No.214「薬の伝言板」

No.214 2015 年 9 月
丸子中央病院 薬局
下痢や便秘などの便通異常を伴う腹痛や腹部不快感が慢性的に続く病気で、IBS(Irritable
Bowel Syndrome)といわれます。20~30 代に多くみられ、現在のストレス社会
で増加している病気の 1 つです。
主な原因はストレスと考えられています。大腸がんや炎症性腸疾患とは異な
り、腸に目で見て確認できる炎症がないことが特徴です。
主な症状は便意を伴う腹痛や腹部膨満感です。腹痛は突然起きる差し込
むような痛み、または持続的な鈍痛のいずれかで、食事によって起こる
ことが多く、寝ている間は症状が起こらないことが特徴です。お腹が張
る、ごろごろする、ガスが出やすくなるなどの症状も多く見られます。
その他、頭痛、吐き気、不安感、抑うつ、疲労感、集中力の欠如など、腹部以外の症状も見
られます。
★下痢型
慢性的に下痢が続きます。腸のぜん動運動が活発になり、腸の内容物が急
に運搬されてしまうために起こります。便に粘液が混ざることはあります
が、血便になることはありません。胃に食物が入ると大腸が動きやすくな
るので、食事のたびに下痢が発生することもあります。男性に多くみられ
ます。
★便秘型
★下痢便秘
交替型
腹痛があり、便意はあるが便が出しにくく、ウサギの糞のようなコロコロ
した便が特徴です。腸のぜん動運動が低下し、大腸のS状結腸という部分
に異常な収縮運動が起こるために便がせき止められて起こります。女性に
多くみられます。
下痢が続いた後に便秘が起こるなど、下痢と便秘が交互に起こります。
過敏性大腸炎の治療は大きく分けて①生活、食事の改善②薬物治療
③心理医学的治療の 3 つがあります。薬物治療に使用される主な薬
剤を紹介します。
消 化 管 機 能 イリボー
調整薬
下痢型に使用される薬です。腸の働きを抑えるセロトニ
ンという神経物質を抑えることで下痢や腹痛、腹部膨満
感などの症状を抑えます。当初は男性のみの適応でした
が、現在では男女問わず使用できるようになりました。
高 分 子 重 合 ポリフル
体
コロネル
下痢便秘交替型に使用される薬です。食物繊維のような
高吸収ポリマーでできており、消化管内で水分を吸収し
膨潤、ゲル化することで、腸の内容物の輸送を調節し下
痢を抑え便秘を改善します。
抗コリン薬
トランコロン
イリコロンM
消化器の動きを抑え、下痢型の治療に用いられます。
緩下薬
マグラックス
センノシド
便を軟らかくしたり、大腸に刺激を与えて排便を促した
りします。
整腸薬
ラックビー
ビオフェルミン
腸内細菌の乱れを整えます。
過敏性
腸症候群
炎症性
大腸がん
大腸
腸の
病気
腸疾患
感染性
便秘や下痢は誰もが経験するもの
であり、珍しくはありません。それ
ゆえに病気であると気が付きにく
くなってしまいます。便通異常には
大きな病気が潜んでいることも考
えられます。お腹の不調でお悩みの
方は医療機関にご相談ください。
腸炎
憩室炎
痔
文責
薬局 小林 吉池