政策サポートで底堅い日本株、企業業績にも底打ち感

マーケット展望
2016.8.8
ちばぎんアセットマネジメント 調査部
政策サポートで底堅い日本株、企業業績にも底打ち感
(作成者:奥村義弘)
○政策サポートに安心感
7月の株式市場は、英国のEU離脱を問う国民投票を巡る不安定なマーケットの状況から、
落ち着きを取り戻す形で反発した。中長期では、IMFの世界経済見通しが示すように、ブ
レグジットの影響で、米国、欧州、日本など先進国経済の下振れが懸念される。一方、株価
面では中国や新興国経済の一部に持ち直しの動きを好感する動きが見られた。また低金利継
続の可能性が高まった米国市場で反発の動きが強まった。日本市場も金融・財政政策の発動
など政策サポートへの期待感が高まったことなどが、マインド改善につながった。
○伸び悩んだ米GDPに過度な悲観は不要
8月の米国株は、高値圏ながら利益確定の動きも先行しやすいと考える。これは、米国経済
は堅調な経済指標の発表が続いており、年内利上げへの思惑も再び高まりやすいと考えるか
らである。4-6月期の実質GDP(1次速報)は、季節調整済みの前期比年率で1.2%増にとど
まり、1-3月期の0.8%増から上昇したが、市場予想の同2.5%増を大幅に下回った。ただ、内
容を見るとエネルギー関連の投資動向が鈍く、在庫動向にはブレグジットの短期的な悪影響
が響いたが、個人消費は同4.2%増と堅調であった。またアトランタ連銀のGDPナウキャス
トは7-9月期を同3.8%増と予測する。足元の低調は、一時的な要因が効いており過度に悲観
視する必要はないだろう。好調ぶりを示した7月の米雇用統計もこれを裏付けるものである。
○政策サポートが期待される日本株
日本経済は、熊本地震の影響で落ち込んでいた生産の回復が顕著となっている。しかし消
費マインドや物価を見る限り、足踏み状況が続いている。政府は8月2日の臨時閣議で事業規
模28兆円余りの経済対策を決定した。GDPで実質1.3%程度の押し上げを狙っている。今後
は、規制緩和や構造改革を推進し、前年度下半期0.21%の潜在成長率(日銀試算)を高めら
れるか、実行力が問われよう。
7月29日の日銀決定政策会合で、日銀のETF買い入れ額が3.3兆円から6兆円程度に増額さ
れたことは、株価へのインパクトが大きい。年初からの株式需給をみると、売り越し基調が
続く海外投資家に対して、金融機関、事業法人の買い越しという図式が続いている。年始か
ら7月第4週までの海外投資家の現物の売りはネットで4兆6,121億円に達した。相場が反発し
た7月も海外投資家の積極的な買いは手控えられており、今回の政策決定会合で決まったET
Fの買い入れ増額は、国内年金資金のリスク資産への投資増加の動きとならび、相場をサポ
ートする要因として意識されよう。
○日経平均の予想レンジは1万5,500円から1万7,500円
日本株の動向は、円相場に左右されることも多くその動きには注意を払わなければならな
い。4-6月期決算の発表では輸出関連を中心に、年後半の為替前提を実勢に合わせてドルで100
円から105円程度の水準に、仕切り直す企業が増えた。一方コスト削減等に取り組む企業も多
く、業績は想定以上に底堅い印象である。例えば、半導体関連には受注好調が目立つ企業が
多い。また年後半は海外の自動車関連投資にも様々な引き合いが出てきており注目できる。
政策期待の高い経済対策関連のテーマ株や、売り込まれてきたバリュー株などにも選別の矛
先が向かう可能性がある。一方で、これまで強かった内需グロース株を選好する流れは一服
している。銘柄選別は物色動向の変化にも注意を払いつつ行う必要があろう。8月の日経平均
株価は1万6,500円±500円を中心に、1万5,500円から1万7,500円のレンジを想定する。
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