平成 27 年 9 月 特 別 区 長 会 「税源偏在是正議論についての特別区の主張(平成 27 年度版) 」<概要> はじめに 国は、三位一体改革以降の地方財政の衰退を都市と地方の財政力格差問題にすり替え、国の審議会等でことさら問題視してきました。平成 26 年度税制改正においては、自治体間の財源調整の 手段として、地方税である法人住民税法人税割の一部を国税化し(地方法人税の創設)、その全額を地方交付税の原資とする見直しを強行しました。 また、骨太の方針 2015 では、消費税率 10%段階において「地域間の税源の偏在を是正する方策を講ずる。」としており、以前の税制改正大綱から更に踏み込んだ表現となっています。特別区 は、高齢者施策をはじめとした大都市特有の膨大な需要を抱え、900 万人の人口や多くの企業を支えるため、法人住民税は極めて貴重な財源です。 税源偏在は地方交付税で調整されるべきです 特別区の影響額 △600億円 法人住民税の国税化 地方交付税等 <問題点> (平成 28 年度から平年度化) ①法人住民税は、法人の地域での活動等を支える行政施策の財源として負担 を求めるものであり、その財源の国税化は受益と負担に基づく応益課税と いう地方税の原則を歪める 消費税 10%段階 ②地方分権の流れに大きく逆行 で更に拡大 ③国の本来行うべき財政調整機能の放棄 《地方交付税等による収入の均衡化》 「全国平均を 100 とした場合の指数(人口一人当たり) 」 122 128 北海道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神奈川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和歌山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿児島 沖 縄 全国平均 法人住民税の国税化は地方税の根本原則を歪めます 154 133 135 122 124 ☞法人住民税は自治体固有の財源であり、その地域の行政施策に使われるべきです 93 94 94 東京都22位 73 76 ふるさと納税は本来の趣旨に立ち返って考えるべきです 113 76 115 112 114 ふるさと納税 126 124 112 100 地方税収額 86 82 98 97 地方交付税等 93 85 90 96 118 ・人口一人当たりの 収入を比較する と、東京は 22 位で ほぼ全国平均 141 162 103 96 110 131 ・地方交付税財源の 4 割超(約 4 兆円) ※は、東京から納 められた税 106 107 145 89 119 118 ※ 平成 25 年度 国税徴収状況 107 116 117 122 0 50 104 100 100 150 200 ☞地域間の税源偏在については地方交付税で調整されており、人口一人 当たりの東京の収入はほぼ全国平均です <問題点> ①過剰な返礼品の見返りを受けた住民のみが実質負担減となり、その他の住民 は減収分の行政サービスの低下を甘受しなければならない不公平が生ずる ②ワンストップ特例により本来、所得税分として控除される税額が個人住民税 に振り替えられ、自治体の減収幅が大きくなる 特別区の影響額 △24億円 (平成 27 年度寄附金 税額控除額) 28 年度以降も更に拡大 ☞寄附を建前としながらも税源偏在是正の目的が垣間見え、また各自治体の返礼品が 過熱しているため、本来の「ふるさと」を応援するという趣旨に立ち返るべきです 代替財源なき法人実効税率の引下げは、将来に深刻な影響を及ぼします 法人実効税率の引下げ <問題点> ①地方法人課税は、応益負担に基づく地方自治体の重要な財源 ②全地方自治体の歳入に影響の無いよう確実な代替財源の確保が必要 ③租税特別措置の見直しや課税ベースの拡大が必要 特別区の影響額 △91億円 (代替財源措置が無く、国税を基に 実効税率を 1%引下げた場合) ☞法人実効税率の引下げは国の責任において確実な代替財源を確保し、地方に影響を 与えないようにすべきです 特別区は首都の暮らしや企業活動を支えています 特別区は大都市特有の膨大な行政需要を抱えています 特別区の役割 特別区の行政需要 (万人) 事 業 所 数 (事業所数) 600,000 昼夜間人口の比較 1,400 特別区年少人口の推移 (千人) 夜間人口 500,000 1,020 1,000 人口の集中 400 960 79,451 100,000 71,838 895 200 特別区 横浜市 名古屋市 京都市 大阪市 953 354 神戸市 226 147 158 267 154 特別区 横浜市 名古屋市 京都市 企業の集中 従 業 者 数 大阪市 920 d 全国の事業所数の約 1 割(56 万 事業所)が特別区に集中し、国土 の 0.1 % の 面 積 に 総 人 口 の 約 7%、900 万人が生活 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,192,422 1,428,600 1,385,648 2,000,000 726,835 1,000,000 708,951 21 22 23 24 25 26 横浜市 名古屋市 京都市 大阪市 保育所待機児童数の推移 (人) 30,000 26,275 25,556 25,000 20,000 待機児童 24,825 22,741 21,371 19,550 15,000 特別区 全国 10,000 5,000 神戸市 110.0 100.0 27年度 32年度 37年度 42年度 47年度 52年度 高齢者人口(指数) 22年度=100 (年度) 4,613 4,885 4,506 4,314 5,279 5,666 3,016 0 特別区 115.2 22年度 20 25,384 6,000,000 120.0 124.0 0 900 7,211,906 7,000,000 126.9 100.0 神戸市 8,000,000 125.0 113.5 500,000 160 131.2 121.5 122.5 0 (従業者数) 1,000,000 940 257 369 0 130.0 118.6 946 338 140.0 1,500,000 968 963 125,663 139.3 128.4 300,000 600 150.0 2,000,000 980 129,226 全国高齢者人口(指数) 2,500,000 1,013 1,000 800 153.5 特別区高齢者人口(指数) 1,004 昼間人口 400,000 208,777 160.0 特別区高齢者人口(人数) 1,027 1,171 1,200 高齢者人口の推計 (人) 3,000,000 1,040 563,665 200,000 高齢者 0 ・全国の年少人口が減る中、特別区の 年少人口(0~14 歳)は増加 ・都内保育所の待機児童数は全国的にも 突出。特別区で約 5,700 人 ・高齢者数は平成 27 年からの 25 年間で 70 万人の増加 200 万人→ 270 万人 (全国の高齢者増加数の 15%) 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 ☞特別区は日本の首都に集中・集積する企業等の経済活動や、そこで働く 方々・家族の生活を支え、日本の社会・経済の牽引役を果たしています 特別区は行財政改革を率先して進めています 行財政改革 ☞特別区は大都市特有の膨大な行政需要を抱えており、「子育て支援対策」 や「高齢者対策」、「防災・減災対策」などの課題が山積しています 特別区は全国各地域との更なる連携により共存共栄を目指します 特別区全国連携プロジェクト 現在の取組状況 行政のスリム化 職員数の推移と削減による効果 人 60,000 65,000 70,000 75,000 80,000 81,739 12 対前年度削減数 13 各年度―12年度 79,569 77,191 14 74,929 15 72,632 16 17 70,603 18 68,925 1,678 67,308 1,617 19 65,789 1,519 20 64,621 1,168 21 2,029 12年度から20,616人を削減 平成25年度削減効果 1,482億円 平成12年度比較(単年度ベース) 62,801 842 24 61,983 818 25 年度 2,262 2,297 63,643 978 22 23 2,170 2,378 61,123 860 住民サービス の向上 ・特別区の職員は、政令市や 中核市よりも少ない人員で多く の課題に対応 →人口 1,000 人あたり職員数 ・特別区 3.9 人、政令市 4.3 人、中 核市 4.2 人 ・職員数の削減等の行財政改革で捻 出した財源⇒区民要望に応えるた めの施策に活用しています ☞特別区は徹底した行財政改革を行い、行政のスリム化を図るとともに、限り ある財源の中で住民サービスの向上に努めています (1)特別区全国連携プロジェクト連絡会の設置 (2)取組事例 ①東北六魂祭 2015 秋田への協力・連携 ②雪の活用 ③北海道町村会との意見交換会 (3)ホームページの開設 ①掲示板機能を活用した新たな連携・交流 事業の展開 ②本プロジェクトに賛同し会員登録した自 治体が閲覧・書き込みが可能 ☆8/31 現在、プロジェクト賛同自治体全国 176 市町村 東北六魂祭「協力・連携締結式」 ・更なる連携・交流事業の拡大 ・特別区と全国各地域の新たな連携 ・東京を含めた全国各地域の活性化 ☞自治体間が対立し財源を奪い合う構図は、本来の地方自治の姿ではなく、今、 必要なことは、東京を含む全国各地域が、活き活きとしたまちづくりを進め、 ともに発展・成長しながら共存共栄を図っていくことです
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