「景気対策に舵を切る安倍政権、「新3本の矢」の具体化へ期待高まる」

マーケット展望
2015.10.16
ちばぎんアセットマネジメント 調査部
景気対策に舵を切る安倍政権、
「新3本の矢」の具体化へ期待高まる
(作成者:奥村義弘)
○内閣改造では「一億総活躍担当大臣」が目玉に
10月7日に、安倍首相は内閣改造を発表した。政策のキーマンとも言える「一億総活躍担当
大臣」となった加藤大臣が注目された。ただ、安倍首相が先に掲げた「新3本の矢」について
は具体策が見えないとの声は強い。また景気の先行きに不透明感が強まる中、来年の参議院
選挙をにらんだ「景気対策」も与党側への課題となっている。
〇安倍政権の最大の功績は円安・株高
12年12月に誕生した安倍政権は、日銀の異次元金融緩和で株高・円安にトレンドを変化さ
せた。交易状況が改善し、輸出関連株の業績を押し上げる要因となった。ビザの緩和などの
規制緩和も行った。結果、訪日外客数は予想を上回るペースで増加し、「観光立国」に向け
好スタートをきった。企業業績の好調を背景に、雇用の改善→消費拡大の好循環が生じた。
コーポレートガバナンスコードの導入、スチュワードシップなど投資家と企業の対話を促進、
株主還元意識を高め、企業価値の向上を促す政策を導入した点も株高につながった。
〇世界景気減速懸念の高まりで景気対策が課題に
足元の景気は新興国経済の減速懸念が高まっており、逆風が吹いている。世界経済に敏感
な日本経済にとって、経営者や消費者心理を悪化させる要因となる。現状の国内景気は昨年
の消費税引き上げの影響が軽減されてきており、上向きトレンドに大きな変化はないと考え
る。中国リスクが指摘されるが、アジアの中間消費層の拡大などから、訪日外国人は増加ペ
ースの鈍化があっても高水準をキープしよう。インバウンド関連は息の長い投資に期待でき
よう。日銀短観などを見る限り、円安・原油安メリットは大きく企業の収益力強化につなが
っている。下期以降の企業の設備投資意欲も引き続き良好な動きをキープしている。自動車
業界では北米販売が好調で、下期は新型車の計画も多く、国内生産は増加に転じる可能性が
高い。ただ、都心部と地方の経済格差は依然大きい。経済好循環の地方への波及を考えると
手当てが必要だ。地方金融を巻き込んだ地方発のベンチャー育成が新産業創出には不可欠で
あろう。地方の観光資源の活用、地方プレミアム商品券、ふるさと納税制度の拡充などが景
気対策として考えられる。
〇対内直接投資の拡大は出遅れ気味
一方、日本経済の潜在成長力を高めるには、新産業の育成を図らなければならない。それ
には海外企業に魅力的な環境を作り、イノベーションの活性化を実現する直接投資を促進す
る必要がある。政府は13年の「日本再興戦略」で、外国企業の対内直接投資残高を20年まで
に35兆円に倍増を計画している。足元増加傾向を見せているが、14年末で23.3兆円にとどま
る。法人税率を20%台とする動きなどが具体化すれば好感されてくる可能性があろう。特に
アジアからの投資意欲が高まりつつある点には注目したい。これまでのところ、国家戦略特
区は、規制緩和が小粒で限定的な効果にとどまっているとの評価がある。規制緩和推進の動
きが広がることに期待したい。
〇TPPは構造改革の具体化に向けた好機
TPPが10月4日に大筋合意したことは、ポジティブサプライズであった。正式批准には時
間を要するが、日本の構造改革を印象付ける好機となろう。メリットが指摘されているのが、
関税引き下げで競争力の上がる自動車産業、農産物の加工に関連する食品メーカー、冷凍倉
庫など。農業では中長期の競争力強化策が求められよう。規制緩和による民間資本の活用、
農地バンクを活用した大規模化による効率化などが求められよう。これまでは短期的な補助
金策にとどまっていた状況から抜け出すことができるのか注目したい。また、農業に限らず、
非製造業を中心に内需型企業には生産性の向上が課題である。ロボットの利用、ビッグデー
タや人工知能の活用などに期待したい。
〇政権基盤を固めたい政策サイドの事情も追い風
足元のグローバル株式市場では、中国の景気対策への期待感や、米国利上げ先送りムード
などから、過剰なリスク回避ムードが和らぎ反発ムードが出てきた。国内では11月の郵政グ
ループ上場では、一般個人投資家資金の株式市場への導入が期待される。16年夏には参議院
選挙が予定される。17年4月には消費税再引き上げが控えており、脱デフレムードを確実にし、
成長期待を高める政策発動の公算が高い。
◇内閣支持率
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