LEDを含め直流で動くものの整流器高調波対策についての一考察 発光ダイオードを発光体に使った照明器具が増えてきています。 ※白熱電球は国産製造が終了し蛍光灯もいずれ製造されないようになると思われます。 省エネルギーと長寿命の点が評価され低価格化で普及が進んできています。 今回最近使用例が増えてきた直管型のLEDランプを測定する機会が有りましたので、 いくつかの照明器具と比較測定しましたので、それらをレポートにまとめました。 使用器具と測定条件 ① 40W蛍光管2本使用の点灯管型照明器具 ②上記照明器具の点灯管のみを取り外し、40W型直管型LED照明器具2本を使用 ③上記照明器具の安定器も取り外し、40W型直管型LED照明器具2本を使用 ④20W蛍光灯2本使用の点灯管方式照明器具(高力率型) ⑤上記照明器具の点灯管のみ取り外して20W型直管型LED照明器具2本を使用 ⑥上記照明器具の安定器も取り外して20W直管型LED照明器具2本を使用 1 2 3 4 5 6 7 8 9 測定結果 使用器具 電圧(V) 電流(A) 有効電力(W) 無効電力(Var) 皮相電力(VA) 力率 備考 ① 99.6 1.73 95.4 145.0 173.0 0.55 ① 101.1 1.03 95.8 36.2 102.1 0.94 力率改善コンデンサ39μ F取り付け ② 100.0 0.62 54.5 29.1 61.7 0.88 点灯管取り外し ② 99.9 0.61 54.1 28.9 61.2 0.88 力率改善用にモーターインバーター用L挿入(4mH) ③ 99.8 0.42 42.1 4.2 42.3 0.99 安定器取外し直結 ④ 99.7 0.50 41.3 28.3 50.1 0.83 ⑤ 99.9 0.42 20.7 36.8 42.2 0.48 点灯管取り外し ⑤ 99.9 0.37 20.7 31.1 37.4 0.55 L挿入 ⑥ 100.0 0.21 19.8 7.2 21.1 0.94 安定器取り外し直結 ※40W器具に関しては安定器取り外し改造前に器具本体と電気回路一括で耐圧試験を行いましたが異常有りませんでした。 交流1000Vで10分間試験したのち、1500Vで10分間加えましたが異常なし 目視では異常有りませんでしたが、古い器具ですので、試験してみました。 点灯時間の長い器具は配線や安定器など発熱する部品は絶縁能力が低下している恐れが有ります。 考察 今回蛍光灯からLEDに管を交換する時(A)点灯管のみ取り外せば良いのか(工事が極めて簡単です。) (B)安定器まで取り外す必要が有るのか。 の判断と、直流で点灯するLEDの場合整流器負荷特有の電流波形歪みの影響は有るのか。 この辺を調べる事を目的としました。 結論としては次の様になります。 点灯管方式の蛍光灯器具の場合、目視で内部配線や安定器に異常が見られない場合は点灯管を取り外すだけで管の交換が可能です。 力率も大きく低下しませんので、他の負荷と総合的に力率調整すれば良いと思います。 ただし点灯管方式でない場合は安定器の取り外しが、高力率型はコンデンサを取り外す必要が有ります。 ※今回使用した直管型LED照明は少し高価な商品で交流入力を直流に変換する整流器が高力率コンバーターを使用していると思われ電流に歪みは 有りませんでした。安価なダイオード整流が使われていたら、検討が必要です。 測定記録の説明、補足 40W2灯タイプ 1、安定器による力率低下が顕著に見られます。 2、力率改善コンデンサにより力率が良くなり1、に比べ電流が小さくなっています。 3、LEDの省エネ効果が発揮されています。 4、整流器がダイオード整流と想定していましたので、歪みを低下させる目的でLを入れましたが効果有りません。(元々歪んでいないため) 5、安定器を取り外す事で力率はほぼ1です。同時に消費電力が20%以上低下していますので、工事費と省電気代を比べる事になります。 20W2灯タイプ 6、力率改善コンデンサが内蔵されていますので力率は結構高いです。 7、消費電力は半分になりましたが、力率の悪化で電流自体はさほど下がりません。 8、力率低下が電流波形の歪みと思いLを入れましたが効果なし。(力率の悪化は元々力率改善目的に入っているコンデンサでした) 9、安定器もコンデンサも取り外しましたので、力率はほぼ1です。 参考波形写真 20W直管型LED照明1本(安定器無) 20W直管型LED照明1本(安定器有り点灯管取り外し) 黄色(電圧波形) 緑色(電流波形) 電流波形のピークが十分抑えられています。 ダイオード整流ではなくて高力率コンバーターを使用していると思われます。 安定器が原因と思われる電流の遅れが出ています。 ボール型LED照明 インバーター方式蛍光灯スタンド 電流波形にピークが表れこれが高調波を含む波形です。 左と同じレンジで観測していますがさらに高いピークが出ています。 電流が流れだす位置まで電圧が上昇すると内部の電解コンデンサの電圧より高くなったため充電電流が流れ始めます。 これが力率を低下させる原因でコンデンサでは力率改善が出来ずリアクトルを入れて高調波を抑制するのが力率改善になります。 整流器負荷 ダイオード全波整流 2000μ F電解コンデンサ 整流器負荷 リアクトル挿入 4.2mH 100V100W白熱電球 2個直列 電圧101.1V 電流1.63A 有効電力97.9W 力率0.59 整流器に電解コンデンサを組み合わせたものに抵抗負荷を接続して整流器負荷電流を再現したものです。 インバーター用交流リアクトルを挿入して波形の歪みが減少して力率が改善したことが見られます。 電圧100.4V 電流1.17A 有効電力88.9W 力率0.75
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