数学から見たおむすび ~お弁当に入れるおむすびの詰め方~ 1.はじめに 皆さんはお弁当を持ってどこかに出かけることはあります か。ピクニックなどのお出かけだけでなく、学校や会社にも お弁当は活躍しているでしょう。 お弁当にはおむすびが入っていることが少なくはないと思 います。特に運動会やお花見といった多くの人が参加する行 事ではおむすびは食べ易さという点でもお弁当箱(大人数だと 重箱のほうが使われるかもしれないですが)に登場する機会が 多いでしょう。 今回はお弁当に入れるおむすびの詰め方を数学的視点から 見ていきたいと思います。 2.お弁当に入れるおむすびの詰め方は何通りある? 問題 おむすびが横に3個、縦に2個入る重箱がある。その重箱に海苔の巻い てあるおむすびと海苔の巻いてないおむすびの2種類を合わせて6個用 意し、それらを次のルールに従って敷き詰めます。このとき何通りのお むすびの詰め方があるでしょう。 以下では海苔の巻いてあるおむすびを🍙と表し、海苔の巻いてないおむ すびを△と表します。 ルール①1種類のおむすびしか重箱に入っていないものも1通りとして 数えます。 ルール②お弁当の見栄えが良くなるように2種類のおむすびの内、片方 の種類のおむすびは重箱の左上に寄せて詰めて、もう片方の種 類のおむすびは右上に寄せて詰めるようにします。 良い例 悪い例 ルール③左上に寄せる方の種類のおむすびがk行目に𝑎𝑘 個あるとすると 𝒂𝒌 ≧ 𝒂𝒌+𝟏 となるようにします。つまり、下の行に行く程おむすびの個数 が 少なくなっていくようにします。 良い例 悪い例 実際に数えてみましょう。 よって答えは 18通り になります。 3.上記の問題を詳しく考えてみる 上の18通りのおむすびの詰め方を眺めてみて何か気付く ことはないでしょうか。 まず上から1段目と2段目の重箱を見てみましょう。これ は海苔の巻いてあるおむすびを左上に寄せ、海苔の巻いて いないおむすびを右下に寄せた詰め方をすべて表していま す。そして、これらの詰め方は海苔の巻いてあるおむすび の詰め方が決まってしまえば、海苔の巻いてないおむすび の詰め方は残りのスペースに詰めたらよいので唯一通りに 決まります。 次に1、2段目の重箱と3、4段目の重箱を見比べてみま しょう。3、4段目の重箱は1、2段目の重箱の中のそれぞれ の種類のおむすびをもう一方の種類のおむすびに変えたも のになります。 このことからおむすびの詰め方の総数は ( 1個以上のおむすびを左上に寄せて詰める総数 ) × 2 になります。そして、 X = (横に詰められるおむすびの個数) + (縦に詰められるおむすびの個数) Y = (横に詰められるおむすびの個数) と置くと、 ( 1個以上のおむすびを左上に寄せて詰める総数 ) = XCY ということが数学的帰納法によっても示されています。 よって上記の問題の答えは 2 × (3+2C3-1) = 2 × (10 - 1) = 2 × 9 = 18 通り ということが分かりました。 4.最後に 今回取り上げた問題は数学の中では代数という分野に関する 知識を用いて考えることのできる内容になります。高校で習う 数Ⅰの「場合の数・確率」に近いものと言えば馴染みがあるよ うに感じるでしょうか。 この問題ではおむすびの詰め方のルールを上記のように3つ 設定しましたが、お弁当箱の形を変えてみたり、詰めるおむす びの種類を増やしてみたりすることによって、おむすびの詰め 方の総数は変わっていきますし、その際用いる式の形も様々存 在するでしょう。 おむすびを数学的視点から見る機会はあまり多くはないと 思いますが、私たちの身近に潜んでいる疑問の中には「数学 化」してみることによって解決への糸口が見つかるものもたく さん存在すると思います。興味のある人は是非このような疑問 を探してみてはどうでしょうか。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 本記事の担当:さとえり(奈良女子大学)
© Copyright 2024 ExpyDoc