第2学年実践事例

8 実践例
(1)第2学年
視点1「単元構成のあり方」
,視点2「対話を生かした授業づくり」の検証
単元名「せつめいのしかたを考えて,分かりやすくせつめいしよう」
,教材「しかけカードの作り方」
「お
もちゃの作り方」(光村2年下)
,平成 26 年 11 月実施
ア 単元の評価規準
国語への関心・意
○ 「しかけカードの作り方」の写真と文を対応させながら読もうとする。
欲・態度
○ 学習したことを使って,分かりやすくおもちゃの作り方を書こうとする。
読むこと
○ 事柄の順序を考え,写真と文を対応させながら読んでいる。
○ しかけカードを作った体験をもとに,文章を読みながら,説明の工夫を見
つけている。
書くこと
○ 学習したことを生かして,分かりやすくおもちゃの作り方を書いている。
○ 文と文の続き方に気をつけて,つながりのある文章を書いている。
○ 文章を読み返す習慣を付け,間違いなどに気付き,正している。
言語についての知
○ 順序性を表す言葉の意味を理解し,文章の中で使っている。
識・理解・技能
イ 本実践のねらい
○ 「おもちゃの説明書を作って,1年生に分かりやすく説明する」ことを,単元を貫く言語活動
として設定することで,子どもたちが目的と意欲をもって説明文を読めるようにする。また,実
際に1年生に説明する体験をさせることで,国語の学習が生きて働くことを実感できるようにす
る。
○ 友達の説明書を読み合って附箋によい所を書き出す学習活動によって,学習したことを自分
の説明書に生かせたことを実感できるようにする。
ウ 実際(全10時間) ※ 網掛けは,視点との関連。
過程
主な学習活動
指導上の留意点
つ
か
み
見
通
す
①
1 「
『しかけカード・おもちゃの作り方』で学習することを
○ しかけカードの説明書を見せ,1年生に作り方
調
べ
考
え
る
④
知り,学習の見通しをもつ。
を教えるための説明書を作りたいという意識を
おもちゃのせつめい書を作って1年生に分かりやすく
もたせる。
○ おもちゃは常設展示し,1年生に教えるおもち
せつ明しよう。
ゃをどれにするか決めておけるようにする。
2 <作り方>を読みながら,しかけカードを作る。
2つのせつ明書をくらべてみよう。
(1) 写真と文章を対応させながら,文章を読みカードを作
る。
(2) わかりやすい方の説明書のわけを考えさせる。
(3) 学習計画を立てる。
3 教材文「しかけカードの作り方」の順序を表す言葉に着目
して読む。
どんなことばをつかうと作るじゅんばんがわかりやす
いでしょうか。
・順序を表す言葉に気を付けながら読む。
4 写真や数字,気をつけることに着目して読む。
どんなことを書くともっとわかりやすくなるでしょう
か。
・写真
・長さ「□センチメートル」
・気を付けること
5 教材文「しかけカードの作り方」の文章構成に着目して読
む。
作り方のほかにどんなことを書くと分かりやすい説明
書になるのでしょうか。
・何の説明書なのか
・材料と道具
・使い方
<図工科との関連> 動くおもちゃを作る。
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○ 順序よく読むことで,しかけカードを完成する
ことを体験させ,順序を表す言葉の大切さを実感
させる。
○ 写真が作る際の手掛かりになることを気付か
せる。
○ 動作を表す言葉や状態を表す表現に気付かせ
る。
○ 段落ごとの短冊を用意し,順序を表す言葉や写
真を手がかりにして,順番を並べる活動を通し
て,順序を表す言葉の大切さに気付かせる。
○ 具体的な数値や写真を使って説明しているこ
とに気付かせる。
○ 「おもちゃの作り方」も同じ工夫を入れて書か
れていることに気付かせる。
○ 4つのまとまりがあることに気付かせ,そのよ
さを考えさせる。
○ 4つのまとまりの順序にも必然性があること
に気付かせる。
6 おもちゃの説明書の文を書く。
伝
学しゅうしたことをつかって,せつ明書を書こう。
え
高
・前書き,
【ざいりょうとどうぐ】
,
【作り方】
,
【使い方】
め
の構成を意識して書く。
合
う 7 おもちゃの説明書の絵をかく。
せつ明書をしあげよう。
②
○ 順序,数字や絵,気を付けることやあそび方を
教える部分など,説明の工夫を入れて書かせるた
めに,これまで学習したことを掲示する。
(1) 文章の内容に合う絵をかく。
(2) 読み返して仕上げる。
ふ
り
返
り
生
か
す
③
8 友達と説明書を読み合って,よりよい説明書にする。
書いたせつ明書はどこがよく書けているでしょうか。
(1) 3人グループに分かれて,1人のせつめい書を2
人が順番に読み,感想を交流する。
・黄色の付箋…よかったと思うところ
(2) 黄色の付箋にはどんなことが書いてあったか出し
合う。
(3) 友達の説明書のよかったところを出し合う。
見出しにそって書い
てあってよかったよ。
じゅんじょをあら
わすことばがつかっ
てあってよかったよ。
絵が使われ
ていたり,長さ
が 書 か れ てい
た り し て よか
ったよ。
○ 読みの視点を明確にするために,これま
での学習を振り返らせる。
【読みの視点】
①見出しにそって書かれているか。
②順序を表すことばが使われているか。
③絵や長さが書かれているか。
○ 表記面ではなく,文章構成面でよいとこ
ろを見つけさせるために,読みの視点を明
確に指示する。
○ 話し合いを円滑に進めるため, 付箋紙
を活用する。また,比べやすいように,同
じおもちゃ同士でグル―プを作らせる。
○ 学習した達成感を味わわせるためにわか
りやすかったところをたくさん見つけさせ
るようにする。
○ わかりやすいせつ明書とはどんなものか
しっかりつかませるために分かりやすかっ
たところと教材文の共通点を探させる。
(4) つけ加えて書く。
・付箋を見て,付け
加えたいところを
書き込む。
(5) この学習で自分ができるようになったことを自己
評価する。
(ワークシート)
○ 机間指導を行い,戸惑っている子どもに
個別指導を行う。
○ ワークシートで学習を振り返り,自己評
価させる。
9 説明の練習をする。
せつ明カードをしあげて,せつ明のれんしゅうをしよ
う。
○ 前時に行った反省をもとに,文を付け加えさせ
る時間を与えるようにする。
⒑ おもちゃの説明会を開く。
1年生におもちゃの作り方をせつ明しよう。
○ 作った説明書をもとに,1年生に教える活動を
通して,今後も活用しようという意欲や態度を育
てていく。
エ 成果と課題
○ 実際におもちゃを作ったり,1年生に説明したりする活動を行ったことで,説明文の学習が役に立
つことを実感できた子どもたちが多かった。また,図工や生活科等,他教科との関連で国語科の役割
を考えるよいきっかけとなった。
○ 学習してきたことを観点として説明書を読み合う活動を行ったことで,単元の学びを振り返る機会
となった。また,友達からもらった附箋は,目に見える形での相互評価となり,学習への達成感を味
わわせることができた。
● 説明文を交流し合って附箋をもらった後に,口頭でも対話しながら説明文を仕上げることができれ
ば,さらに伝え高め合いながら,よりよい説明文にすることができた。
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