桐生南高校図書館発行 H26.11.21 本の「帯」 皆さんは、本を購入するとき、何を見て「この本を買おう」と決めますか?書店に陳 列されている本で、まず目にするのが「帯」です。 「泣ける!!」とか、 「○○さん、推 薦!」など、 「帯」の文言に惹かれ、 「面白そう」と手に取り、 「読んでみようかな」と決 心する場合が多いと思います。 帯は、その小さなスペースに本の内容が集約された濃厚な言葉の集まりであり、帯を つくるには、本の内容を的確に把握していないと書けません。そのため、難易度は、 「読 書感想文」に匹敵するとも言われ、昨今、小学校や中学校の国語では、教材の内容理解 に活かし、「本の帯をつくろう」という授業が組み込まれているようです。また、自治 体や出版社による「本の帯コンクール」なども催され、「あなたの作った帯が巻かれま す」などというキャッチフレーズで人気を博しています。確かに、自分の作成した帯が、 人気の本に巻かれ、書店に並べられたら、うれしいですよね。 私は、過日、現役の編集者による「本の帯」つくりに関する講演を聴く機会があ り、また、実際、帯つくりに挑戦するワークショップに参加してきました。講師によ ると、本の表紙も帯も、誰を対象に読んでほしいか、ターゲットを絞り込んで作成す るそうです。私が選んだのは、 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹 著 角 川文庫)という小説でした。(桜庭一樹は『私の男』で直木賞を受賞しています。)以 前同書が、富士見書房から富士見ミステリー文庫として出版されたときは、表紙は二 人の少女を描いたアニメでした。これは中高生をターゲットにした「売り」です。今 回私が使用した角川版は、油絵のような表紙で、少し大人の世代を狙ったものになっ ています。そして、 「好きって絶望だよね」 という帯が巻かれていました。「好き」と「絶望」という相反する言葉に、まず、目が 衝撃を受け、「えっ?どういうこと?」と興味を惹かれます。それを踏まえ、私は、 「高校生の娘をもつおとうさん」が読みたくなるような「帯」 を作成してみようと作業にかかりました。作成してみて、実感!本当に難しかったで す。内容をどこまで、明かしていいのか、結末の分かるようなことを書いたら、読ん カオス でもらえなし…。言いたいけど、言えない、もどかしさとじれったさの混沌。そして できあがったのが、 「藻屑は、お父さんが大好きだったんだ!」 なんて、つまらないもの。自分でも創造力のなさに嫌気が差しました。一緒に作成し ていた同僚は、 「どうしようもなく出会ってしまった、ふたり」 (群馬県立勢多農林高校 沼野佳代司書作) という帯をつくり、「この小説の中で、一番表現したかったことです。」と講師に激賞 されていました。ひとつの小説にも様々な「帯」ができ、勉強になりました。 「本の帯つくり」を生徒による図書館活動の一環に取り入れてみるのもいいかもし れませんね。(U) その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」 を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に 絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官 を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡ん でくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっ ていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切 実な痛みに満ちた青春文学。(紀伊國屋書店 BookWeb より引用)本校図書館にあります。 吉村卓三 著 (ブックマン社) 鳥の図鑑はよくありますが、 「卵」と「巣」を主役にした図鑑は珍しいと思います。 まして、卵は実物大。一概に卵といっても、模様の入り方、模様の種類、形状と様々あ り、巣にいたっても同様、生息環境により、形状も営巣場所も異なります。庭先に来る ハクセキレイや、街路樹に喧しいムクドリなど、身近な鳥の様子も分かり、興味深くペ ージをめくれます。 同様に、『世界で一番美しい猫の図鑑』 (タムシン・ピッケラル著)『世界で一 番美しいイカとタコの図鑑』(窪寺恒己著)(エクスナレッジ)もきれいな写真で、 歴史や種類、生態が詳しく書かれていて時間を忘れて見入ってしまいます。(U)
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