体腔液細胞診における従来法と液状細胞診(LBC)の比較検討 臨床検査科 藤井広美 林涼子 中尾勝信 【はじめに】 2013 年 5 月より当検査科では、体腔液(胸水、腹水、心嚢液)細胞診にて液状細胞診(以 下 LBC)の併用を始めた。LBC は、従来法(ストリッヒ塗抹法)に比較すると、細胞保持 力に優れ、標本作製の個人差が少なく、また、鏡検視野が狭いため細胞検査士の負担が少 ないなどの利点より徐々に普及しつつある。 【目的】 体腔液細胞診の効率化と精度向上を目指し、従来法と LBC の比較検討をおこなった。 【方法】 期間:2013 年 5 月~2014 年 7 月 対象:悪性(ClassⅤ)と診断した体腔液細胞診 24 例 方法:従来法と LBC の異型細胞出現箇所数をカウントし、比較検討した。 検討結果をもとに診断フローチャートの作製をおこなった。 【結果と考察】 従来法と LBC の比較 異型細胞出現箇所数 症例数(%) 従来法<LBC 10 症例(42%) 従来法=LBC 14 症例(58%) 従来法>LBC 0 すべての症例において従来法より LBC は、異型細胞出現箇所数が同等あるいはそれ以上で あった。 従来法、 LBC ともに悪性の判定は可能であったが、組織型の推定に至らない症例が 1 例 (4%) であった。細胞診検体の残りから、セルブロックを作製し、免疫染色を施行後、組織型の推定 可能であった。 【まとめ】 LBC は、従来法に比較して細胞保持力が優れ、異型細胞の検出に有効であった。 また、LBC を導入したことで、鏡検時間の短縮にもつながった。しかし、組織型の推定が困 難な症例では、従来法を併用し、可能な限りセルブロックを作製することで診断の向上が期待 できる。
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