2015.06.19 実施 2015 年度 生物 振り返り試験

2015.06.19 実施
2015 年度
生物
振り返り試験
以下の設問に対する答えの数字を,選びなさい
【酵素は活性化エネルギーを低下させることで反応が容易に進行することを説明できる】
(1)酵素に関する記述の正誤について,正しい組合せはどれか.
a. 穏やかな条件(僅かな活性化エネルギー)で効率よく反応が進むことは,酵素反応の特徴で
ある.
b. 生体内化学反応を触媒する酵素は,タンパク質を主成分とする物質である.
c. RNA や DNA にも酵素として触媒活性を有するものがある.
d. 酵素反応の最適 pH は,酵素タンパク質の分子量により決まる.
e. 酵素にその基質が結合すると,一般に酵素の立体構造が変化する.
a
正
誤
正
誤
正
正
1
2
3
4
5
6
b
正
誤
誤
正
正
誤
c
誤
正
誤
正
正
誤
d
誤
正
誤
正
誤
正
e
正
誤
正
誤
正
誤
【酵素を反応様式により分類し,代表的なものについて性質と役割を説明できる】
(2)酵素分類の記述のうち,誤っているものはどれか.
1. 酸化還元酵素とは,基質Αから水素または電子を奪ってほかの基質Βに移す酵素をいう.
2. 転位酵素とは,基質 A-X から X を他の基質に移して,A- A を作る酵素をいう.
3. 脱離酵素とは,加水分解や酸化によらず,ある官能基を離脱させ二重結合を残す反応を触媒する酵素を指す.
4. 異性化酵素とは,ある基質分子の分子内原子配置を変化させる酵素を指す.
5. 合成酵素とは,ATP 依存的に縮合反応を触媒する酵素を指す.一般にシンテターゼという.
【酵素反応速度論について説明できる】
(3)酵素反応速度論に関する記述のうち,正しいものの組み合わせはどれか.
a. Michaelis 定数が小さいほど,酵素と基質との親和性が低い.
b. 酵素反応の競合的阻害剤が存在すると,見かけの Michaelis 定数は阻害剤非存在時に比べ大
きくなる.
c. V0=Vmax[S]/Km+[S]を,Lineweavr-Burk 式とよぶ.
d. Km は,Vmax/2 を与える基質濃度に等しい.
1 (a,b)
2 (a,c)
3 (a,d)
4 (b,c)
5 (b,d)
1
2
3
4
5
6
a
誤
正
誤
正
誤
正
b
正
誤
誤
誤
正
正
c
誤
正
正
正
誤
誤
d
正
誤
誤
誤
正
誤
e
誤
誤
正
正
正
誤
1
2
3
4
5
6
a
正
誤
正
誤
正
誤
b
正
誤
誤
正
誤
正
c
正
誤
誤
誤
正
正
d
正
誤
誤
正
正
誤
e
正
誤
正
誤
正
正
6 (c,d)
【代表的な酵素活性調節機構を説明できる】
(4)酵素活性調節に関する記述の正誤について,正しい組合せはどれか.
a.酵素阻害物質とは,酵素のある特定の部位を切断して反応速度を低下させる物質である.
b.阻害には,可逆阻害と不可逆阻害があり,不可逆阻害の場合には阻害剤が酵素と共有結合を形
成するものがある.
c.可逆阻害には拮抗(競合)阻害,非拮抗(競合)阻害および不拮抗(競合)阻害がある.
d.酵素 Km は,酵素の拮抗阻害剤が存在すると,阻害剤の非存在時より小さくなる.
e.酵素反応最大速度は,酵素の非拮抗阻害剤が存在すると,阻害剤の非存在時より低下する.
(5)酵素活性調節に関する記述のうち,正しいものの組み合わせはどれか.
a. 酵素の不拮抗阻害剤が存在すると,酵素KmおよびVmaxは,阻害剤の非存在時より共に減少する.
b. 一般に酵素活性は,pHやイオン強度により大きな影響を受ける.
c. 酵素反応には,一般に至適pHと至適温度がそれぞれ複数存在する.
d. 反応液中の塩濃度は,酵素反応の至適温度に影響を及ぼさない.
1 (a,b)
2 (a,c)
3 (a,d)
4 (b,c)
5 (b,d)
6 (c,d)
(6)酵素活性調節に関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1. アロステリック酵素は,サブユニット構造(四次構造)をとることが構造上の特徴である.
2. アロステリック酵素には,触媒部位とは別に調節因子の結合するアロステリック部位が存在する.
3. フィードバック阻害では,一連の代謝経路の最初や分岐酵素活性が,その代謝経路の最終生成物によりアロステリックな促進を受ける.
4. アロステリック酵素の「基質濃度」vs「反応速度」の曲線は,シグモイド曲線と呼ばれるS字状の特徴的な形を示す.
2015.06.19 実施
(7)下図は,酵素阻害剤が無い時(実線)と種々の酵素阻害剤(1~3)を添加した時の酵素反応を,プロットしたものである.基
質と酵素の複合体に結合し,酵素反応を阻害すると考えられる阻害剤はどれか,ひとつ数字を選べ.
(8)下図は,酵素阻害剤が無い時(実線)と種々の酵素阻害剤(点線,1~4)を添加した時の酵素反応を,反応速度と基質濃度で
プロットしたものである.矢印は,最大反応速度の半分の基質濃度を示している.アロステリック阻害剤と予想される阻害剤はどれか,ひとつ数
字を選べ.
(9)~(10) 下図は,酵素阻害剤が無い時(実線)と拮抗酵素阻害剤あるいは非拮抗阻害剤を添加した時(点線)の酵素反
応を,Lineweaver-Burke の両逆数プロットしたものである.数字は各切片の値を示している.(9)および(10)の設問に答えよ.
(9)拮抗阻害剤の添加により Km 値は,阻害剤無しに較べて何倍になったか,最も近い値を選べ.
1 0.5倍
2 1.0倍
3 2.0倍
4 4.0倍
5 8.0倍
(10)非拮抗阻害剤の添加により最大速度は,阻害剤無しに較べて何倍になったか,最も近い値を選べ.
1 0.5倍
2 1.0倍
3 2.0倍
4 4.0倍
5 8.0倍
2015.06.19 実施
(11)タンパク質に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 核磁気共鳴(NMR)法は、タンパク質の立体構造決定に使われている。
b 膵臓のβ細胞で合成されるプロインスリンは、β細胞から分泌されたのち、タンパク質分解酵素によって、Cペプチドとインスリンになる。
c シャペロンは、生体内で合成中のポリペプチド鎖の折りたたみにかかわっている。
d 繊維状タンパタ質は水に溶けやすく、その代表的なものとしてケラチンやコラーゲンがある。
1(a、b)
2(a、c)
3(a、d)
4(b、c)
5(b、d)
6(c、d)
(12) 真核細胞におけるメッセンジャーRNA(mRNA)の開始コドンに対応するアミノ酸はどれか。1つ選べ。
1 L-トリプトファン
2 L-アラニン
3 L-グルタミン酸
4 L-メチオニン
5 L-ヒスチジン
(13) タンパク質の翻訳後修飾において、糖鎖による修飾を受けるアミノ酸残基はどれか。1つ選べ。
1 L‐アラニン
2 L‐システイン
3 L‐トリプトファン
4 L‐トレオニン
5 L‐グルタミン酸
(14)遺伝子の翻訳に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 真核細胞のリボソームは、40Sと60Sのサブユニットから構成される。
b 大腸菌の翻訳開始因子であるIF-2は、ATP結合タンパク質である。
c 終止コドンは3種類存在する。
d サプレッサーtRNAは、終止コドンを認識してリボソームのPサイトにアミノ酸を運ぶ tRNAである。
1(a、b)
2(a、c)
3(a、d)
4(b、c)
5(b、d)
6(c、d)
(15)
遺伝暗号に関する記述の正誤について、正しいものの組合せはどれか。
a 1つのアミノ酸は、3つの塩基の並び方によって指定され、この遺伝暗号の単位をコドンという。
b すべてのアミノ酸は、それぞれ複数のコドンを有する。
c 終止コドンは、UAA、UAG、UGA、UGGの4種類である。
d AUGはメチオニンのコドンである。
1(a、b)
2(a、c)
3(a、d)
4(b、c)
5(b、d)
6(c、d)
(16)RNAに関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1.
RNAは複製から翻訳まで多彩な機能働きをしている.
2.
生命誕生の太古の昔は,RNAが細胞骨格として働いていた可能性がある.
3.
遺伝子の発現を制御する小さな(20塩基前後)RNA分子が注目されている.
4.
転写後のRNA分子が化学的修飾を受け,他の塩基に変わることで,伝わる情報が変化することがある.
5.
gRNAは,RNA編集(RNAエディティング;editing)を行うエディトソームのRNA成分である.
(17)RNAに関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1.
遺伝子の一次転写物であるhnRNAは,イントロンを含んでいる.
2.
miRNA(microRNA)は,RNaseIII(ダイサー)により約70塩基の前駆体から切り出されて生じる.
3.
miRNA(microRNA)は,rRNA(リボソームRNA)と二本鎖を形成することでその翻訳を阻害する.
4.
ncRNA(non coding RNA)は,mRNAと同程度の大きさであるが,タンパク質をコード出来るほどのORF(open reading frame)をもたない.
5.
ncRNA(non coding RNA)には,ポリAの尾部を持つものと持たないものがある.
(18)RNAに関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1.
プライマーRNAは,DNA複製の開始部分を指示する役割を持ち,複製過程の途中で分解される.
2.
7S RNAは,シグナルペプチド(極在配列)をもつ膜タンパク質の生合成に必要となる40Sサブユニットの構成因子の一つである.
3.
siRNAは,細胞内に存在する21~23塩基の二本鎖RNAの総称で,同じ配列をもつmRNAを標的として分解する.
4.
snRNAは,スプライセオソームの構成成分として役割を果たしている.
5.
snoRNAは,核小体に存在し,rRNAの加工や修飾に関わっている.
2015.06.19 実施
(19)RNAに関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1.
teromerase RNAは,テロメラーゼの構成成分としてテロメアの分解(縮小)に関与している.
2.
遺伝子発現を抑制する(ノックダウン)RNAとして,RNAi(RNA interference)が用いられる
3.
細胞内に二本鎖RNAが生じると分解する機構がある.
4.
数百塩基対の二本鎖RNAは,Dicerと呼ばれるRNase III酵素で分解され,21から25塩基対の二本鎖RNAに変化する(siRNA).
5.
siRNAはRISC(RNA-indued silencing complex)に取り込まれる.
(20)RNAに関する記述のうち,誤っているものはどれか.
1.
RISCは,含まれるsiRNAと相補的なmRNAを特異的に切断する能力を持つ.
2.
mRNAは,成熟過程で5’末端にポリアデニル酸(poly A)が付加される.
3.
多くのmRNAの5’末端には,キャップと呼ばれる構造が付加される.
4.
RNAポリメラーゼIにより転写されるリボソームRNAは,切断されて3種の分子に成熟する.
5.
転写後のRNA分子が化学的修飾を受け,他の塩基に変わることで,伝わる情報が変化することがある(RNAエディティング).