化による核の崩壊がアポトーシス
の主要な生化学的現象として注目されています。この過程は、電気泳
動でのアガロースゲル中の典型的な "DNA ラダー " により、アポトー
シスの検出に利用されます。しかしこの方法は個別の細胞のアポトー
シスに関する情報は得られず、組織学的な局在あるいは細胞の分化
における細胞のアポトーシスに関する情報も得られません。
このことを可能にするのは、アポトーシス誘導 DNA 鎖分 解物の酵
(1~7, 25~
素的 in situ 標識法です。ターミナルトランスフェラーゼ(TdT)
36, 41)
と同様に DNA ポリメラーゼが in situ での DNA 断片への標識
核酸の取り込みに利用されてきました。 TdT によるテイリング反
(5, 35)
応は、ISEL 法(in situ end labeling)
あるいは TUNEL 法(TdT-
(1, 6, 31, 33)
mediated dUTPnick end labeling)
として述べられています
アッセイ時間
1-2時間、細胞の培養、固定、浸透化、及び組織切片の準備を除く
テスト数
50回用
キットの保存と安定性
開封前のキットは-15~-25℃保存で保証期限(ラベルに記載)まで
安定です
37
が、DNA ポリメラーゼを用いる in situ ニックトランスレーション法
(ISNT)と比較して多くの利点があります。
・ISNT 法より TUNEL 法のほうがアポトーシスの標識強度が高く、
結果的に感度が高くなる(2, 4)。
・ISNT に比べ TUNEL は核酸の取り込みが非常に迅速です。
・TUNEL 法はネクローシスに比べアポトーシスを優先的に標識す
るのでネクローシスや、抗ガン剤や放射線により誘導された一次
DNA 鎖分解物からアポトーシスを識別します(3, 4)。
ステップ
アクション
1
試料を PBS で 3 回洗浄し、細胞数を 2 × 107 個 /ml に
調製。
2
100μl/well の細胞懸濁液を V 底 96 穴 プレートに移す
3
100μl/well の用時調製のパラホルムアルデヒド固定溶液
(PBS 中4 % , pH 7.4) を細胞懸濁液に加える(終濃度 2
% PFA)。
4
よく再懸濁した後、15~25℃で60分間インキュベートする。
注:細胞の凝集を防ぐため、プレートは固定の間シェイ
カーの上でインキュベートする。
5
プレートを300 × g で10分間遠心し、軽くタッピングま
たは吸引で固定液を除去する。
6
200μl/well の PBS で一度洗浄する。
7
プレートを300 × g で10分間遠心し、軽くタッピングま
たは吸引で PBS を除去する。
8
細胞を100μl/well の浸透化液( 0.1 %クエン酸ナトリウ
ム中 0.1 % Triton X-100)で 2 分間氷上(2~8℃)で再懸
濁する。
9
以下の3.3に進む。
3. 手順と必要な材料
以下に述べる操作法は R. Sgonc とその共同研究者により開発され、
最近出版されたものです(6)。この簡単で迅速な操作法の主な利点は、
DNA 鎖分解物の標識にフルオレセイン-dUTP を用いていること
で、これにより、蛍光顕微鏡あるいはフローサイトメトリーで DNA
断片化の直接検出が可能になります。
3. 1 フローチャート
分析フローチャート
分析手順は以下のフローチャートで説明します。
細胞懸濁液
接着細胞
細胞スメア
サイトスピン
調製品
凍結組織切片
パラフィン
包埋組織切片
↓
↓
↓
↓
↓
固 定
脱パラフィン、
再親水化、
プロテアーゼ処理
↓
↓
浸透化
↓
TUNEL 反応液による標識反応
↓
フローサイトメトリ
ーあるいは蛍光顕微
鏡での分析
3.2.2 接着細胞、細胞スメア、サイトスピン調製品
必要な追加試薬
・洗浄バッファー:リン酸バッファー(PBS)
・固定液:パラホルムアルデヒド(PBS, pH7.4 中 4 %)
・浸透化溶液:クエン酸ナトリウム0.1 %中 0.1 % Triton X-100(6)
手 順
次の表に従い、接着細胞、細胞スメア、サイトスピンの調製を行っ
てください。
注:固定と浸透化に陽性及び陰性コントロールを作成して下さい。
ステップ
アクション
1
風乾した細胞試料を新しく調製したパラホルムアルデヒド
固定溶液
(PBS、pH7.4 中 4%)
で15~25℃、1時間固定する。
2
スライドを PBS ですすぐ。
3
浸透化溶液(0.1%、クエン酸ナトリウム)中で、氷上(2~8
℃)で2分間インキュベートする。
4
以下の3.3に進む。
蛍光顕微鏡での分析
3. 2 サンプルの前処理
3. 2. 1 細胞懸濁液
前標識
フルオレセイン標識抗体を使うフローサイトメトリーによる二重分
析を行う場合、細胞を固定する前にマーカーでインキュベートして下
さい。
3. 2. 3 組織切片
3. 2. 3. 1 パラフィン包埋切片の処理
パラフィン包埋切片の前処理
プロテイナーゼ K 処理または代替手法での前処理が可能です。プ
ロテイナーゼ K を使用する場合、濃度、インキュベーション時間、
および温度はそれぞれのタイプの組織(1、29、33、36、40、41)ごとに最適化し
て下さい。
注:プロテイナーゼ K は、roche applied science のものをご使用下
さい。ヌクレアーゼによる偽陽性がないことを試験済みです。
次の表に記述する代替手法による前処理も可能です。
(ステップ2)
必要な追加試薬と器具
・洗浄バッファー:リン酸バッファー(PBS)
・固定液:パラホルムアルデヒド(PBS, pH7.4 中 4 %)
・浸透化溶液:クエン酸ナトリウム0.1 %中 0.1 % Triton X-100(6)
・シェーカー
・96穴Ⅴ底マイクロプレート
注:V 底96穴プレートの使用により、固定、浸透化、標識の間の細胞
のロスを最小限にし、また多数検体の処理が可能になります。
必要な追加試薬
・キシレンおよびエタノール(無水、95% , 90% , 80% , 70% , - 再蒸
留水で希釈)
・洗浄バッファー:PBS
・プロテイナーゼ K ワーキング溶液( 10 mMTris/HCl, pH7.4~ 8中
10~20μg/ml)
手 順
以下の表で細胞の固定と浸透化の手順のプロトコロールを確認して
ください。
注:固定と浸透化に陽性及び陰性コントロールを作成して下さい。
代替処理
・浸透化溶液:(0.1% Triton Ⅹ-100, 0.1%クエン酸ナトリウム)用時
調製
・ペプシン(0.25%-0.5%塩酸、pH2中)かトリプシン 0.01規定 塩
酸 ヌクレアーゼフリー
38
必要な追加試薬
・球菌ヌクレアーゼ または、
・DNase I リコンビナント
0.1M クエン酸バッファー、pH6 マイクロウェーブ照射用
手 順
次の表にパラフィン包埋組織のプロテイナーゼ K 処理と3つの代
替手順が記述されています。
注:陽性と陰性標識コントロール用の組織切片を加えてください
コントロール
陰性コントロールと陽性コントロールを各一連の実験ごとに作成し
て下さい。
ステップ
アクション
1
標準的方法(例:60℃で熱した後キシレンで洗浄しエタノ
ールと蒸留水での希釈系列で親水化)
(1, 33, 36)に従い組
織切片の脱パラフィン、親水化を行なう。
2
組織切片をプロテイナーゼ K ワーキング溶液と21~37℃
で、15~3 0分間インキュベートする
陰性コントロール 固定、浸透化した細胞を TUNEL 反応液の代わ
りに、50μl/ ウェルの標識溶液(ターミナルトラ
ンスフェラーゼを含まず)でインキュベートする。
陽性コントロール 標識を行う前に、固定、浸透化した細胞を、DNA
鎖分解を誘導するため球菌ヌクレアーゼ または
DNase I, リコンビナント
( 3000 U/ml~3 U/ml,
50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mg/ml BSA,)
で、10
分間、15~25℃でインキュベートする。
代替処理法
1. 浸透化溶液
処理内容
スライドを 8 分間インキュ
ベート
2. ペプシンあるいはトリプ 37℃ 15~60分
シン
3. マイクロウェーブ照射
・スライドを200ml の 0.1
M ク エ ン 酸 バッ ファー
pH 6.0 の入ったプラスチ
ックジャー内に置く。
・350 W 5 分間マイクロウ
ェーブ照射
3
4
3. 3. 2 細胞懸濁液の標識プロトコール
必要な追加試薬と器具
・洗浄バッファー:PBS
・湿式チャンバー
手 順
次の表をご覧下さい。
ステップ
アクション
1
PBS で細胞を 2 回洗浄する(200μl/well)。
2
50μl/well の TUNEL 反応液、で再懸濁する。
注:陰性コントロールは、50μl/well の標識溶液(ボトル
2)で再懸濁する。
3
ふたをし、暗所、加湿された環境で 37℃、60分間インキ
ュベートする。
4
試料を PBS で 2 回洗浄する(200μl/well)。
5
細胞試料をチューブに最終量、PBS 中250~500μl にな
るよう移す。
6
試料は直接蛍光顕微鏡で分析できる。あるいは分析の前
に退色防止剤で封入する。励起波長 450~500nm(たとえ
ば488nm)、検出波長515~565nm(緑)を使用する。
スライドを PBS で 2 回すすぐ。
以下の3.3に進む。
3. 2. 3. 2 凍結組織の処理
必要な追加試薬
・固定液:パラホルムアルデヒド(PBS, pH7.4 中 4 %)
・洗浄バッファー:リン酸バッファー(PBS)
・浸透化溶液:クエン酸ナトリウム0.1 %中 0.1 % Triton X-100、
用時調製
凍結組織
次の表に凍結組織の前処理を示します。
注:固定と浸透化に陽性及び陰性コントロールを作成して下さい。
ステップ
アクション
1
組織切片を 固定液で 15~25℃で、20分間固定する。
2
PBS で30分間洗浄する。
注:保存は、無水エタノール中で 2 分間、固定組織切片
を脱水後、-15~-25℃で保存する。
3
スライドを浸透化溶液中、氷上(2~8℃)で 2 分間インキ
ュベートする。
4
以下の3.3に進む。
3. 3. 3 接着細胞、細胞スメア、サイトスピン調製品、組織の標識プ
ロトコール
必要な追加試薬と器具
・洗浄バッファー:PBS
・パラフィルムもしくはカバースリップ
・湿式チャンバー
手 順
次の表を参照下さい。
3. 3 標識プロトコール
3. 3. 1 はじめる前に
TUNEL 反応混合液の準備
一対のチューブ(ボトル 1 : 酵素溶液、ボトル 2 : 標識溶液)は、各
50μl の TUNEL 反応混合液を用いた10枚のサンプルの染色ならびに、
50μl の標識溶液を用いた 2 回の陰性コントロールの実施に十分な量
になっています。
注:TUNEL 反応混合液は使用前に用時調製します。保存はできませ
ん。TUNEL 反応混合液は使用まで氷上に静置します。
ステップ
実 行
1
スライドを PBS で 2 回すすぐ。
2
試料の周りを乾かす。
3
試料に TUNEL 反応液 50μl を加える。
陰性コントロールは、50μl/well の標識溶液を加える。
TUNEL 反応液が細胞層に均一に拡がるようにする。蒸
発によるロスを避けるため、試料はインキュベーション
の間パラフィルムやカバースリップで覆って下さい。
4
スライドを湿式チャンバー内で37℃で60分間インキュベ
ートする。
5
スライドを PBS で 3 回すすぐ。
6
試料は直接蛍光顕微鏡で分析できる。あるいは分析の前
に退色防止剤で封入する。励起波長 450~500nm(たとえ
ば488nm)、検出波長 515~565nm(緑)を使用する。
ステップ
アクション
1
2 回分の陰性コントロールに、ボトル 2 より100μl の標
識溶液をとっておく。
2
ボトル 1の全量(50μl)をボトル 2 の450μl 標識溶液に加
え500μl の TUNEL 反応混合液を調製する。
3
よく混合して、成分を均一にする。
39
3. 3. 4 困難な組織の標識プロトコール
必要な追加試薬と器具
・0.1M クエン酸バッファー、pH6
・洗浄バッファー:PBS
・トリス-HCL,0.1M pH7.5 3% BSA,20%正常牛血清を含む
・マイクロウェーブ照射装置
・湿式チャンバー
4. 典型的な結果
分析手順
・5 × 105 個 /ml の密度の HL - 60細胞をカンプトテシン(2μg/
ml)存在下で 37℃、5 % CO2、湿度 90 %で 3 時間インキュベートし、
アポトーシスを誘導する。
・非アポトーシス細胞群のコントロールとして、カンプトテシンを含
まない培地でインキュベートする。
・細胞を採取し、セクション3.3.2にの記述に従い操作を行なう。
手 順
次の表をご参照下さい。
ステップ
実 行
1
標準的方法に従いパラホルムアルデヒドやホルマリン固
定組織切片を脱パラフィンする。
2
スライドを200ml の 0.1 M クエン酸バッファー pH6.0の
入ったプラスチックジャー内に置く。
3
・750 W(high)で 1 分間、マイクロウェーブ照射
・80ml の再蒸留水(20~25℃)を直ちに加え、急冷する。
・スライドを PBS(20~25℃)中に移す。
注:プロテイナーゼK処理はしないでください。
4
スライドを15~25℃で30分間、3 %の BSA と20 %の正
常ウシ血清を含む 0.1 M Tris-HCl、
pH7.5 中に浸漬する。
5
・スライドを室温で、PBS で 2 回すすぐ。
・余分な液体を捨てます。
6
7
8
図 2:フローサイトメトリーによる HL - 60細胞でのカンプトテシン誘導アポ
トーシスの分析。
HL - 60細胞は上記の通り培養され、その後アポトーシス細胞はセクショ
ン3.3.2に述べられた通り標識された。
A : カンプトテシン不在下での培養
B : カンプトテシン存在下での培養(2μg /ml, 3 時間)
□ 細胞の自己蛍光のコントロール、標識 / 酵素溶液とのインキュベー シ
ョン無し
■ 陰性コントロール:ターミナルトランスフェラーゼ不在下で、標識溶
液とインキュベート
切片上に50μl の TUNEL 反応混合液を加える。
注:陰性コントロールには、50μl の標識溶液を加える
加湿条件下で37℃、 60分間インキュベートする。
・スライドを PBS 中で 3 回、各 5 分間すすぐ。
・蛍光顕微鏡で観察する。
■ TUNEL 反応液とインキュベートしたテスト試料
5. 付 録
5. 1トラブルシューティング
この表には様々なトラブルシューティングのパラメーターが記載されています。
問 題
非特異的な標識
手順のステップ / 試薬
組織の包埋
固定(fixation)
バックグラウンドが高い
考えられる原因
包埋剤(methacrylate など)を重合させ
るための UV 照射により、DNA 鎖
が破壊された。
酸 性 の 固 定 用 剤(mathacarn,Carny's
fixative など)
TdT 濃度が高すぎた
対処方法
他の包埋剤あるいは重合化試薬を使用する。
・4 %に緩衝されたパラホルムアルデヒドを試用
・フォルマリンやグルタルアルデヒドを試用する。
TUNEL 反応
TUNEL ダイリューションバッファーで、TdT を
1:2 から 1:3 に希釈して濃度を下げる。
ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ 特定の組織(平滑筋など)では組織調製 ・器官調製後、直ちに組織の固定を行う。
後非常に短時間に DNA 鎖の崩壊が観 ・肝臓静脈に固定用剤を灌流させる。
察された。
酵素がまだ活性を持っている
ddUTP と dATP を含む溶液でブロックする。
サンプルの測定
バックグラウンドが高すぎるため、マ 以下の推奨によりバックグラウンドを減らす。
イクロプレートリーダーでは測定でき
ない。
サンプル
マイコプラズマの汚染
汚 染 マ イ コ プ ラ ズ マ 検 出 キッ ト(Cat. No. 1 296
449)
高度に増幅している細胞
フルオレセイン標識アネキシン V との二重染色
(Cat.
No. 1 828681)
注:バックグラウンドが高すぎるため、マイクロ
プレートリーダーでは測定できない。
赤血球はヘモグロビンのために高い自 dUTP-ローダミンを使用する。
己蛍光を示す。
固定(fixation)
フォルマリン固定により、メラニン前 固定にメタノールを試用する。しかしこの固定方
駆体を含む細胞において黄色い染色を 法は感度の低下を生じる点に注意する。
生じた。
40
TUNEL 反応
標識効率が低い
乳がん細胞で、標識用混合液(labeling 標 識 用 混 標 識 用 混 合 液(labeling mix)の 濃 度 を
mix)の濃度が高すぎた。
30mM の Tris pH 7.2 に140 mM カコジル酸ナト
リウムと1 mM 塩化コバルトを含む溶液を用いて
50%に減少させる。
固定(fixation)
エタノールやメタノールは、標識効率 ・4%緩衝パラホルムアルデヒドを試用する。
を低下させる可能性がある。
( ヌクレオ ・フォルマリンやグルタルアルデヒドを試用する。
ソームが固定の間に架橋されず、
操作過程で失われる)。
過剰な固定により、タンパクが必要以 ・固定時間を短くする。
上に架橋された。
・2 %緩衝パラホルムアルデヒドを試用する。
浸透化(permeabilisation) 浸透化が短すぎると、試薬が目的の分 ・インキュベーション時間を長くする。
子に到達することができない。
・より高い温度でインキュベート(15~25℃など)
する。
・プロテイナーゼK(組織のタイプにより適切な
濃度および時間により)を試用する。
・0.1 M クエン酸ナトリウムを70℃、30分間にて
試用する。
脱色
蛍光色素が10分間、明るい光にさらさ 後で観察するためには、サンプルは、TUNEL 反
れた
応の後、暗所に保存する。
パラフィン包埋
試薬がサンプルに十分に達しない。
・脱パラフィン後、プロテイナーゼKで組織を処
理する(組織のタイプにより適切な濃度および
時間により)。
・370 W(Low)、5 分間、200ml の 0.1 M クエン
陽性コントロールにお DNase 処理
いてシグナルが出ない
DNase の濃度が低すぎた。
カウンター染色により DNA の染色
TUNEL 染 色 が 弱 く な
った
ヨウ化プロピジウム
(PI)
は、
エネルギーの
運搬を介して蛍光の光強度を減少させる。
はっきりしないシグナル
TUNEL で検出できるよりも早いアポ
トーシスのステージ
多くのアポトーシス小体が得られ、ア
ポトーシスが進みすぎて陽性および陰
性のピークが区別できない。
二重染色
結果の評価における問題 FACS 分析
アポトーシスのシグナルがない。
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酸緩衝液 pH 6.0を用いてマイクロウェーブ照射
を行う(組織のタイプにより適切な条件)。
・凍結切片に対し、3 U/ml の DNase Ⅰ、グレー
ドⅠを用いる。
・パラフィン包埋切片に対し、1500 U/ml の DNase ⅠグレードⅠを用いる。
・一般的には、1 U/ml DNase I を、10 mM NaCl、
5 mM MnCl 2、0.1 mM CaCl 2、25 mM KCl を
含む10 mM Tris-HCl pH 7.4 にて溶解して溶
液で、37℃、30分 間インキュベートして下さい。
・代替バッファーとして、1 mM MgCl 2と1mg/
ml BSA を含む Tris-HCl、pH 7.5 がある。
・0.5μg/ml の ヨウ化プロピジウムを試用する。
・Molecular Probe 社の TO-PRO-3 を試用する。
・細胞質のカウンター染色にはスルフォローダミ
ンが適する。
他のアポトーシス検出法:M30サイトデスやフル
オレセイン標識アネキシン V が適する。
アポトーシス誘導法を変える:FSC/SSC のヒス
トグラムで 2 - 3 の分画で次のものが確認され
なければならない。
1. アポトーシス小体と残渣
2. 細胞全体
3. 収縮した細胞ゲートは消失。1)明瞭に分かれた
ピークが確認できること
細胞株と誘導剤に依存し、時間を至適化する。
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