小学校大賞作品「私の住む地域の土偶について」

私の住む地域の土偶について
▲土偶づくり体験(仮面の女神)
北杜市立長坂小学校
6年 北 原 可 菜
クイズです!!
この二つの土偶は,長野県茅
野市の遺跡から出土した土偶で
す。二つとも,縄文文化を知る
貴重な資料として国宝に指定さ
れています。
そこで問題です!!
この二つの土偶には,それぞれ
『愛称』があります。
○○にあてはまる言葉を考えて,
二つの土偶に愛称をつけてあげ
てください。
縄
文
の
○
ビ
○
ー
○
ナ
○
ス
仮
○
○
面
の
女
神
1 研究の動機
昨年の6月,今年の6月と,長野県茅野市の尖
石縄文考古館で行われた縄文教室で土偶づくりを
体験しました。
体験を通して,土偶の作り方
や特徴など,いろいろなことが
見えてきました。
私の住む地域ではどんな土偶
が出土しているのか。縄文時代
の人々はなぜ土偶を作ったのか。
とても興味をもち調べることに
しました。
▲北杜市考古博物館の土偶
2 調べ方
①
土偶づくりや遺跡発掘を体験する。
②
山梨の遺跡の本やインターネットで,
私の住む地域の土偶について調べる。
③
山梨県内・長野県(富
士見町,茅野市)の資
料館や博物館を見学し,
土偶について話を聞い
たり,写真を撮ったり
して調べる。
▲身洗沢遺跡での発掘体験
3 調べたこと
(1)土偶とは?
『土偶』・・・縄文時代に作られていた土の人形
・女性の姿を表したものが多い
・姿かたちのバリエーションが豊富
・時期や地域によって形や模様
などにちがいがある
・大きさは数㎝のものから,
大きいものは40㎝以上の
ものまである。
▲山梨県立考古博物館の土偶
3
調べたこと
(2)縄文人はなぜ土偶を作ったのか
土偶を作った目的には,いくつかの説があります。
①女性像が多い・女性が子どもを産む
→子孫繁栄や豊かな実りを祈って作った
②安産のお守りとして作った
③体の一部がこわされている土偶が多い
→ケガや病気を治すおまじないとして作った
(例:腕をケガした人は土偶の腕,足をケガした人は土偶の足を折る)
④祭りなどの儀式に用いるために作った
これらを裏付ける具体的な証拠は発見されていません。
3 調べたこと
(3)土偶づくり体験
・体 験 場 所…尖石縄文考古館(長野県茅野市)
・作った土偶…縄文のビーナス【国宝】(H26)
仮面の女神
【国宝】(H27)
3 調べたこと
(3)土偶づくり体験
・土偶の作り方のちがい(およそ4通りの方法がある)
①分割かい製作法…頭,胴,手足など,いくつかの
(縄文のビーナス) 粘土をつなぎ合わせる方法
②輪 積 法 …ひも状の粘土を積み上げて作る
(仮面の女神)
方法
③手 こ ね 法 …一つの粘土から頭,手,足を引
きのばして作る方法
④そ 像 法 …木などの芯に縄を巻きつけ,粘
土をかぶせてつくる方法
3 調べたこと
(4)調べた場所
調査のため,県内
外8か所の資料館や
博物館,遺跡に行き
ました。
それぞれの場所の
出土品にはいろいろ
な特徴がありました。
そこで,土偶の特
徴を表にまとめるこ
とにしました。
3
調べたこと
(5)-1 年表からわかる地域の土偶
3
調べたこと
(5)-2 年表からわかる地域の土偶
3
調べたこと
(5)-3 年表からわかる地域の土偶
3
調べたこと
(6)わかったこと
調べ学習や体験活動を通して,
土偶の特徴について下のようなこ
とが分かりました。
▲土偶の野焼き(H27.10.12)
前
期:女性をイメージして作られている
中
期:妊しんした女性像が多くなる
顔や手足が立体的に作られるようになる
多くの土偶は,ばらばらに壊されている
→完全な形で出土することはとても少ない
後期・晩期:大型の土偶が増える
仮面をかぶったものがみられるようになる
4
まとめ
今回の研究を通して,わたしは沢山の資料館や博物
館に行きました。山梨県や長野県には,縄文時代の遺
跡がたくさんあり,そこから多くの土器や土偶が出土
していることから,縄文時代にこれら地域がとてもさ
かっていたことがわかりました。
約1万年続いた縄文時代の土
偶を調べて,時期によって土偶
の作り方や大きさ,形に違いが
あることもわかりました。
▲金生遺跡の復元住居
これからも県内外の資料館や
博物館,また遺跡を見学して,
土偶などについて見たり調べた
りしていきたいと思います。
■調べ学習に利用した施設
・北杜市考古博物館
・南アルプスふるさと文化伝承館
・韮崎民俗資料館
・身洗沢遺跡(発掘体験)
・山梨県立考古博物館
・尖石縄文考古館
・釈迦堂遺跡博物館
・井戸尻考古館
(金生遺跡)
(後田遺跡)
(大木戸遺跡・中谷遺跡)
(釈迦堂遺跡)
(鋳物師屋遺跡)
(棚畑遺跡・中ツ原遺跡)
(井戸尻遺跡・坂上遺跡)
■参考資料
・山梨県立考古博物館(2010)『発掘された女性の系譜-女性・子ども・家族の造形-』
・尖石縄文考古館(2001) 『尖石』