民法予習編 第 5 回目 レジュメ ・無効と取消 ・無効 なんらかの法律行為が発生しそうな行為がなされているにもかかわらず、 何も法的効果が発生しない場合 意思を伴っていない場合 ⇒法的効果がそもそも発生しないので、 無効の主張は、いつでも、誰でも、主張できる <錯誤の場合> A B(表意者) (法律行為) 錯誤 法律行為に対応する意思がBにないので、法律行為は無効となるのが原則 この場合、AもBも無効主張できる ⇓ 原則修正 民法 95 条「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただ し、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主 張することができない」 ⇒表意者Bに重過失がある場合は、錯誤無効の主張はできない ただし、民法 95 条は表意者(B)を保護するための条文 ⇒Bが無効主張しないならば、Aが無効主張することはできない =相対的無効 無効とは ・絶対的無効(いつでも誰でも無効主張が可能) or ・相対的無効(無効主張に制限がある) ・取消 ex.行為能力が制限されている場合の取消や詐欺取消 とりあえず法律行為を成立させておいて、あとから、その法律行為をなかったことに する=法律行為の取消 取消される前の法律行為 ⇒不確定的有効である (取り消されるかもしれないし、そうでないかもしれない法律行為) ・民法 121 条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。」 ⇒一応有効であった法律行為が、あとから、取消すことによって、遡及的に 無効になる 法 律 行 為 事 実 行 為 と し て の (法律行為が無) 無効 取消 (法律行為が不確定的有効) 時間軸 ・追認 ・民法 122 条「取り消すことができる行為は、第 120 条に規定する者が追認したときは、以後 取り消すことができない。 」 ・ 「120 条に規定する者」=追認権者 ⇒追認権者が追認するならば、それまでに、不確定的に有効であった法律行 為が、確定的に有効であることになる 取り消すことができる行為が、さかのぼって確定的に有効になる ・無効な行為についての追認の場合 ・民法 119 条「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。」 ⇒無効の場合、不確定的有効ではなく、もともと無効 ⇒追認自体観念できない ・民法 199 条但書「ただし、当事者がその行為の無効であることを知って、追認をしたときは 新たな行為をしたものとみなす。」 ⇒追認をした時点で、その新たな行為がなされたと仮定することによ って、その法律行為を有効とする ⇓ 私的自治の原則により、事実行為としての法律行為の時点から、法 律行為を有効とすることができる =取消の場合の追認と同じように考えることができる ・民法 120 条 2 項「詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示を した者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。 」 瑕疵ある意思表示をした者 取消権者 その代理人 その承継人 承継人とは、 ・包括承継人 ・特定承継人 ・包括承継人 ex.相続人 民法 896 条「一切の権利義務を承継」 ・特定承継人 ex.売買の場合 ・民法 123 条「取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は 追認は、相手方に対する意思表示によってする。 」 ・民法 124 条 1 項「追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その 効力を生じない。 」 追認すると法律行為が確定的に有効となるので、 そのための前提条件が必要。 ⇒それが、 「取消しの原因となっていた状況が消滅した後」 =制限行為能力者の、その制限が外れた場合 Ex.未成年者が成年者になった場合 ・民法 124 条 2 項「成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、そ の了知をした後でなければ、追認をすることができない。 」 ⇒成年被後見人は自分がどんな行為をしたのか、記憶していない可能 性がある。よって、その行為を了知した後でなければ、追認し確定的 に有効とすることはできない。 ・民法 124 条 3 項「前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人 が追認をする場合には、適用しない。 」 ⇒本人を法的に代理する者については、判断能力が法的に認められてい るので、1 項のような制限はない。 追認とは ・明示的 に行うことが可能 ・黙示的 ・民法 125 条「前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行 為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、 異議をとどめたときは、この限りでない。 」 1 号「全部又は一部の履行」~6 号 = 法定追認 ・民法 126 条「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によ って消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。 」 ⇒取消権が一定の期間の経過によって消滅する ←法的に不安定な状態を放置しておくことは社会的の好ましくない (レジュメここまで)
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