導光板専用成形機「LGP180HP」

製品・技術紹介
導光板専用成形機「LGP180HP」
1. はじめに
昨年1年間に世界では 13 億台以上のスマートフォン
が出荷されています。最近のスマートフォンやタブレッ
形品の肉厚測定結果を確認し、必要に応じて平行度を調
整することによって成形品肉厚の微調整が可能となって
います。これらの構造・機能の採用により肉厚偏差の少
ない成形品を実現しています。(図 1)
ト端末の傾向として大型化、薄型化、軽量化が求めら
れ、液晶画面に使用される導光板も大型化および薄肉化
の要求がより一層厳しくなってきています。さらに導光
板品質として重要視される平面度や均一な肉厚、製品内
色差、高転写性など高度な要求品質に応えるべく開発さ
れたのが導光板専用成形機「LGP180HP」です。
2. 「LGP180HP」の概要
LGP180HP は4インチ・スマートフォンから14イン
チ・タブレットPCをターゲットとした導光板専用成
図1
形機です。型締装置には直圧式型締装置を採用し、導
光板の要求品質を満たすべく名機製作所の長い歴史の
中で積み重ねたノウハウが注ぎ込まれています。また、
(2)光学特性
射出装置には日本製鋼所製の高応答・高速・高圧電動
導光板に求められる光学特性は、製品全面において均
射出装置を搭載し、より大型化・薄肉化する導光板に
一で高い輝度が得られることが求められます。肉厚の薄
対しても成形性のマージンを大きく取ることが可能と
い導光板金型では、非常に狭いキャビティ内に樹脂を充
なっています。
填させるためゲートから離れたキャビティ末端では射出
圧力がかかり難くなります。そのため光学パターンの転
3. 導光板に求められる品質
(1)肉厚偏差・薄肉化
写性が悪くなり十分な輝度を得られない場合があります。
LGP180HP では、射出プレス成形を行うことによっ
て、この問題に対応しています。射出充填開始前にわ
導光板に求められる品質の中に肉厚偏差があります。
ずかに金型を開いておき広くなった通路に高速・低圧
10 インチ・t 0 . 5 mm の導光板では 20μm 以下、5 インチ・
で樹脂を充填し高速プレスを行うことによって成形品
t 0 . 3 mm の導光板では 10μm 以下の面内偏差が求めら
全面に均等な圧力がかかり均一な転写性を得ることが
れます。
出来ます。(図 2)
この要求に対応するため LGP180HP では、成形時の
台盤の撓みに対して有利な直圧式型締装置を採用してい
高速射出成形
流動末端転写性が悪く、
均整度が低い。
射出プレス成形
成形品全面が均等で
良好な転写。
ます。直圧式型締装置では可動盤の中央を直接押すこと
で型締力を金型にダイレクトに反映することが出来ま
す。さらに高剛性台盤や大型リニアガイド、大径ラム、
高剛性ベッドなどで構成することによって台盤および金
型の変形を最小限に抑えています。それに加え台盤平行
ゲート付近に応力が
集中・残留。
度調整機能を装備し、成形条件だしの時などに実際の成
製品全体の歪みが
少ない。
図2
株式会社 名機製作所 〒474-8666 愛知県大府市北崎町大根 2 Tel.0562-48-2111 Fax.0562-47-2316
Meiki Co.,Ltd
(162)
日本製鋼所技報 No.66(2015.10)
製品・技術紹介
この時に重要となってくるのがプレス速度です。キャ
状態で充填するため低い射出圧力で充填が可能で、また
ビティ内に充填された樹脂は、金型によって刻一刻と冷
プレス動作により製品全面に均一にプレス圧が働くので
やされていき流動性を失っていきます。樹脂の流動性が
応力の残留がほとんどありません。
失われないうちにいかに早くプレス完了するかが重要と
写真 1 は、偏光板を通して見た内部残留応力の分布で
なってきます。LGP180HP ではアキュームレータと大流
す。上側の高速射出成形では、応力の残留を示す白色部
量・高応答サーボバルブを搭載することによって型締力
分がゲートを中心に大きく広がっています。下側の射出
0 → 1750kN まで 0.048sec で完了することができ、より
プレス成形を行った製品では、応力の残留がほとんど無
良好な転写性を得ることが出来ます。(図 3)
いことが分かります。
成形機: 他社機
(140ton)
サイクル時間: 22.0sec
図3
(3)黄変
導光板の主流材料であるポリカーボネートを成形する
場合にしばしば問題となるのが黄変です。黄変の原因と
なるいくつかの要因に対し LGP180HP では次のような
対応をしています。
狭いゲートやキャビティを高速充填する時の剪断発熱
による熱劣化に対しては、射出プレス成形を行うことに
より低圧射出が可能になり剪断発熱を抑制する効果があ
ります。また光学専用スクリュ/シリンダを搭載するこ
とによってシリンダ内の滞留や汚染を抑えています。
可塑化時に発生するガスに対しては、オプションでフ
ィードスクリュ式材料供給装置を用意し、飢餓供給を行
うことでガス分の排出を行うことが可能です。さらに真
成形機: MEIKI-LGP(70ton)
サイクル時間: 9.0sec
材料: 一般 PC 材
写真 1
空可塑化装置 VACMELTOR を搭載すればガス分を強制
的に排除することができ黄変対策として非常に有効です。
(4)変形・反り
4. おわりに
一般的な射出成形で薄肉導光板の末端まで十分に圧力
導光板専用成形機 LGP180HP はこれからも不断の研
をかけるためには高速かつ高圧で射出を行う必要があり
鑽を積み重ね、高精度化・薄肉化といったニーズに応え
ます。そのためゲート付近には高い応力が発生し、それ
られるように今後も改良改善に努める所存です。
が残留することによって変形や反りの原因となります。
対して射出プレス成形の場合は、金型をわずかに開いた
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