心房細動は肺静脈から起こる

位 置 を決定 し、NAVXマ ッ ピングシス テム の コ ン ピュー タ画 面上 に表
示 す る。 この 計測 は、約 10msecに 一 度 の 頻 度 で行 われ、 リアル タイ
い不 全
心房 細動 は激 しい動悸症 状 を呈 す るだけ では な く、脳梗 塞 や ′
ム で カテ ー テル電極 の 動 き に追 従 す る。最 大 の 利点 は、す べ ての電 極
とい った重 篤 な疾患 を 引 き起 こす不整脈 で あ る。心房 細 動 はそ の 病態
カテー テル に 対応可能 であ り、 しか も複数 の 電 極 カテー テル にお け る
に よ り治療 戦 略が異 な って くるが、今 回 は非薬 物 療 法 であ るカテ ー テ
複数電 極 す べ ての位置 が計測 可能 であ る。 これ らの電極 カテ ー テル を
ル アブ レー シ ョンによる根治療法 につ いて述 べ る。
心腔 内で移動 させ る と、各 々の電 極 の軌 跡 が記録 され、 これ らを立体
的 に レンダ リングす る ことで′
き臓立体画像 が画面上 に構築 され る。
アブ レー シ ョンは この 画像 をあ らか じめ撮影 しておいた心臓 CTの 左
心房 立体 画像 と重 ね 合わせ て肺 静脈 と左心房 の 位置 関係 を 正確 に半り断
1998年 、 ボル ドー の Halssaguerreら は発作 性 心 房 細 動 の 引 き金 と
な る心房期外収縮 の約
90%は 肺静脈起源 であ る ことを 報 告 した は献
1)。
その こ とか ら当初 の心 房 細動 アブ レー シ ョンは肺 静脈 内 の 異常 興 奮 そ
の ものを標 的 とす る方法 で行 われていたが、成績 は十分 ではなか った。
肺 静脈 狭窄 とい う重 大 な合 併症 も出現 す るため に、 しだい に肺 静脈 末
し、 アブ レー シ ョンカテ ー テル の位 置 を把握 しなが ら、 カテ ー テル 先
端 で記録 され た左 ′
ふ房電 位 や肺 静脈電位 を指標 に焼灼 を行 ってい く こ
ととな る。
隔離 され た肺静脈電位 は消失 した り(図
1)、
心房電位 とは全 く独立 し
た 調律 を示 す よ うにな る。 この よ うに心房 の電位 と肺 静脈 電位 を電気
梢 の トリガー を直接 狙 うの ではな く、それ よ りも もっ と心 房側 で肺 静
心房 と肺 静脈 を完全
脈 電位 と左心 房電位 の伝 導性 を絶 ち、電 気 的 に左 ′
に遮 断す る とい う肺 静脈 隔離術 が行 われ る よ うにな って きた。 この 方
法 で心 房細 動発作 が完 全 に消 失 す る人 が 出現 し、近 年、心 房細 動 の ア
ブ レー シ ョン (肺 静 llFR隔 離術 )が 全世界 で爆発 的 に行 われ るよ うにな っ
てきた。
L
B A
V
P側
I
品
醜
辮
¨
踵
ま
後壁 ごと大 き く隔離す る方法 (BOX隔 離術 )な どがあ る。
L
B
A
肺静脈 隔離術 につ いては方法が複数 ある。 4本 の肺 静脈 を個別 に隔離
す る方 法 (個 別 肺静脈 隔離術 )、 左右 の 2本 ず つ の肺 静脈 を ま とめ て大
、
き く隔離す る方法 (拡 大肺静脈 隔離術 )、 4本 の肺静脈 を ま とめて左 ′
こ
房
当初、心房 細動 の カテー テル アブ レー シ ョンは肺 静脈 に挿 入 した円
形 の電極 カテ ー テルの電位 を指標 に X線 透視下 のみ で行 われ ていたが、
、
これではその複雑 な左 ′
こ
房 ―肺 静脈 の解剖学 的位置 関係 を把握す る こ と
図 1 アブレーシ ョン中に肺静脈電位が消失 し、隔離が完成 した心内心電図
が難 しく、手技時間、透視 時間 も長 時間であ った。
肺静脈 を広範 囲 に左 心房 か ら隔離 しよ う と思 えば電 極 カテー テル だ
けを指 標 にアブ レー シ ョンを して いただけ では限界 が あ る。操 作 して
い るカテ ー テルの位 置 が カー ナ ビゲ ー シ ョンの よ うに左心房 の どこに
位 置 す るのか とい うのを把 握 で きれ ば非常 に有 用 であ る。 そ こで 登 場
3Dマ ッ ピン グシステ ム で あ る。近 年 CARTOや ENSITE
NAVXな どの 3Dマ ッピングシステムによ って、 よ り早 く正確 に心 房細
して きたの が
動 アブ レー シ ョンの手 技 を行 う こ とが で きる よ うにな って きた。最近
の肺静脈 隔離術 は 3Dマ ッ ピングシステムを用い て行 う施設 がほ とん ど
であ る。今 回は ENSITE NAVXを 用 いた肺静脈 隔離術 について述 べ る。
3対 の電 極 パ ッチ を体 表 の X、
Y、
Z軸 方 向 に装着 し、微小 な電流 を
通電 し、 各 々の軸 で心 腔 内 の カテー テル電 極 の電 圧 を 計測 す る。 パ ッ
チ 間 の電 圧 との比 に よ り、X、
Y、
Z軸 の 座 標 を求 め、体 内の空 間的 な
図 2 再発 した右肺静脈に対 して ENS「 E NAVXを 用 いて以前よ りも左心房側
で肺静脈隔離を行つている 3Dマ ッピング像
Kofun 」u12014
的 に切 り離す ことで肺静脈 隔離が完成す る。
ENSITE NAAIXの 画像 では、用 いてい る電 極 カテー テルや アブ レー シ ョ
に対 す るアブ レー シ ョンの 2年 後、 5年 後 の 非再 発 率 は単 回 アブ レー
シ ョンではわ ずか 37%、
29%で あ った。 これ は複数 回アブ レー シ ョン
63%と な ってい る 献3。 ハ ンブル グの グル ー
ンカ テ ー テル の 位 置 関係 は もち ろん、焼 灼 した 部位 も把握 す る こ とが
を行 うと改善 し、 81%、
できる (図
プ も発作性心 房 細 動患 者 のみ に 限 って も単 回 ア ブ レー シ ョンでは 成績
が不 良 であ るが 、 3回 目の アブ レー シ ョンを含 め る と 795%の 成績 で
あ る と報 告 してい る(文 献0。 これ らの研究 か ら、発 作性 心房細 動 で も長
期観察 では一 定 の 率の再発が存在す る とい うことと、複数 回 の アブ レー
2)。
ENSITE NAVXが あれ ば非常 に高 い確率 で、短 時間 に肺 静脈 隔離 が 成
功す る。
また、放射線被 曝量 の低減 に有用 であ るЭ
(文
シ ョンを 行 うこ とが 治療成績 の 向上 には必 要 であ る とい うこ とが わか
る。 今後 は さ らに効果 の 高 い新 たな アブ レー シ ョン法 の 開発 とともに 、
単回の肺 静脈 隔離術 で良好 な長期]成 績 を出 してい くこ とが 課題 とな っ
心 房細 動 アブ レー シ ョン治療 で注意 が必 要 な点 は、 た とえ、 カテー
て くる。
テル室 におい て肺静脈 隔離 が問題 な く完成 していて も時間経 過 と とも
、
に隔 離 され た肺 静脈 電 位 が左 ′
こ
房 と再伝 導 す る例 が少 なか らず 存在 す
文献
る とい う こ とであ る。責任 肺 静脈電位 が再 伝導 すれ ば もち ろん心房 細
文献 l Halssaguerre M.et al i Spontaneous initiation of atrial
動 が 再発 す る。
fibrillation by ectopic beats originating in the pullllonary
veins N EnglJ lVIed 339:659-666,1998
文南
犬2 WeerasoOriya R,et al i Catheter ablation for atrial nbrillaJon:
are results maintained at 5 years of f01low up?J Am Coll
一 般 的 に慢 性心房細 動 よ りも発作性 心房細 動 に対 す るア ブ レー シ ョ
ンのほ うが治療成績 は良好 であ るが、発 作性 ,こ 、
房 細 動 に対 して も単 回
Cardio1 571 1 60-166,2011
文献 3 0uyang F,et al:Long term results of catheter ablation in
の アブ レー シ ョンのみ で はか な りの率 で再発 が 認 め られ る こ とが長期
parOxysmal atrial ibrillation i lessons fronl a 5-year follow up
観察研究 で明 らか にな ってきた。
Circulation 1 22:2368-2377,2010
ボル ドー の グル ー プによる研究 では、心 房細 動患 者 (64%が 発 作性 )