今月の ことば 一度きりの 一 とは どこからくるのであろうか それは 無常 からくる 始業式・入学式を終え、新入生を迎えて、新たな出遇いを楽しみにしていた人、新し い環境に不安いっぱいの人など、それぞれの思いの中で新年度がスタートしていること だと思います。 先月は、東日本大震災という、日本では過去に例を見ない大きな災害が起こりました。 連日の行方不明・死者の報道を通して、 家屋を失われ避難所生活を余儀なくされている方 々や福島第一原発の放射能漏れ事故に伴う住民の方々の不安を思うと、大変心が痛みま す。先月は、感謝日の献金や生徒会を中心とした義援金を募り、また生徒の皆さんの有 志による街頭募金活動など、私たちひとりひとりに何ができるかを考えて取り組みを行 いました。世界の国や地域、日本政府や自衛隊を中心とした支援やボランティアの方々 によって被災地は少しずつ復興し始めていますが、いまだに余震も続き、被災地の方々 に 1 日でも早く本当に安心して暮らせる日が来てほしいと願っています。 今月のことばは、“一度きり”の“一”とはどういう意味で使われているのか、それ は“無常”であるから“一”であると述べられています。“無常”ということについて、 お釈迦様は“諸行無常”と説かれました。“諸行無常”とは、“あらゆるものごと(諸 行)は絶えず変化をし続け、ひとつとしていつも同じ状態であることはない(無常)” ということです。それは、私たちひとりひとりの人生の出遇いや日々の出来事において も同じことがいえます。新年度が始まり、新しいクラスになり、新しい友人や先生との 出遇い、2011 年の 4 月という月や今日という 1 日、何をとっても人生において二度とな えん い一度きりの出来事です。その一つ一つの出来事や出遇いのことを仏教では“縁”とい います。 れんによしようにん ほ う わ 浄土真宗本願寺派の八代宗主蓮如上 人は「仏教のお話(法話)を聞くのに明日でよい ということはありません」とおっしゃいました。それは、今を大切にして、今日という 出遇いを大切にしなさいということです。また、仏教のお話(法話)を聞かせていただ く方の心得として、「一、このたびのこのご縁は初事と思うべし」「二、このたびのこ のご縁は我一人のためと思うべし」「三、このたびのこのご縁は今生最後と思うべし」 といわれます。ひとつひとつのご縁を、今日だけにしかないありがたい出遇いと思い、 ふれあっていくということです。私たちは明日も友達と会えるかもしれませんが、常に 移り変わる日々のなかで、明日会えるという保証はありません。明日の自分があるかわ からないからこそ、今の自分をしっかり見つめ、出遇いの一つ一つを尊く大切にしなけ ればなりません。新年度が始まるにあたり、“一度きり”の今をこれからも歩んでいき ましょう。 は つ ご と わ れ こんじよう -1-
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