「e マーケット経営革命」 i2 テクノロジーズ社長 渡辺邦昭 前書きより “ニューエコノミーの本質は需要が起点となる経済である” 第一章:ニューエコノミーと経営 デル、シスコの成功・・・従来型の生産者起点の経営ではなく、消費者起点の経営を取り 入れた。 cf.デルモデル・・・受注による生産方式 ニューエコノミーは需要起点、消費者起点の経済であり、オールドエコノミーは供給起点、 生産者起点の経済である。松下電器の「水道方式」に代表される大量生産、大量消費時代 は終わりパラダイムシフトと呼べるほどの変化に直面している。 ☆ SCM(supply chain management):部品や製品の供給が適正な量になるように常にコ ントロールし、生産から流通、販売に至るまでの流れを効率化しようとする仕組み。 在庫圧縮、が可能となり日、週単位で生産計画ができるようになった。 Cf.トヨタの「カンバン方式」 ・・・急激な市場変化には対応できない 効率化の過程 フェーズ1:SCM を導入し事前に在庫の量が圧縮可能に(自社内) フェーズ2:BtoB(企業間電子取引)によって EC(電子商取引)ネットワークを構築し ネット経由でサプライヤー各社の部品在庫、生産計画を知ることが可能とな りフェーズ1の段階よりさらに在庫圧縮が可能となる。 フェーズ3:e マーケットプレイスによって安価な部品調達が可能となる。 第二章:e マーケットとはなにか e マーケットプレイスの特徴 ・ n対nの取引(cf.BtoB では1対1の取引) ・ 業界を越えた取引が可能に(電子データ交換ではデータのフォーマットが異なる) ・ 刻々と変わる需給関係をビビッドに反映した価格形成 ・ 物流もn対nに(BtoB では基本的に商流のみ) e マーケットの3つのC e マーケットプレイスのサービス機能は①調達②販売③納品物流④カスタマーケア⑤プラ ンニング(サプライチェーン最適化計画)⑥製品管理である。 3つのC(コンテンツ)を充実させることでこうはんなサービスが可能に 1製品コンテンツ:大規模なサプライヤー・データベースが検索可能に 2カスタム製品コンテンツ:調達に必要なデータの入手が可能に 3リアルタイム・コンテンツ:製品価格などの変動する情報をリアルタイムに補足、提示 ※ e マーケットプレイス運営は単独では困難。なぜなら次の 12 の条件を1社で満たすの は不可能に近いからである。 ①規模の獲得 ②ブランド力 ③加入者の獲得 ④共通プロトコルとワークフロー ⑤電子カタログ ⑥迅速性 ⑦サービスの充実 ⑧市場の発展性 ⑨e ビジネスとSCMに関するコンサルティング ⑩IT コンサルティング ⑪データセンター運営 ⑫電子市場運営 第三章:e マーケットの先進事例 ☆ 自動車業界 世界的な生産過剰、国境を越えた競争の激化、エネルギーシステムの転換などから厳しい 状況にある。従来まではグローバル・ローカライゼーション(最初は輸出によって市場開 拓、次に販売会社を設立、さらに現地に組立工場を作り、もう一歩進めて設計も行う)に よって各地域ごとのビジネスを進化させてきた。しかし IT の発達で従来よりもさらに効率 的なオペレーションが可能になったため、地域ごとの最適化から世界規模での最適化を目 指す必要に迫られている。 ● 三次元工場モデルの出現:工場を三次元でコンピュータ上に表現し、デジタルモ デルを動かすことで生産ライン、生産プロセスの動きが手に取るようにわかる ● 自動車メーカーの3つのチャレンジ: ① 納期短縮(10 日前後→5日に) ② 10~15%のコストダウン ③ 販売と生産の統合 ● e マーケットプレイスで行われるコミュニケーション例 「この車種はいつ納品できるか」 (販売会社) 「8/10 の予定だが、サプライヤーは支障ないか?」 (自動車メーカー) 「エンジンは予定どおり供給可能だ」 (エンジン組立工場) 「こちらは1日遅れる。そちらでリカバーできるか?」 (エンジン部品工場) 「1日の遅れなら大丈夫だ」 (エンジン組立工場) 「では、予定どおり 8/10 に納品する」 (自動車メーカー) ☆ 航空業界 全日本空輸が大型旅客機の本格的な整備を日本航空に委託するなど、コスト削減のために 協力しあう面もある。 ● マイエアクラフト・ドット・コム:ユナイテッド・テクノロジーズとハネウェル、 I2テクノロジーズの合弁会社。各エアラインが保有する航空機部品の調達を e マ ーケットプレイスで行う。 第四章:300 兆円市場での成長戦略 ☆ビジネスモデルからマーケットモデルへ ・ 付加価値はサービスへ移行 ・ 消費者が経済の実権を握る ・ ウィナー・テイクス・オール(一人勝ちの経済) ・ 企業価値は時価総額で計られる ☆「e マーケットプレイス」to「e マーケットプレイス」へ →いかにデファクトを握るかがポイント ☆ 変革のリーダーシップ ・ 5つの壁 ① 認識の壁 ② 判断の壁 ③ 納得の壁 ④ 行動の壁 ⑤ 継続性の壁 ・ LEAP による変革 LEADERSHIP(リーダーシップ)ENVIRONMENT(環境) ASPIRATION(熱意) PROCESS(プロセス)が変革のマネージメントに必要となる
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