本日の出演者 『ごあいさつ』 明けましておめでとうございます。本年もさらら寄席をご贔屓頂きます様、宜 しくお願い申し上げます。 去年からの年末年始と繁昌亭に出演しましたが、連日沢山のお客さんで賑 わっておりました。特に十二月三十日は立ち見でも入れない、大入り満員札 止めとなりました。楽屋一同「暮れの忙しい時に落語聞く以外にもする事あ るやろうに何で大入り?」と、その盛況ぶりに首をかしげておりました。 「世の中が不景気なら寄席は賑わう。」とか、「いや、バブルの時は芸人も 忙しかった。」とか聞きますが、いずれにしても「年末の気晴らしに寄席へ行こ う。」とか、「正月だから落語でも聞くか。」と思う習慣や文化があるからこその 盛況ぶりだと信じたいものです。 ある落語会のアンケートでは「誕生日のお祝いに聞きに来ました。」という何 ともうれしいコメントがありましたし、三年前の震災の被災地でも落語は随分 と喜ばれました。 様々な状況の、色んな人達に寄り添えるのが落語だと思います。吉事があっ た時にはその喜びを倍増させるために、もし良くない事があった時にはその悲 しみを和らげるために、さらら寄席に足を運んで頂けたら何よりです。 今年が皆様にとって幸多き一年であることを願っております。 桂 歌之助 『ちょっとした心得事・帯』 男物の帯には上下があります。例えば献上柄の角帯。献上 柄と言うのは、紺色等の地色の上に、間隔を空けて白線が三 本走っていて、その二つある間隔の一つに同じく白色の華皿模 様があるものです。この場合は華皿模様が上になる様に帯を締 めます。これには理屈があるそうで、華皿模様は目立ちます、それ が上になる方がその分足が長く見えるから。昔から足を長く見 せようという感覚があった事が興味深いです。また上等の帯にな ると、倍の幅の上下を二つに折った物があります。この場合はV 字に折って開いている方を上、閉じている方が下です。これは、下 が開いていると言わば底が抜けている、物事を受けられる様に 閉じている方を下にするというゲン担ぎなのだそうです。
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