( 別 紙 ) 【各委員発言要旨】 (1)「県立博物館・美術館の機能のあり方」について 【博物館と美術館が担う役割の明確化について】 ・美術館については、感性や創造性という言葉とイコールかと思うが、「他者の価値 観に触れて自分の価値観を更新したり広げていったりすることができる場」という 点が特徴の一つだと思う。 ・博物館とは、どちらかといえば地域や国などのアイデンティティーに触れて、受け 止めて、学んで理解する「アイデンティティーの場」であると考える。 ・「アイデンティティー」や「地域を理解する」という表現については納得できるが、 必ずしも(資料例示にあるように)地域に「愛着と誇り」を持たなければいけない のか、と疑問に感じる部分がある。 ・博物館、美術館というと、どうしても差別化しなければならなくなるので、別々の 概念ではなく、一つの大きなミュージアムととらえた方がよいのではいか。 ・多様化したあり方がどんどん進むなかで、本当に必要なのは、博物館、美術館のそ れぞれの個性を生かした多様化であり、その意味では分離した形である方が一番素 直な展開ではないかと考える。 ・感性を育てるという意味では「ミュージアム」で一括りにしてもよいと思っている。 そこでは、子供たちや若者たちに感動を与えるような、ヒト・モノ・コトとの「出 会いの場」としての仕掛けがこれからの課題になってくる。 ・専門的な博物館や美術館が存在することは経済的にも厳しい状況であり、1つの施 設でいろいろ兼用してくのもあり方の1つだと思うが、その場合、地域が活性化し ていく大きな引き金になるものでなければならないということが基本理念であると いう印象を持っている。 ・博物館、美術館が一体になれば、研究をしていく上では非常に幅が広げられるが、 同時に予算や設備を共有しながら運営しなければならないので配分の難しさが問題 になるという面もある。 ・博物館が「確定したものを残していくために保存、検証」するところだとすると、 今の県立美術館については博物館と一体化しているということで、博物館の方向性 に引っ張られてしまっている印象を受ける。 【佐賀県立博物館、美術館に求められる機能】 1 ・建物として一番大事なのは所蔵資料や作品をいかに安定的に保存できるかという点。 二番目にはユーザーがいかに使いやすいか、である。 ・ネット環境の充実が必要。また、現在はホームページが使いづらい。LINEや facebookのボタンがないが、若い世代に来てほしければ絶対に必要。掲載内容につ いても若い人向けのページがあってもよいのではないかと思う。 ・地元や県民の皆さんに向けた内容と、他県など、ほかのエリアから来られた方が県 立の博物館、美術館に来られて何を感じて帰っていただけるかということをもう少 し明確にして、誰向けの話をしているのかを明確にすべき。 ・「まなびの場」であることや「アイデンティティーを確認する場」であると同時に、 散歩やお茶を飲みに来る目的でリピーターになる人を増やすという視点や、ハード だけでなく、女性や高齢者、若い人の視点を盛り込むことも重要。 ・博物館や美術館が備えるべき基本的な機能はどこも同じようなことをしっかりやっ ているので、そこに「楽しんでもらえるような場」としての付加価値をつけていく ために、いろいろな工夫や提案の実行を積み重ねて、取捨選択していくうちに新し い機能につながっていくではないか。 ・佐賀県で出来ることと出来ないことの整理が必要。そのうえで、これからの時代、 美術館、博物館ではいろんな人との「協働」が大きなキーワードになるので、地域 の人やいろいろな立場の人を巻き込んでミュージアムクルーズをはじめ、いろいろ なことを企画していただきたい。 ・佐賀県にとって、海外の博物館、美術館との連携や交流もこれからの大変重要なツ ールの一つであり、それがまた新鮮な展開につながっていくと思う。 ・県立の6館における県立博物館の役割は、専門分野に特化した館が「各論」である のに対して「概論」を担っているところなので、他館の「各論」をがっちりとまと めてつなげていく役割をしっかり担っていただきたい。 ・佐賀空港の「マイエアポート宣言」のように、博物館、美術館の城内エリアが「愛 着のある」建物や場所になるよう、(県民の皆さんに)今あるものに参加してもら ってリニューアルの方向性を一緒に考えていくということで、県立であることの意 味に対する回答も出てくると思う。 ・もう一つ大事なことは、博物館や美術館そのものを充実させることであり、展示に ついても単に展示するのではなく、子供たちにもわかりやすい展示や、ハンズオン が可能な部分もつくるなど、展示技術が必要。 ・美術館のリニューアル後にできる岡田三郎助の作品を常設展示する「OKADA 2 ROOM」では、観る人の立場を考えて、コンセプトづくりのようなところを大事 にしてほしい。 (2)その他 ・学芸員に研修を受ける機会を増やすなど、目に見えないところで学芸員の方々の体 力をつけていくことは、少々お金がかかっても非常に重要なのではないかと思う。 ・寄贈文化を大事にすべき。寄託や寄贈を受けたことに対する顕彰の仕方は重要であ り、県立博物館や美術館でも積極的に取り組むべきと考える。 ・ボランティアはこれから非常に多様化していくので、それをどう受け入れるかとい うことで館側の姿勢や力が問われてくる。ただ展示など提供をするだけではなくて、 一緒になって考えていかなければならないのではないか。 ・(吉野ヶ里について)県立博物館と分けて見てしまうというと力を分散することに なりかねない気がする。(吉野ヶ里博物館構想の話が具体的に進んでいるわけでは ないが、)単に博物館化するのではなく、その魅力は遺跡公園としての魅力である ので、徹底的なフィールドミュージアムにしていただきたい。県立博物館との両方 で中途半端な見せ方をせず、吉野ヶ里でしっかりと〈本物〉と〈実体〉と〈遺跡〉 という三位一体的に見せていくことが重要。またそれをしっかりPRすることによ って、来場者が倍増する可能性もある。 3
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