三豊市地球温暖化対策実行計画(区域施策編) (案) 平成27年2月 三 豊 市 目次 1 計画の基本的事項_______________________________________________________________________ 1 (1) 計画策定の背景 ___________________________________________________________________ 1 (2) 計画の基本的事項 ________________________________________________________________ 6 2 市民の意向________________________________________________________________________________ 8 (1) 意向調査の概要 ___________________________________________________________________ 8 (2) 市民アンケート調査結果 _________________________________________________________ 9 (3) 事業所アンケート調査結果 ____________________________________________________ 13 (4) 意向調査のまとめ _______________________________________________________________ 17 3 三豊市の温室効果ガス排出状況 ___________________________________________________ 18 (1) 温室効果ガス排出量算定の概要 ____________________________________________ 18 (2) 温室効果ガス排出量算定方法 _______________________________________________ 19 (3) 温室効果ガス排出量算定結果 _______________________________________________ 21 4 温室効果ガス排出量の削減目標 ___________________________________________________ 24 (1) 削減目標設定の前提条件 _____________________________________________________ 24 (2) 温室効果ガス削減目標 ________________________________________________________ 26 5 温室効果ガス削減に向けた施策 ____________________________________________________ 28 (1) 実行計画の基本方針 ___________________________________________________________ 28 (2) 市民・事業者の取組 ____________________________________________________________ 33 6 計画の推進体制と進行管理 _________________________________________________________ 43 (1) 実行計画の推進体制 ___________________________________________________________ 43 (2) 実行計画の進行管理 ___________________________________________________________ 44 1 計画の基本的事項 (1) 計画策定の背景 1) 地球温暖化とは 地球は、太陽からのエネルギーによって地表面が温められています。温められた地表の 熱の大部分は宇宙に放出されますが、一部の熱が大気中のCO2(二酸化炭素)に代表され る温室効果ガスに吸収され、地上に保温効果をもたらしたことで、地球上は人類や動植物 が過ごしやすい環境に保たれてきました。 しかし、産業革命以降、化石燃料の使用拡大に伴い大気中の温室効果ガス濃度が急激に 上昇したことで、大気中の熱の吸収量が増加し、これまでほぼ一定で推移してきた地上気 温が上昇することとなりました。これが地球温暖化と言われる現象です。 なお、産業革命以降人為的に排出された温室効果ガスの中でも、CO2は地球温暖化に対 して最も影響度が高いと言えるでしょう。 出典:全国地球温暖化防止活動推進センターWebサイト 図 1 地球温暖化のメカニズム(左)と日本が排出する温室効果ガス(右) 表 1 法令により削減の対象となる温室効果ガス 温室効果ガス 排出源 CO2(二酸化炭素) 化石燃料の燃焼など。 CH4(メタン) 稲作、家畜の腸内発酵、廃棄物の埋め立てなど。 N2O(一酸化二窒素) 燃料の燃焼、工業プロセスなど。 HFCs(ハイドロフルオロカーボン類) スプレー、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、化学物質 の製造プロセス、建物の断熱材など。 PFCs(パーフルオロカーボン類) 半導体の製造プロセスなど。 SF6(六ふっ化硫黄) 電気の絶縁体など。 NF3(三ふっ化窒素)※ 半導体や液晶基板の洗浄など。 ※三ふっ化窒素については平成27年4月1日より 1 2) 地球温暖化に関する最新の知見 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年に公表した「第5次評価報告書 第1作 業部会報告書」において、地球温暖化の現状として以下の内容が公表されています。 IPCC 第5次評価報告書 要旨 1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇しており、最近30年間の 各10年間はいずれも、1850年以降の各々に先立つどの10年間よりも高温であった。 (図 2 参照) 1986~2005年平均に対する2081~2100年の世界平均地上気温の上昇量は、可 能な限りの温暖化対策を前提としたシナリオでは0.3~1.7℃、緩和策を実施しない前 提のシナリオでは2.6~4.8℃の範囲に入る可能性が高いと予測される。 人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可 能性が極めて高い。 二酸化炭素の累積総排出量とそれに対する世界平均地上気温の応答は、ほぼ比例 関係にある。 出典:「IPPC第5次評価報告書の概要 第1作業部会(自然科学的根拠)」(環境省) 図 2 世界の平均地上気温偏差 また、気象庁の観測データによると、日本の年平均気温も年により変動が大きいものの、 長期的な変化は上昇傾向であり、100年あたり1.14℃の割合で上昇しています。 (図 3 参照) 2 長期的な変化は 上昇傾向 出典:気象庁Webサイト 注1) 細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、 直線(赤):長期的な変化傾向 注2) 基準値は1981~2010年の30年平均値 図 3 日本の年平均気温偏差 3) 地球温暖化を巡る国内外の動向 京都議定書第一約束期間(2008年~2012年の5年間)を終え、我が国は、全ての国が参 加しない、公平性・実効性に潜在的な疑問を抱えていた京都議定書第二約束期間への参加 を見送り、自主的に設定した2020年削減目標の達成に向け、温室効果ガスの排出削減努力 を継続しています。 現在、日本政府をはじめとして、先進国の更なる温室効果ガス削減や、削減義務のない 新興国などを含めた2020年以降の新たな枠組に関する2015年までの合意に向け、我が国は 働きかけを行っています。 3 表 2 地球温暖化防止に向けた国際的な動向 年度 動向 1992 「気候変動に関する国際連合枠組条約」が採択された。 1994 「気候変動に関する国際連合枠組条約」が発効された。 1997 2004 2007 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)にて、各国ごとに温室効果ガス排出量に 係る数値目標を定めた「京都議定書」が採択された。 「京都議定書」が発効された。 気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)にて、2013年度以降の国際的な枠組 みづくりに向けたバリ・ロードマップ等が採択された。 気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)にて、先進国と主要な途上国の削減目 2009 標・削減行動と、資金援助額などを記載した「コペンハーゲン合意」への留意が決定され た。 気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)にて、COP15において留意に留まった 2010 「コペンハーゲン合意」のCOP決定が採択され、先進国と途上国の双方が削減の目標や 行動を掲げて取り組むことや、削減効果の国際的検証の仕組みの導入、資金・技術・適 応・森林保全等の途上国支援の強化を盛り込んだ「カンクン合意」が採択された。 気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)にて、我が国の目指す「全ての国に適 用される将来の法的枠組み」構築に向けた道筋(2015年までのできるだけ早期に採択 2011 し、2020年から発効・実施)、その構築までの間の取組の基礎となる「カンクン合意」の実 施のための仕組みの整備、そして京都議定書第二約束期間の設定に向けた合意がなさ れた。 気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)にて、新たな国際枠組みの構築等に向 2012 けたダーバンプラットフォームの作業計画、従来の作業部会の終了、資金に関する決定、 及び気候変動による損失と被害(ロス&ダメージ)に関するCOP決定がなされた。 気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)にて、2020年以降の枠組みについて、 2013 全ての国が自主的に決定する約束のための国内準備を開始し、COP21に十分先立ち約 束草案を示すことなどが決定された。 気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)にて、京都議定書に代わり2020年以 降にスタートさせる新たな枠組みについて草案を起草し、2015年12月パリで開催される 2014 COP21で「意味ある合意」をまとめるという総括文書が発表された。 なお、我が国は、米国や中国を念頭に「すべての国が参加する公平かつ実効性のある枠 組みでなければならない」と主張した上で、2020年以降の温室効果ガス排出削減目標案 を早期に提出する考えを示した。 4 表 3 地球温暖化防止に向けた国内の動向 年度 動向 10月に京都議定書で課せられた「基準年比6%削減」という目標の確実な達成に向け、 1998 「地球温暖化対策の推進に関する法律」を制定し、我が国の地球温暖化対策の第一歩と して、国、地方公共団体、事業者、国民の責務を明らかにし、各主体が地球温暖化対策 に取り組むための枠組みが定められた。 4月に京都議定書の目標達成に向けた我が国の地球温暖化対策の目指す方向や基本 2005 的考え方を示す「京都議定書目標達成計画」を閣議決定し、部門ごとに削減目標(目安) を示すとともに具体的な削減対策が示された。 2007 2008 京都議定書の第一約束期間(2008~2012年度)を迎えるにあたって、3月に京都議定 書目標達成計画の全面改定がなされた。 6月に「地球温暖化対策の推進に関する法律」の改正(特例市以上の地球温暖化対策地 方公共団体実行計画の策定の義務付けなど)がなされた。 3 月に「地球温暖化対策基本法案」の閣議決定がなされた。また「地球温暖化対策に係 2009 る中長期ロードマップ(環境大臣試案)」が公表され、「2020年に1990年比25%削減、 2050年に80%削減」という中長期目標の実現に向けた対策・施策と行程が提示された。 2010 2011 8月に国土交通省において「低炭素都市づくりガイドライン」が公表された。 10月に東日本震災後のエネルギー・環境政策の見直しの機運を踏まえ、国家戦略会議 にエネルギー・環境会議が設置された。 12月に「都市の低炭素化の促進に関する法律」が施行された。その後、3月に地球温暖 化対策推進本部において、「当面の地球温暖化対策に関する方針」が決定された。本方 2012 針において、2020年までの削減目標についてCOP19までにゼロベースで見直すことが明 記された。また、地球温暖化対策計画の策定に向けて、中央環境審議会・産業構造審 議会の合同会合を中心に、関係審議会において地球温暖化対策計画に位置付ける対 策・施策の検討を行うこととなった 11月に地球温暖化対策推進本部において、原子力発電による温室効果ガスの削減効 2013 果を含めずに設定した現時点の目標として、「2020年度の温室効果ガス削減目標は、 2005年度比で3.8%減とする」ことが決定された。 4月に新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定し、省エネルギー技術や再生可能エネ 2014 ルギーの導入と併せて原子力を含めたエネルギーの多様化を図ることで安全かつ安定的 なエネルギー供給を果たすという方向性が示された。 5 (2) 計画の基本的事項 1) 三豊市における計画策定の目的 地球温暖化は、その原因と影響が地球規模にわたることから、世界全体で取り組まなけ ればならない喫緊の課題ですが、本市の環境や市民生活にも多大な影響をもたらす問題で もあります。 すなわち、地球温暖化は本市が直面する問題でもあり、これを防止し、限りある大切な 資源や本市の豊かな環境を未来へ引き継ぐためには、本市の地域特性に応じた野心的な地 球温暖化対策を講ずることが求められます。また、地域の問題として行政が率先して取り 組むことをはじめ、市民・事業者・行政各主体の連携・協働による取り組みが不可欠であ ることから、本市における取組の指針となる「三豊市地球温暖化対策実行計画(区域施策 編)」 (以下「実行計画」という。 )の策定を行います。 2) 計画の位置付け 実行計画は、 「地球温暖化対策の推進に関する法律」 (以下「温対法」という。 )第20条の 第3項に規定される「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)」に相当し、本 市の自然的・社会的特性等を踏まえ、地球温暖化対策を総合的・計画的に推進するために 策定するものです。 なお、温対法では、都道府県並びに指定都市、中核市及び特例市に同計画の策定を義務 付けており、本市を含むそれ以外の地方公共団体においては策定の努力義務が規定されて います。本市では、同計画を自主的に策定することで、地球温暖化対策の戦略的な推進を 図ります。 3) 計画の期間 計画の期間は、本計画の上位計画である「三豊市新総合計画後期基本計画」と現在改定 中の「三豊市環境基本計画」との整合を図り、2014年度から2018年度の5年間とします。 温室効果ガスの削減目標については、基準年を2005年度とし、短期、中期、長期に分け て設定します。短期目標は2020年度、中期目標は2030年度とします。また、長期目標は、 国の長期目標年度に合わせて、2050年とします。 基準年 現況年 短期 目標年 中期 目標年 長期 目標年 2005 H17 2012 H24 2020 H32 2030 H42 2050 H62 計画策定 2014 H26 2015 H27 2016 H28 2017 H29 2018 H30 計画期間(※) 2014 年度~2018 年度 平成 26 年度~平成 30 年度 2019 H31 2020 H32 継続的取組 ※「三豊市新総合計画後期基本計画」及び「三豊市環境基本計画」との整合 図 4 実行計画期間 6 4) 計画の対象範囲 計画は、事業活動や市民生活など、地域の温室効果ガス排出に関わる全ての活動を対象 とします。 なお、温室効果ガスの排出要因や施策の対象を明確にするため、本市の活動を産業部門・ 運輸部門・民生業務部門・民生家庭部門・廃棄物部門の5部門に分類します。 表 4 計画の対象とする部門 分 類 概 要 産業部門 製造業・非製造業(農林水産業・鉱業・建設業) 運輸部門 船舶、鉄道、車等(自家用車・公用車・社有車等含む) 民生業務部門 商業施設、事務所・ビル、学校、病院、公共施設等 民生家庭部門 自家用車を除く一般家庭 廃棄物部門 一般廃棄物、産業廃棄物 5) 対象とする温室効果ガス 計画の対象とする温室効果ガスは、温対法により削減対象となっているガス(表 1 参照) のうち、本市内からの排出が見込まれるCO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)、N2O(一酸 化二窒素) 、HFCs(ハイドロフルオロカーボン類)の4種類のガスとします。 実行計画の対象とする温室効果ガス CO2(二酸化炭素) CH4(メタン) N2O(一酸化二窒素) HFCs(ハイドロフルオロカーボン類) 7 2 市民の意向 (1) 意向調査の概要 実行計画の策定にあたり、計画に市民・事業者の意識を反映させることを目的として、ア ンケート形式による意向調査を実施しました。 調査の概要は以下のとおりです。 1) 調査期間 平成26年11月4日~11月21日 2) 調査方法 郵送による配布・回収 3) 調査対象 本市在住の市民及び本市に事業所を構える事業者 4) 対象者の抽出 市民:地域別人口による層化抽出 事業者:事業所の規模、業種などを基に抽出 5) 配布数及び回収数 市民 :1,500通の配布に対し有効回答519通(回収率:35%) 事業者 : 100通の配布に対し有効回答39通(回収率:39%) 8 (2) 市民アンケート調査結果 1) 地球温暖化に対する意識 地球温暖化問題への関心 地球温暖化問題に関心を 示す回答(「かなり関心があ る」(32%)、「少し関心があ る」(53%))が全体の85%を 占める 地球温暖化対策について行政に望む取組姿勢 「市の財政や他の行政サー ビスも考えて、可能な範囲で 取り組むべきだ」への回答が 最も多く(33%)、現在の行 政サービスレベルの維持を 前提とした取組が望まれて いる 三豊市に相応しいと考える地球温暖化対策 省エネ機器や自然エネルギ ーの導入などハード的な対 応への要望(54%)、学校で の環境教育など人材育成へ の要望(50%)が過半数を占 める 省エネ行動マニュアル、パン フレットの配布など情報を欲 する意見も見られる 9 2) 家庭でのエネルギー使用状況 最近のエネルギー使用量の変化への意識 「増えている」理由 「減っている」理由 エネルギー使用量が減少した家庭は「省エネ対策に取り組むようになった」(15%)との意識的 な削減の成果が示されており、かつエネルギー増減要因をより明確に把握している 3) 日本の温室効果ガス排出状況に対する意識 一般家庭を含む民生部門でのCO2増加率が最も高いことへの認識 地球温暖化に関する一般的な認識はあるものの、家庭 の排出状況などより掘り下げた内容には過半数の市民 が認識していない 10 4) CO2排出削減行動への取組に対する意識 CO2排出削減行動への今後の取組意欲 CO2削減に係る取組については「これから取り組みたい」との意見も含めて全ての取組項目で 過半数の市民が取り組みへの意向を示している。 11 省エネルギー家電製品等の導入状況 家電製品については一定の導入がうかがえ、機器に対する興味のある様子が見られる 家庭のエネルギー消費の中で全体の約40%を占める給湯に対し、高効率機器への需要や関 心が少ない 家庭での取組に対して求める支援策 資金面での支援を望むとともに、情報支援に対する要望も強い 12 (3) 事業所アンケート調査結果 1) 地球温暖化対策に関する意識 地球温暖化対策への取組姿勢 取組に消極的な(「どちらかと 言えば事業活動を優先」 (8%)、「事業活動が手一杯 で対応できていない」(23%)、 「地球温暖化対策が重要とは 考えていない」(2%))事業者 が全体の1/3に及ぶ 地球温暖化対策について行政に望む取組姿勢 行政・市民・事業者の協働に よる取組を望む回答が最も 多く(36%)、次いで行政サー ビスを意識した上での取組へ の回答(33%)が多い 三豊市に相応しいと考える地球温暖化対策 「リサイクル・省エネなどの推 進により、事業コストの低減に つながる」(74%)への回答が 最も多く、「企業の社会的責 任を果たすことができる」 (59%)、「公害・欠陥商品・環 境汚染の発生など、環境リス クの未然防止に役立つ」 (38%)などが続いている 13 2) 事業所でのエネルギー使用状況 最近のエネルギー使用量の変化への意識 「増えている」理由 「減っている」理由 エネルギー使用量の変動要因は全ての事業者が把握している エネルギー使用量の把握状況 「エネルギー消費機器毎の使用量まで把握・分析」(18%)あるいは「エネルギー種別の使用量 を把握」(23%)などにより省エネルギー化の検討を行う事業所が全体の41%に及ぶ エネルギー使用量の把握自体を行わない事業所も36%を占めている 14 3) 日本の温室効果ガス排出状況に対する意識 日本の温室効果ガス排出量が長期的に増え続けていることへの認識 地球温暖化に関する一般的な認識はあるものの、より 掘り下げた内容は過半数の事業者が認識していない 4) CO2排出削減行動への取組に対する意識 CO2排出削減行動への今後の取組意欲 クールビズ・ウォームビズおよびISO14001・エコアクション21など環境マネジメントシステムへの 取組は実践されていない回答が過半数を超えている 今後の取組意欲については全項目で現在の取組状況を上回っており、取組そのものは意識さ れている 15 省エネルギー機器等の導入状況 省エネルギー機器についてはいずれの機器も一定の導入実績が認められる 今後の導入予定や機器への関心も高く、BEMSを除いて導入への積極姿勢がうかがえる 事業所での取組に対して求める支援策 再生可能エネルギーなどの導入支援については、いずれも経済的な支援と情報提供に対する 要望が強い 16 「無料省エネ診断サービス」の認知度 事業活動の省エネルギー化に有効な「無料省エネ診 断サービス」について、61%の事業所が認識をしてい ない (4) 意向調査のまとめ 1) 市民 地球温暖化問題に対して、市民には一般的な知識や認識があるものの、より掘り下げた内容につ いては認知されていない。 上記に加え、市民は地球温暖化問題に関する情報を潜在的に欲しており、地球温暖化対策や 市の支援策等を含め、市民により多くの情報提供を行うことが望まれる。 市民は、地球温暖化対策や省エネルギー対策について一定の関心を示しつつも、現状の生活レ ベルやライフスタイル、行政サービスの範囲内での対策や取組を望む様子がうかがえる。 2) 事業者 アンケートの回答者の過半数が従業員50人未満の小規模事業所であり、地球温暖化対策を検 討するまでの余裕が無い状況がうかがえる。 地球温暖化問題に関する基礎的な知識や事業者にとって有効な制度などが認知されていない こともあり、「何をすればいいかわからない」状況がうかがえる。 地球温暖化問題を取り巻く我が国の状況、市の取組、活用可能な各種支援制度など、より多くの 情報の提供と共有が望まれる。 17 3 三豊市の温室効果ガス排出状況 (1) 温室効果ガス排出量算定の概要 本市の温室効果ガス排出量の算定にあたり、基本的な考え方について整理する。 1) 温室効果ガス算定の区分 実行計画で取り扱う温室効果ガスは、市民・事業者・行政など、市域のあらゆる活動に 伴い排出されるガスを以下の区分に準じて算定します。 表 5 温室効果ガス算定の区分 ガス種 部門 非製造業 製造業 自動車 鉄道 産業部門 運輸部門 CO2(二酸化炭素) 民生業務部門 民生家庭部門 一般廃棄物 産業廃棄物 廃棄物部門 CH4(メタン) N2O(一酸化二窒素) HFCs(ハイドロフルオロカーボン類) - - - 2) 算定の期間 温室効果ガス排出量の算定を行う期間は、下表のように設定します。 表 6 区分 現況推計 排出量推移の 推計 (過去推計) 将来推計 期間毎の温室効果ガス排出量算定の区分 対象 概要 2012年度 現在の温室効果ガス排出状況の実態把握を目的として、各種統計デー タ等を基に最も高精度に推計する。 なお、推計を行う現況年は、統計的手法により算定可能な直近年度とし て2012年度(平成24年度)に設定した。 1990年度~ 2011年度 現況年までの温室効果ガス排出量推移の把握を目的として、京都議定 書の基準年である1990年度から2011年度までの排出量を推計する。 なお、市町村合併前後や統計調書の仕様変更・再編・廃刊などデータの 不連続性により現況推計と同一手法での推計が不可能であるため、過 去推計は各部門の状況を示す指標等に基づく推計を行った。 2013年度~ 2030年度 今後の温室効果ガス排出傾向の予測や、実行計画の短期・中期目標 設定の基礎データとして2013年度から中期目標年(2030年度)までの 排出量を推計する。 なお、将来推計は、過去推計に用いた各部門の指標の将来予測値に基 づく推計を基本とした。 18 (2) 温室効果ガス排出量算定方法 1) 現況推計 表 7 部門 製造業 産 業 部 門 農業 林業 鉱業・ 採石業 ・砂利 採取業 建設業 自動車 運 輸 部 門 鉄道 業務 民 生 部 門 燃料種 使用 燃料 全般 同上 同上 同上 同上 使用 燃料 全般 同上 使用 燃料 全般 電気 都市 ガス LPG 家庭 灯油 温室効果ガス排出量算定の概要例(エネルギー使用に伴う排出) 算定方法 全国における「産業中分類(24分類)・エネルギー種 別のエネルギー消費(直接エネルギー投入)量※1」 を、「製造品出荷額等※2」で三豊市における消費量 に計算し、これに排出係数を乗じてCO2 排出量を 算定する。 【計算式】 (全国のエネルギー消費量)×(三豊市の製造品出荷 額等)÷(全国の製造品出荷額等)×(排出係数) 全国における「当該産業大分類別の従業者数当た りのエネルギー消費原単位※3」に、三豊市における 各々の「就業者数※4」と排出係数を乗じてCO2排出 量を算定する。 【計算式】 (全国のエネルギー消費原単位)×(三豊市の就業者 数)×(排出係数) 燃料別・車種別の「走行1km当たりの燃料消費量※ 5 」、「1日1車当たりの走行キロ ※5」に、年間走行日 数(=365日と仮定)、三豊市における「車種別の登 録台数 ※6」と排出係数を乗じてCO2排出量を算定 する。 【計算式】 (走行1km当たりの燃料消費量)×(1日1車当たりの走 行キロ)×365×(三豊市の車両登録台数) ×(排出 係数) データの出典 ※1:「エネルギー消費統計調 査」(経済産業省 資源エ ネルギー庁)の直接エネ ルギー投入表(石油等消 費動態統計を含む試算 表)データ ※2:「工業統計調査(市区町 村編)」(経済産業省) ※3:「エネルギー消費統計調 査」(経済産業省 資源エ ネルギー庁)の原単位表 ※4:「国勢調査」(総務省 統 計局)の産業等基本集 計結果 ※5:「自動車燃料消費量統 計」(国土交通省) ※6:《軽自動車以外》「香川県 統計年鑑」、 《軽自動車》「三豊市税 務課資料」 四国における「列車の年間CO2 排出量 ※7 」を、「営 業キロ※8」で計算し、三豊市におけるCO2排出量を 算定する。 ※7:「JR四国環境保全への取 り組み2013」(四国旅客 鉄道株式会社) 【計算式】 (四国の列車の年間CO2排出量)×(三豊市の営業キ ロ)÷(四国の営業キロ) ※8:《四国》上記資料、 全国における「産業大分類別(15分類)の従業者数 当たりのエネルギー消費原単位※3」に、三豊市にお ける各々の「就業者数※4」と排出係数を乗じてCO2 排出量を算定する。 《三豊市》地図からのス ケールアップ等 産業部門(製造業以外)と同 データ。 【計算式】 (全国のエネルギー消費原単位)×(三豊市の就業者 数)×(排出係数) 四国における当該燃料の「1世帯当たりの年間購 入量(総世帯)※9」を「1世帯当たりの年間平均購入 価格(二人以上の世帯)」で除して得られる「1世帯 当たりの年間平均使用量」に、三豊市における「世 帯数※10」と排出係数を乗じてCO2排出量を算定す る。 【計算式】 (四国の1世帯当たりの年間購入量)÷(四国の1世帯 当たりの年間平均価格)×(三豊市の世帯数)×(排出 係数) 19 ※9:「家計調査年報(家計収 支編)」(総務省 統計局) ※10:「三豊市住民基本台帳」 2) 排出量推移の推計(過去推計)及び将来推計 本市における過去及び将来の温室効果ガス排出量推移は、部門毎の排出量増減への影響 因子として、現況排出量の算定にも用いた以下に示す指標のもとに推計しました。 表 8 ガス種 排出量推移及び将来推計指標 分類 産業 運輸 CO2 民生 廃棄物 推計指標 非製造業 就業者数 (国勢調査) 製造業 製造品出荷額等 (工業統計調査) 自動車 車種別車両登録台数 (香川県統計年鑑) 鉄道 人口 (国勢調査) 業務 就業者数 (工業統計調査) 家庭 世帯数 (国勢調査) 一般廃棄物 排出量推移 (一般廃棄物焼却量) 産業廃棄物 排出量推移 (日本の温室効果ガス排出量データ) CH4 燃料の燃焼、工業プロセス、 農業、廃棄物 N2O 燃料の燃焼、工業プロセス、 溶剤等、農業、廃棄物 HFCs 冷媒 排出量推移 (日本の温室効果ガス排出量データ) 推計方法 排出量推移(過去推計)及び将来推計は、現況排出量を起点とし、表 8 に示す推計指 標の変化に比例するものとし、排出量推移(過去推計)は推計指標の観測値、将来推計 は推計指標の観測値から予測した推計値を基に算定します。 なお、将来推計は、エネルギー効率や温室効果ガス排出原単位の変動の影響を除外し、 活動量の変化のみを考慮した現状趨勢ケースでの算定を前提とします。 将来推計の対象年 2013~2030年度 将来推計の対象年は、ベースデータの年数(23年間:1990~2012年度)および実 行計画の目標年度(中期目標:2030年度)などを勘案し、2013~2030年度までの18 年間とします。 20 (3) 温室効果ガス排出量算定結果 表 9 三豊市の温室果ガス排出量 ガス種 1) 現況推計 部門 非製造業 製造業 自動車 運輸部門 鉄道 民生業務部門 民生家庭部門 産業部門 本市における現況年(2012年度)の 温室効果ガス排出量は、728,320 t-CO2 と推計されました。 CO2 廃棄物 現況年排出量:728,320 t-CO2 CO2:662,332 t-CO2 (90.9%) 一般廃棄物 産業廃棄物 小計 CH4 N2O HFCs CH4:30,151 t-CO2 (4.1%) N2O:24,109 t-CO2 (3.3%) 合計 HFCs:11,728 t-CO2 (1.6%) 排出量 構成比 (%) (t-CO 2) 45,669 6.3% 269,631 37.0% 170,586 23.4% 1,717 0.2% 62,891 8.6% 106,074 14.6% 1,933 0.3% 3,831 0.5% 662,332 90.9% 30,151 4.1% 24,109 3.3% 11,728 1.6% 728,320 100.0% ※四捨五入の関係で端数が合わないことがあります また、部門別の内訳では、産業部門が 全体の43.3 %、運輸部門が23.7 %、民生 業 務 部 門 が 8.6 % 、 民 生 家 庭 部 門 が 14.6%、廃棄物部門が0.8 %となってい ます。 部門別排出構成 産業部門:43.3% 運輸部門:23.7% 民生業務部門:8.6% 民生家庭部門:14.6% 廃棄物部門:0.8% その他:9.0% 図 5 三豊市の温室果ガス排出構成 ※国の排出構成:日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2014年4月版) ※県の排出構成:香川県Webサイト(2011年度実績) 図 6 部門別排出構成の国・県との比較 21 本市の温室効果ガス排出特性として、部門別排出構成を国及び県と比較した場合、本市 には以下の様な特徴が見られます。 本市は産業部門の構成比が国・県を10ポイント以上上回る 民生業務部門は、産業部門とは対照的に国・県を9ポイント以上下回る 運輸部門は国の構成比を7ポイント上回り、地域の平均としての県との比較でも1ポイント上回っ ている 民生家庭部門は国の構成比に近いが、県との比較では4ポイント低い また、部門間の排出特性では、本市は産業 部門と運輸部門の比率が県よりも国の特性に 表 10 部門間の排出量比 部門間の排出量比 三豊市 香川県 国 近く、また民生部門では、民生業務部門の排 産業 / 運輸 1.83 1.42 1.84 出量が民生家庭部門の約60%と小さく、国・ 民生業務 / 民生家庭 0.59 0.99 1.34 県とは異なる特性を示しています。 2) 将来推計 温室効果ガス排出量の将来推計結果を、現況推計および排出量推移の推計(過去推計) と併せて図 7 および表 11 に示します。 基準年 図 7 現況年 短期目標年 中期目標年 温室効果ガス排出量推計結果 現状趨勢ケースにより求めた実行計画目標年における温室効果ガス排出量は、短期目標 年(2020年度)で717,067 t-CO2(基準年比▲4.1%)、中期目標年(2030年度)で702,296 t-CO2(基準年比▲6.1%)となり、今後本市の排出量は減少傾向に転じることが予測され ました。 22 表 11 基準年 (2005年度) 分類 温室効果ガス排出量推計結果 現況年 (2012年度) 排出量 排出量 [t-CO2] [t-CO2] 短期目標年 (2020年度) 対基準年 増減率 [%] 排出量 [t-CO2] 中期目標年 (2030年度) 対基準年 増減率 [%] 排出量 [t-CO2] 対基準年 増減率 [%] 温室効果ガス 747,692 728,320 -2.6 717,067 -4.1 702,296 -6.1 CO2 681,859 662,332 -2.9 652,001 -4.4 637,012 -6.6 産業 運輸 民生 非製造業 60,744 45,669 -24.8 37,093 -38.9 28,600 -52.9 製造業 266,238 269,631 1.3 271,254 1.9 272,782 2.5 自動車 176,522 170,586 -3.4 166,757 -5.5 160,970 -8.8 鉄道 1,784 1,717 -3.8 1,553 -12.9 1,380 -22.6 業務 62,500 62,891 0.6 63,515 1.6 64,106 2.6 家庭 105,340 106,074 0.7 106,335 0.9 103,995 -1.3 一般廃棄物 3,962 1,933 -51.2 1,784 -55.0 1,614 -59.3 産業廃棄物 4,769 3,831 -19.7 3,710 -22.2 3,565 -25.2 CH4 34,473 30,151 -12.5 26,528 -23.0 22,606 -34.4 N2O 27,089 24,109 -11.0 21,044 -22.3 17,754 -34.5 4,271 11,728 174.6 17,494 309.6 24,924 483.6 廃棄物 HFCs また、部門ごとの排出傾向では、産業部門・製造業および民生業務部門で中期目標年(2030 年度)までに2.5~2.6%の増加が見込まれる他は、減少傾向が予測されました。 なお、エアコンや冷蔵庫の冷媒ガスとして使用されるHFCsは、オゾン層保護の目的で代 替フロンとして急速に製造・使用量が増加した経緯から、過年度データに基づく将来推計 では増加傾向を示すものの、温室効果ガスとして今後の法規制や自然冷媒への切り替えな どにより定性的には減少に転じることが予測されています。 23 4 温室効果ガス排出量の削減目標 (1) 削減目標設定の前提条件 1) 削減ポテンシャル 削減目標の設定に当たり、本市の温室効果ガス排出特性や産業構造、市民生活等を勘案 しつつ、現在の地球温暖化対策技術の動向等から見て実現可能な対策を野心的に実施した 場合に見込まれる、現況年排出量を基準とした削減率を「削減ポテンシャル(潜在的な削 減可能性量) 」(図 8 参照)として算出しました。 次に、現状趨勢ケースによる目標年排出量から、削減ポテンシャル分低減された目標年 の排出レベルを考慮した「対策ケース」による温室効果ガス将来予測を行い、我が国の温 室効果ガス削減に係る長期目標(2050年度の温室効果ガス排出量を1990年度比で80%削減) を達成し得るか否かの判断の基に、実行計画の削減目標を設定します。 なお、削減ポテンシャルは、削減目標設定の目安として各部門での代表的な施策を実施 した場合に予測される温室効果ガス削減量を算定するものであり、実行計画の目標達成の ための市の施策を削減ポテンシャル検討結果より直接引き出するものではありません。 ① 現況年排出量 a% : 削減ポテンシャル ※:現況年排出量を基準として施策実施 により予測される目標年の削減率 目標年 ② 現況年排出量 現状趨勢ケースによる 予測排出量推移 Y : 現状趨勢により予測した 目標年の排出量 対策ケースによる 予測排出量推移 Y×(100-a%) 施策実施により低減された目標年 の排出量 目標年 図 8 削減ポテンシャルによる目標年の排出レベル算定の考え方 2) 削減ポテンシャル算定の対象年 削減ポテンシャルは、現況年からの施策実施に伴う温室効果ガス削減率として、実行計 画目標年での値を算定します。 24 削減ポテンシャル算定の対象年 短期目標年:2020年度(平成32年度) 中期目標年:2030年度(平成42年度) 3) 削減ポテンシャル検討項目 市の温室効果ガス削減ポテンシャルは、表 12 の内容について考慮しました。 表 12 削減ポテンシャルの検討項目 分 類 概 要 産業部門 (製造業) 省エネ法努力目標の遵守 製造業における省エネ改修や設備・機器の 運用改善など総合的な取組によるエネルギ ー使用原単位の改善目標(年平均1%改 善:努力目標)の遵守 運輸部門 低公害車への買い替え 自動車の燃費性能向上 民生業務部門 省エネ機器の導入 包括的な省エネルギー技術の導入 民生家庭部門 省エネ機器の導入 省エネ家電等の導入に伴う省エネルギー化 の推進 産業部門(製造業) 「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(通称「省エネ法」)におけるエネルギ ー使用原単位の削減に関する努力目標(年平均1%削減)が遵守されるとの仮定の下、製 造業におけるエネルギー削減量として削減ポテンシャルを推計しました。 運輸部門 低公害車(低燃費車かつ低排出ガス車)への買い替えによる省エネ効果として削減ポ テンシャルを推計しました。 民生業務部門 空調、照明などの省エネルギー機器導入に加え、BEMS※1やデマンド監視装置※2など 各機器の出力調整などを行うエネルギーマネジメント機器も含めた包括的な省エネルギ ー技術の導入により期待される省エネ効果として削減ポテンシャルを推計しました。 ※1:BEMS(Building Energy Management System) 建物内に設置した温度センサー、照度センサー等の各種センサーからの情報を基に、空調 設備、照明設備等の機器を最適制御するビルエネルギー管理システム。 ※2:デマンド監視装置 最大需要電力の発生を未然に警告することで電気の基本料金の増大を防止するシステム。 需要電力の上昇を抑えることで、節電にもつながる。 25 民生家庭部門 省エネルギー行動の推進 市民への意向調査における省エネルギー行動への現在の取組状況を基に、今後の 取組強化により期待されるエネルギー削減量として削減ポテンシャルを推計しまし た。 省エネ機器への買い替えの促進 エアコン、冷蔵庫などの家電製品や給湯器など、エネルギー消費機器を高効率型 の製品に買い替えた場合の省エネ効果として削減ポテンシャルを推計しました。 4) 削減ポテンシャル算定結果 市域内の活動・取組により予測される本市の実行計画目標年における削減ポテンシャル を、表 13 にまとめます。 表 13 三豊市の削減ポテンシャル 削減ポテンシャル 対基準年 部門 産業部門 短期目標年 2020年度 対現況年 中期目標年 2030年度 短期目標年 2020年度 中期目標年 2030年度 非製造業 製造業 6.5% 15.5% 7.7% 16.5% 自動車 19.0% 30.5% 16.2% 28.1% 民生業務部門 13.5% 34.5% 14.0% 34.9% 民生家庭部門 16.4% 43.0% 17.0% 43.4% 運輸部門 鉄道 (2) 温室効果ガス削減目標 削減ポテンシャルを基に推計した、対策ケースでの目標年における温室効果ガス排出量は、 実行計画の基準年に対して以下の様な削減率となります。 対策ケースによる目標年の排出レベル 短期目標年(2020年度):642,196 t-CO2(基準年比 ▲14.1%) 中期目標年(2030年度):544,547 t-CO2(基準年比 ▲27.2%) 表 14 削減ポテンシャルに基づく目標年の排出レベル 推計値 排出量(t-CO2) 短期目標年(2020年度) 中期目標年(2030年度) 現状趨勢 ケース 現状趨勢 ケース 基準年 現況年 747,692 728,320 717,067 642,196 702,296 544,547 2.6% 4.1% 14.1% 6.1% 27.2% 1.5% 11.8% 3.6% 25.2% 対基準年削減率 ― 対現況年削減率 ― ― 26 対策ケース 対策ケース なお、削減ポテンシャルに基づく本市の対策ケースによる今後の排出量推移(予測)では、 我が国の長期目標(2050年度の温室効果ガス排出量を1990年度比で80%削減)相当での2050 年度の温室効果ガス排出レベルにほぼ等しくなることから、上記の目標年における排出レベ ルは実行計画の目標として適切であると考えられます。 (図 9 参照) 900,000 現状趨勢ケースによる排出量推計 対策ケースによる排出量推移 800,000 温室効果ガス排出量(t-CO2) 長期目標 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 基準年 現況年 2012 短期目標年 中期目標年 長期 目標年 0 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 年号 図 9 対策ケースによる排出量推移(予測)と長期目標 従って、本市実行計画における短期目標及び中期目標を以下のように設定します。 三豊市の温室効果ガス削減目標 短期目標 : 2020年度までに基準年比 14%削減 中期目標 : 2030年度までに基準年比 27%削減 27 5 温室効果ガス削減に向けた施策 (1) 実行計画の基本方針 本市では、「三豊市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の運用により、地球温暖化対 策と併せて低炭素な循環型社会構築による暮らしやすい街づくりを目指すものとして、上位 計画に当たる「三豊市環境基本計画」における望ましい環境像である「水と緑を大切にする 豊かな田園都市 みとよ」を基本目標とします。 また、基本目標のもとに3つの基本施策を設定することで、実行計画の方向性を明確なも のとします。 基本目標 水と緑を大切にする豊かな田園都市 みとよ 基本施策 ● 省エネルギー化の推進 ● 再生可能エネルギーの導入促進 ● 低炭素な循環型まちづくりの推進 1) 基本施策 1 《省エネルギー化の推進》 我が国が排出する温室効果ガスの約90%をエネルギー起源CO2が占めていることから、 省エネルギー化の推進こそが現在最も実効性が高い地球温暖化対策となります。 本市では、省エネルギー化の推進に向けて、以下の施策を推進します。 ① 三豊市エコオフィス計画の推進 本市では、行政の事務及び事業を対象とした地球温暖化対策に係る計画として、平成 25年度に「第2次三豊市エコオフィス計画」 (以下「エコオフィス計画」という。 )を策定 し、三豊市役所を始めとする公共施設の温室効果ガス排出状況を把握するとともに、施 設や設備・機器の運用改善などソフト的な取組による省エネルギー化を主体として温室 効果ガス排出量の削減を推進しています。 28 コラム 節水による地球温暖化対策 地方公共団体の行政事務事業では、一般的に上水道、 下水などの汚水処理、ごみ処理など市民サービス事業が主 な排出源であり、本市においては上水道関連施設より排出 される温室効果ガスが最も高くなっていることから、節水によ る浄水場の水処理量削減も省エネルギー化に向けた重要 なテーマとなります。 本市では、給配水管の補修による漏水の削減を図る他、 市民・事業者への節水の呼びかけによる市民サービス事業 での地球温暖化対策を推進します。 ② 家庭における省エネルギー化の推進 家庭や事業所を問わず、地球温暖化対策への取組の最小単位は一人ひとりの市民であ り、市民に向けた省エネルギー化の意識啓発により、家庭を始め事業所での取組に波及 させることが重要となります。 家庭における省エネルギー化では、 「省エネ行動の実践」及び「省エネ機器への買い替 え」が主な手法となることから、先の手法を含む家庭での地球温暖化対策について市の Webサイト、広報誌など多様な媒体による情報配信を行います。 省エネ行動の効果に関する情報配信 家庭において有効な省エネ行動や、省エネ行動を行った際の取組毎の省エネ効果、CO2 削減効果の目安などの情報配信を行います。 省エネ機器への買い替え効果に関する情報配信 家電製品や給湯器などの買い替えの際に、省エネルギー性の高い製品への買い替えに よる省エネ効果、CO2削減効果の目安などの情報配信を行います。 ③ 事業所における省エネルギー化の推進 事業所においては、温対法の特定排出者や省エネ法の特定事業者としての規制が適用 されない、中小規模の事業者に対する省エネルギー化への意識啓発が重要となります。 事業所の省エネルギー化においても、 「省エネ行動の実践」及び「高効率機器への更新」 が主な手法となりますが、事業収益を確保しつつ省エネルギー化を推進することが求め られる一方で、自らのエネルギー使用量やCO2排出状況、ひいては光熱水費をも把握し ていない事業所が全体の4分の1以上にも及ぶため、エネルギー使用状況の「見える化」 など省エネルギー化推進に際しての基礎情報の提供による事業者支援を行います。 省エネ行動に関する情報配信 事業活動において有効な省エネ行動や、省エネ行動を行った際の取組毎の省エネ効果、 CO2削減効果の目安などの情報配信を行います。 29 高効率機器への更新に関する情報配信 工場や事務所でのエネルギー消費機器の更新時、機器や方式の選定にあたり配慮する 内容についての情報配信を行います。 省エネルギー化推進に際しての基礎情報の提供 デマンド監視装置によるエネルギー使用状況の「見える化」 、一般財団法人省エネルギ ーセンターによる「無料省エネ診断」や「節電診断」 、事業所の省エネ改修に利活用可能 な補助制度など、省エネルギー化に際しての基礎情報を事業者に配信することで、事業 所の省エネルギー化を支援します。 デマンドとは、30分単位での最大需要電力(単位:kW)のことで あり、一般電気事業者と高圧電力契約などを締結している場合、 電気の基本料金は当月を含む過去1年間の最大デマンド値から計 算されています。 デマンド監視装置は、最大需要電力の発生を未然に警告するこ とで基本料金の増大を防止するシステムで、警報のみの簡易的な システムから、空調や照明の出力を自動でコントロールするシステ ム、需要電力をリアルタイムでディスプレイなどに表示するシステム など、様々なタイプが揃っています。 デマンド監視装置は、リースによる導入も可能であることから、装 置導入による省エネ効果でリース料金が相殺され、事実上投資無 しに導入できる場合もあります。 30 2) 基本施策 2 《再生可能エネルギー化の導入促進》 再生可能エネルギーは、エネルギーの使用に伴う温室効果ガスの大気中濃度上昇への影 響が小さく、また化石燃料のように枯渇すること無く、自然界や私たちの社会生活の中で 循環・再生利用が可能なことから、化石燃料由来のエネルギーから再生可能エネルギーへ の転換により、CO2を始めとする温室効果ガスの排出が抑制されます。 また、東日本大震災以降、有事の際や災害避難場所でのエネルギー供給の重要性が再認 識されるとともに、ライフラインへの再生可能エネルギーの利活用が推進されるなど、再 生可能エネルギーは地球温暖化対策とは異なる観点からも導入が期待されています。 本市でも、地球温暖化対策はもとより、災害に強いまちづくりを目指す上で、公共施設 を始め、一般家庭や事業所など市内各所への再生可能エネルギーの導入・波及を推進しま す。 ① 太陽光エネルギー 太陽光発電やソーラーシステム(太陽熱温水器等)など、太陽光エネルギーは最も身 近な再生可能エネルギーと言えます。加えて、年間を通じて天候や湿度が安定し、降水 量が少ない瀬戸内海式気候に属する本市は太陽光エネルギーの適地であり、こうした市 の特性から太陽光エネルギーの更なる普及拡大が望まれます。 本市では、平成18年度の「三豊市新エネルギービジョン」の策定を機に、 「豊かな太陽 エネルギーと緑あふれる田園都市の特性を活かし、資源循環型モデル都市「三豊」を目 指す」との基本理念のもとに、市内へのメガワットソーラー発電所設置の他、住宅用太 陽光発電システム設置費補助金の創設など太陽光発電の導入を促進しており、今後も、 基本理念のもとに太陽光発電の普及拡大を目指します。 本市内での太陽光発電設置実績 詫間町旧ゴルフ場跡地(10MW):平成27年8月稼働予定 詫間町の旧ゴルフ場跡地(約15 ha)に県下最大級の太陽光発電所が平成27.年8月 の稼働開始を目指して現在建設されています。本事業は、地元企業や金融機関など の共同出資による合同会社により行われています。 図 10 10MW太陽光発電所の完成イメージ 31 「農村ひろば用地」(1MW):平成25年7月稼働開始 三野町の農村ひろば用地(約1.6 ha)では、1 MWの太陽光発電所が平成25年7月 に稼働を開始しました。本事業は、本市が所有する農村ひろば用地を民間の事業者 に貸付(20年間)を行い、同事業者が太陽光発電所を設置運営するものです。 図 11 1MW太陽光発電所(三野町:農村ひろば用地) ② バイオマスエネルギー バイオマスエネルギーは、動植物などの有機化合物から燃料や熱エネルギーを得る技 術であり、間伐材などの木質系、家畜糞尿などの畜産系、食品残さなどの生活系が代表 的なバイオマスに挙げられます。 本市では、平成25年度に策定したバイオマス産業都市構想に基づき、竹資源や食品残 さなど未利用バイオマスの有効活用による新産業を基軸として、バイオマス利用率の拡 大を目指しています。 また、香川県下では林業が低迷する中、一般家庭や店舗に薪ストーブや薪窯の導入が 進み、燃料の薪の約半分は県内の森林から伐り出された木材が使用されると予測される など、住民レベルでのバイオマスエネルギーの利用率の高さが伺えます。 本市は、先述のようなバイオマスを巡る特性を活かし、バイオマス産業の振興と市民 レベルでのバイオマスエネルギーの普及拡大を目指します。 3) 基本施策 3 《低炭素な循環型まちづくりの推進》 地域の有限な資源やエネルギーを無駄なく有効に利活用するとともに、再生(リユース・ リサイクル)により循環利用する仕組みが形成された循環型社会は、物流の省エネルギー 化やごみ減量化などによる低炭素化の実現の他、資源の創出、製品の製造、再生などに関 わる地域産業の振興にもつながります。 本市では、太陽光発電の普及拡大やバイオマスエネルギーの創出などを通じて地域産業 の振興と地球温暖化対策を図ることで、低炭素な循環型まちづくりを推進します。 また、家庭系一般廃棄物(燃やせるごみ)をトンネルコンポスト施設により、発酵熱を 32 利用して固形燃料原料を製造し、化石燃料に代替させることで、焼却処理に伴う温室効果 ガスの排出を削減し、低炭素化を図ります。 (2) 市民・事業者の取組 地球温暖化対策においては、私たち自身が暮らしや事業活動などを通じて温室効果ガスを 排出していることを自覚し、可能な範囲で省エネルギー行動や再生可能エネルギー導入、ご み減量化など直接的な手法により温室効果ガスの排出を抑制するほか、地産地消化による地 域振興と循環型社会の構築を目指すなど間接的な取組による地球温暖化防止を推進すること も重要です。 市民 自らが温室効果ガス排出者である認識 地球温暖化に関する正しい知識の習得 自らのライフスタイルを再確認・見直し 事業者 家庭・職場などあらゆる場所で地球温暖 化対策に配慮 エネルギー使用状況の記録・分析等によ る省エネルギー化(省コスト化)の推進 環境保全に配慮した事業活動へのシフト 継続的・計画的な環境保全への取組実 現に向けた環境マネジメントシステム導入 三豊市 市民・事業者に対する率先行動の実施 地球温暖化対策に向けた仕組みづくりなど、市民・ 事業者支援および低炭素社会への誘導 安全で環境にやさしいまちづくり実現のための施策の 実施 図 12 地球温暖化対策における各主体の役割 1) 市民の取組 家庭、事業所を問わず、地球温暖化対策への取組最小単位として、一人ひとりが地球温 暖化防止を意識して生活することが求められます。 ① 省エネルギー行動の推進 市民の地球温暖化対策としては、以下に示す省エネルギー行動や効果を把握・実践し、 取組を家庭に定着させることが求められます。 また、家庭での取組の定着は、学校や職場など家庭外での省エネルギー行動に波及す ることが期待されます。 33 a.冷蔵庫 ●ものを詰め込み過ぎない 庫内の食品や容器の間隔を適切に空けることで、冷気が流れやすくなり、効 率良くものが冷やせます。 CO2 削減効果 : 31 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,162 円) ●設定をこまめに調節する 室温の下がる冬季は設定を「強」⇒「中」または「弱」にするなど、季節や室温 の変化に合わせて庫内の設定を変えましょう。 CO2 削減効果 : 43 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,636 円) ●本体の上部、左右、背面に適切な間隔を開ける 冷蔵庫は、本体上部や側面から熱を逃がすことで庫内が冷やせます。冷蔵 庫の上にはものを置かず、側面と壁に適度な間隔を空けましょう。 CO2 削減効果 : 32 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,195 円) b.照明 ●人のいない部屋の照明は消灯 部屋を出る際の消灯を習慣付けましょう。特に、洗面所やトイレなどの使用後 の消し忘れに注意しましょう。 CO2 削減効果 : 3.1 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 116 円) ●白熱電球から LED ランプに交換 LED ランプの特徴は、低消費電力であることに加え、ランプ寿命が白熱電球 の約 40 倍であること、蛍光灯に比べて点け始めから明るいことなどが挙げら れます。 CO2 削減効果 : 63 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 2,385 円) c.エアコン ●冷房は室温 28℃、暖房は室温 20℃を目安に 冷やし過ぎ、暖め過ぎは体調にもよくありません。冷暖房の効きを少し弱めて 着衣での調節を心がけましょう。 CO2 削減効果 : 58 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 2,208 円) ●エアコンは必要なときだけ使用 自然通風、カーテン・ブラインド、扇風機、グリーンカーテンなどを併用し、エア コンの使用時間を抑えましょう。 CO2 削減効果 : 42 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,577 円) ●フィルターは月に 1~2 回清掃 フィルターにうっすら埃がたまっただけでも空気の通りが悪くなり、エアコンの負 荷が上がります。 CO2 削減効果 : 22 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 847 円) 34 d.テレビ ●画面の明るさを調整 標準状態の画面の輝度は明るめに設定されています。日差しなどが直接画 面に映り込まないようカーテン・ブラインドで調節し、見易い範囲で輝度を抑え ましょう。 CO2 削減効果 : 19 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 718 円) ●見ない時は電源を切る 食事をしながら、家事をしながら、などの”ながら見”をやめましょう。 CO2 削減効果 : 12 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 445 円) e.その他家電製品 ●電気こたつの温度設定を低めに エアコンと同じく、暖め過ぎないよう設定をこまめに調節しましょう。また、こた つ布団に上掛け布団を併せたり、断熱性の良いマットを敷くことで、熱が逃げ にくくなります。 CO2 削減効果 : 34 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,297 円) ●電子レンジで野菜の下ごしらえ 電子レンジでの調理は、短時間で中まで熱が通り易く、カレーやシチューなど 煮込み料理の調理時間短縮にもなります。 CO2 削減効果 : 14 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 3,547 円) ●炊飯器の保温は 4 時間を目安 保温時間が長くなると、変色や炊きたての風味が失われるだけでなく、電子レ ンジで温め直すほうが省エネになります。冷凍保存して食べる分だけ解凍・加 熱することで、ご飯も美味しくいただけます。 CO2 削減効果 : 33 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 1,257 円) ●温水洗浄便座のフタを閉める フタを閉めることで温めた便座の熱が逃げにくくなります。また、節電モード(使 用時間帯や状況を学習し、生活パターンに応じて節電する機能)がある場合 は、節電モードを有効にしましょう。 CO2 削減効果 : 24 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 925 円) ●使わない家電製品のプラグをコンセントから抜く エアコン、テレビなどの家電製品は、リモコンの信号受信や時計・タイマー機 能保持のため、電源 OFF の状態でも一定の電力(待機電力)を消費していま す。長時間使用しな場合、コンセントからプラグを抜いたりスイッチ付き電源タ ップなどで待機電力の消費を抑えましょう。 CO2 削減効果 : 160 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 6,042 円) f.給湯器 ●給湯温度を低めに 洗い物などでの出湯温度を少しぬるめに設定しましょう。また、冬季以外は極 力給湯器の使用を控えましょう。 CO2 削減効果 : 23 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 3,816 円) 35 ●シャワーを出しっぱなしにしない 洗髪などの際、シャワーを出したままにするのは避けましょう。節水も省エネや 温室効果ガスの削減(浄水場の水処理量低減など)につながります。 CO2 削減効果 : 34 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 5,541 円) g.自動車 ●“ふんわりアクセルeスタート”を心がける 発進時には、ブレーキからアクセルに踏み替えるのを一呼吸遅らせ、その後 アクセルを優しく踏み込みましょう。(発進後 5 秒で時速 20km が目安です) CO2 削減効果 : 194 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 13,229 円) ●アイドリングストップの実施 5 秒以上の停車では、エンジンを停止したほうがガソリンの消費が少なくなりま す。信号待ちや踏切では、安全に配慮した上でアイドリングストップに努めまし ょう。 CO2 削減効果 : 40 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 2,743 円) ●車の運転を止め、徒歩や自転車、公共交通機関に切り替え 移動に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量は、自家用車からバスへの切り替え により約 70%、鉄道への切り替えでは約 90%削減されます。 CO2 削減効果 : 140 kg-CO2/年 (年間削減金額 : 9,552 円) h.その他の温室効果ガス削減への取組 ●省エネ機器への買い替え 家電製品や自家用車の買い替え時は、エネルギー効率の高い省エネ機器 に買い替えることで、ライフスタイルを変えること無く省エネルギー化が可能で す。家電製品であれば省エネラベル、自家用車であれば低燃費基準及び低 排出ガス基準適合車を目安に買い替えを ●節水の徹底 水道水の供給には、水の浄化やポンプによる給配水などに多大な電力を必 要とします。また、使用後の排水や汚水処理にも関わるなど、夏季の水不足 対策としてだけでなく、省エネや地球温暖化対策のためにも節水への心掛け が望まれます。 ●地産地消の推進 地元で生産された農産物や工業製品などを優先的に購入・消費する地産地 消への取組は、物品の輸送に伴うエネルギー消費や温室効果ガスの排出が 抑制される他、地域の産業振興にもつながります。 ●グリーンカーテンの推進 グリーンケーテンは、ヘチマやアサガオなどつる性の植物を日当たりの良い南 側の窓を覆うように植栽することで、夏季の日中の室温上昇を緩和し、空調 負荷の軽減を図る取組です。安価で手軽に取り組みできる他、植栽による景 観の向上にもつながります。 36 ② 再生可能エネルギーの導入 本市では、地域の自然特性に適した身近な再生可能エネルギーとして、また、本市の 再生可能エネルギー導入の基本理念として、一般家庭への太陽光発電、ソーラーシステ ムなど太陽エネルギーの普及促進を図ります。 また、県下の住民レベルで普及しつつある薪ストーブやペレットストーブなどバイオ マスエネルギーの更なる導入拡大が期待されます。 太陽光発電の導入 太陽光発電は屋根の形状や面積に応じたシステムの構築が可能です。 蓄電池と一体型のシステムも設置可能で、停電時の安全性がより高くなります。 新築・増改築と併せた太陽光発電の設置を検討しましょう。 ソーラーシステムの導入 ソーラーシステムは再生可能エネルギーの中でもエネルギー効率が高く(40%~)、比較的安 価に設置が可能です。 風呂の湯沸かしのみのシンプルなシステムから、給湯・暖房システムとの組合せなど高度な利 用も可能です。 新築・増改築と併せたソーラーシステムの設置を検討しましょう。 年間削減金額:112,148円 CO2削減量:2,962 kg-CO2 年間削減金額:75,835円 CO2削減量:463 kg-CO2 太陽光発電システムの導入効果は、多結晶シリコン系 4.0 kW システム、真南、設置角度 30°の条件で、アメダス多度津観測所での日射量を基に太陽光発電シミュレータ 2013(資 源エネルギー庁)により算定しています。 ソーラーシステムの導入効果は、一般社団法人ソーラーシステム振興協会による集熱面積 3.0 m2 の自然循環型太陽熱温水器ム導入時の LP ガス削減効果を基に算定しています。 薪ストーブ・ペレットストーブの導入 暖かさや雰囲気の良さ、森林資源の有効活用などを理由に、一般家庭への薪ストーブの設置 が近年伸びつつあります。 燃料となる薪も地域の雑木を原料とするなど、市民レベルでのバイオマスエネルギーの利用が 進んでいます。 新築・増改築を機に薪ストーブの設置を検討しましょう。 木質ペレット(木くずを粉砕・乾燥・圧縮成形した木質燃料)を燃料とするペレットストーブは、取 り扱いが容易で、薪ストーブと似た雰囲気が特徴です。 37 薪ストーブ ペレットストーブ ③ 循環型社会構築に向けた取組 最も身近な循環型社会構築への取組は、分別・リサイクルの徹底によるごみの減量化 が挙げられます。ごみの焼却処理や埋立処理には二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、 一酸化二窒素(N2O)など温室効果ガスの排出を伴うため、地球温暖化対策への取組と してごみ減量化を含む循環型社会の構築は不可欠や要素となります。 購入の必要性を再検討 不要なものや余計なものを購入しないことが、ごみ減量への第一歩です。本当に必要 な物を最低限購入することを心掛けましょう。 ごみの分別・リサイクルの推進 ごみの中には再資源化が可能なペットボトルや紙類なども含まれ、再利用されること 無く焼却または埋立処理されています。分別・リサイクルを徹底し、資源の有効活用を 図りましょう。 また、フリーマケットに参加するなど、楽しくリサイクルを推進しましょう。 リサイクル品の購入 再資源化されたものを原料に製造された製品や商品を購入・利用して、初めてリサイ クル(循環利用)が成り立ちます。需要や市場が拡大すればリサイクル品の価格低下も 期待されるため、優先的にリサイクル品を購入しましょう。 生ごみの堆肥化 家庭用生ごみ処理機やコンポストを利用した生ごみの堆肥化に取り組みましょう。水 分の多い生ごみは燃え難く、焼却処理に多大なエネルギーを消費するため、減量化が望 まれます。 家庭系一般廃棄物(燃やせるごみ)の脱焼却 家庭系一般廃棄物(燃やせるごみ)は、焼却処理を行わず、トンネルコンポスト施設 によって、乾燥処理を行い固形燃料原料として利用することにより、温室効果ガスの発 生を削減し、さらに、固形燃料原料を化石燃料と代替することで、低炭素な循環型まち づくりに寄与します。 38 トンネルコンポスト施設とは、家庭系一般廃棄物(燃やせるごみ)を好気性状態で発酵処理を行 い、その時に発生する発酵熱を利用して家庭系一般廃棄物(燃やせるごみ)を乾燥させ、固形燃料 原料に加工する施設です。乾燥させるための熱源を自ら発生する発酵時の熱を使用し、化石燃料を 使用しないため、省エネルギーな固形燃料原料製造施設です。 39 2) 事業者の取組 事業者の地球温暖化対策としては、事務所や職場などでの省エネルギー行動の実践はも とより、事業活動の一環として地球温暖化対策を位置づけた上で、計画性や合理性を持ち 合わせた省エネルギー対策等を実施することが重要となります。 ① エネルギー使用状況の把握 地球温暖化対策として事業所の省エネルギー化を検討する際、現状のエネルギー使用 状況を正確に把握しているか否かが鍵となります。電気、燃料などのエネルギー種別の 使用量を始め、空調、照明、動力機器などエネルギー消費機器毎のエネルギー使用量を 把握・分析することで、省エネルギー化の方向性や対策がより明確になります。 下図に示す事務所・ビルでの機器別エネルギー使用構成の分析例によれば、空調用エネルギー が43.1%(熱源:31.1%、熱搬送12.0%)と最も高く、以下照明(21.3%)、コンセント(主にOA機器: 21.1%)、動力機器(換気、給排水等:8.6%)と続いています。こうした状況下で省エネルギー化を実 施する場合、空調機器や照明機器を対象とすることで、エネルギー削減量や光熱費の削減量として 高い効果が得られます。 なお、一般財団法人 省エネルギーセンターなどでは、事業所の省エネや節電の推進を目的とし て専門の診断員による現地調査、効率的な機器の運用方法や改修方法に関する提案など、総合的 な合理化案へのアドバイスが受けられる無料の「省エネ診断」サービスを行っています。 問い合わせ先:一般財団法人 省エネルギーセンター 診断指導部 省エネ診断事業局 Tel:03-5439-9732 Fax:03-5439-9738 40 ② ソフト的な省エネルギー化の推進 設備・機器の運用改善などのソフト的な省エネルギー化は、低コストで即効性があり、 取組の初期段階で有効な手法です。 a.空調 ●冷房は室温 28℃、暖房は室温 20℃ 室内温度を確認しつつ、空調の設定を調節しましょう。室内温度は、空調のリ モコンに表示で確認できる機種もありますが、それ以外の場合にはシールタイ プの液晶温度計などを活用しましょう。 ●クールビズ・ウォームビズの実施 体感温度には個人差があるため、全ての職員が快適と感じる執務環境を整 えることは容易ではありません。室内温度を一定に保ち、あとはクールビズ・ウ ォームビズなど着衣で調節しましょう。また、扇風機や送風機で室内空気を 循環させることで足元と天井付近の温度差が解消され、より快適に過ごせま す。 b.照明 ●人のいないエリアの消灯 退室・退社する際は、他の人の所在を確認した上で、人のいないエリアを消 灯しましょう。照明のスイッチ周辺に、照明エリアとスイッチの相関図を設置す るなど、部屋ごとに工夫しましょう。 ●部分消灯やランプの間引き 照明の照度には基準(JIS z 9110)が設けられ、事務所や執務室の場合 500 lx(ルクス)以上の照度が必要です。照度を測定する機会があれば、明 るすぎるエリアの照明ランプを間引くなど、室内の照度を調節しましょう。 c.OA 機器 ●液晶モニタの輝度の低減 パソコンの液晶モニタは、標準状態では明るめに設定されているので、支障 のない範囲で輝度を下げましょう。モニタの輝度を 40%まで下げた場合、パソ コンの消費電力は約 23%低減されます。 ●低電力モードの活用 パソコンの低電力モードは、設定した時間以上操作や入力がない場合、直前 の作業状態記憶以外の全ての機能を停止することで消費電力を抑える機能 です。パソコンを始め OA 機器には一般的に搭載されているため、低電力モ ードを有効活用しましょう。 41 ③ ハード的な省エネルギー化の推進 省エネ改修や設備・機器の更新などのハード的な省エネルギー化は、一定の投資を必 要とし、導入効果や採算性の検討など事前の綿密な準備が必要な反面、持続的な高い効 果が得られる可能性があるため、長期的なビジョンのもとに取り組むことが望まれます。 a.空調 ●熱源機(エアコン)の更新 エアコンまたは空調の熱源機は、電気式と燃料式に大別され、いずれの場合 もエネルギー効率の高い機器の選定が必要です。空調の省エネルギー性能 は「成績係数(COP)」や「通年エネルギー消費効率(APF)」で示され、同数 値が高いほど省エネルギー性能が優れることになります。 ●ファン・ポンプ類のインバータ化 空調の熱搬送、給排気などに用いるポンプ・ファン類を駆動するモーター(交 流)の回転数は電源周波数に比例し、通常は一定の回転数で稼働します。 モーターの消費電力は回転数で変化するため、インバータにより回転数を抑 えることでモーターの消費電力も下がります。 b.照明 ●高効率照明への更新 事務所等で一般的に使用される直管形蛍光灯は、グロー式(FL○○)、ラピ ッドスタート式(FLR○○)、インバータ式(FHF○○)などに大別されます。グロ ー式やラピッドスタート式の場合、高効率なインバータ式に更新することで、消 費電力が約 25%、更に高効率な LED 照明に更新した場合約 50%削減されま す。 c.見える化」によるエネルギーマネジメント ●デマンド監視装置の導入 デマンド監視装置は、デマンド(最大需要電力)の発生抑制による電気料金 (業務用契約や高圧契約での基本料金)の低減を目的とした機器ですが、デ マンド発生抑止への取組が省エネルギー化にも寄与します。また、事業所の 需要電力の状況をリアルタイムに表示することも可能であり、「見える化」によ る意識啓発効果も期待されます。 ●BEMS の導入 BEMS は、建物内に設置した電力センサー、温度センサー、照度センサー等 の各種センサーからの情報を基に、空調設備、換気設備、照明設備等の機 器を制御することで、最も最適で効率的なエネルギー使用状態を自動的に 保持するシステムです。 d.包括的なエネルギーサービスの利用 ●ESCO 事業の推進 省エネ改修事業費の単純回収年限が 10 年以下に見込まれる場合、エネル ギー使用状況の計測・分析、省エネルギー化に向けた設備・機器改修及び 運用改善提案、設備・機器の保守管理、初期コストの準備、省エネルギー効 果の保証等の包括的なサービス(ESCO 事業)を検討しましょう。 42 6 計画の推進体制と進行管理 (1) 実行計画の推進体制 実行計画は、以下に示す「三豊市環境推進会議(仮称)地球温暖化対策部会」を中心とし た体制により運用を図ります。 三豊市環境推進会議(仮称) 市民・事業者・民間団体・ 地球温暖化対策部会 各種研究機関等 国・香川県 事務局 (環境衛生課) 近隣の地方公共団体等 三豊市庁内委員会 図 13 実行計画の推進体制(イメージ) 1) 三豊市環境推進会議(仮称)地球温暖化対策部会 地域が一体となった地球温暖化対策の実践を支援する組織として、 「三豊市環境推進会議 (仮称)地球温暖化対策部会」(以下「部会」という。)を設置します。部会では、市民・ 事業者・各種団体等の意見を反映させた施策の立案を図るとともに、施策の実施に至って は、部会メンバーが各主体内での調整を図るなど、行政とのパイプ役も担います。 なお、部会は、 「三豊市環境基本計画」の推進組織である「三豊市環境推進会議(仮称)」 を母体とし、地球温暖化対策に係る有識者等を交えたメンバーで構成します。 2) 庁内委員会 庁内各部局の代表者で構成する庁内委員会は、部会における審議内容を施策として実施 するための調整を図るなど、実行計画に基づく温室効果ガスの排出量削減に向けた対策・ 施策を総合的かつ効果的に推進する役割を担います。 3) 事務局 事務局は、国・県・近隣の地方公共団体との連系や整合を図りつつ、部会の運営、庁内 委員会への報告、各種連絡・調整を行います。 また、温室効果ガス排出状況、実行計画の目標達成状況、施策の実施状況などを定期的 に把握・分析することで実行計画運用の円滑化を図ります。 43 (2) 実行計画の進行管理 1) 実行計画の達成状況 温室効果ガス排出量の削減目標の達成状況を把握するため、本市の温室効果ガス排出状 況について、毎年定期的に推計を行うとともに、施策や削減目標など実行計画の達成状況 を評価しつつ、適宜必要な措置を講ずることとします。 2) 実行計画の評価方法 実行計画の実施状況などの進行管理には、環境マネジメントシステム(PDCAサイクル) による評価を行い、対策・施策の見直しや追加等を適宜行います。 図 14 環境マネジメントシステムによる実行計画の進行管理 3) 計画の見直し 本計画は、今後の国際社会の中での我が国の地球温暖化対策への関わり方、地球温暖化 をはじめとする環境問題やエネルギー資源問題、新たな科学的知見や技術革新、災害発生 時にも安心した街づくりなど、市の周辺はもとより国内外の地球温暖化対策を取り巻く状 況の変化に柔軟に対応するために、5年を目途に中間見直しを行います。 44
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