さぴあ賞 コケシちゃん 主張とわがままの曖昧な境界線 Y・M くん 5年 「 わ た し も、 い ろ い ろ し た よ。 う そ つ い た こ と、 何 度 も あ る し、 友 だ ち を、 泣 か せ た こと、ある。ほかにもいろいろあると、思う~中略~でもね。わたしは、見かけとか、 言葉とか、家族のことで、だれかをからかったことない。からかったあと、いやー な気分に、なるもの。」 スイスで育った日本人の体験入学生コケシちゃんこと京の言葉。この様に、いつも冷 静に主張する京は、僕から見てもまぶしいほどです。周りを気にして主張できない主人 公のくるみも、感情むき出しのガキ大将出井も、そんな京に気後れしていました。四年 一組の彼らが、意見をぶつけ合いながら心の壁を打ち破り、協力し、一枚の大きな絵を 描き上げるという物語。それが「コケシちゃん」です。 僕 は、 く る み 同 様、 自 分 勝 手 と 思 わ れ る の が 嫌 で、 主 張 そ の も の を 諦 め て き ま し た。 意見とわがままの境界線がはっきりしていない学校内で、濡れ衣を着せられ、当事者た ちよりも激しく叱責されたり、大量の反省文を書くはめになったりすることが多々あり ます。 最近、突然責められた事がありました。 A君がからかわれて傷ついている」 「 と。僕には、無実であるという確信があったのですが、突然の冤罪に動転していました。 「えっ、違う、からかってない。」 と主張しました。冤罪を晴らさなくてはクラスにいられないと思ったからです。勇気 を振り絞り、からかっていたのは僕ではなくてB君だと証言したのです。するとすかさず、 「ウソついてんじゃねぇよ!」 B 君 の セ リ フ。 結 局、 僕 の 証 言 は、 誰 の 心 に も 届 か な か っ た だ け で な く、 聞き慣れた ウソつきの烙印まで捺されてしまいました。 その後、僕は、多くの関係者から疑われ、避けられるようになりました。それからは、 誰も受け止めてくれないような気がして、ますます自己主張が嫌になってしまいました。 ど う す れ ば 自 分 の 意 見 を は っ き り 伝 え ら れ る の で し ょ う か。 正 当 な 自 己 主 張 と わ が ま まの「境界線」とは一体どこなのでしょうか。 それは、京と出井に象徴的に表れていました。京の主張は論理的。意見ははっきり言 いますが、スイスで意地悪され傷ついた経験がある為、人を非難することはありません。 一方、出井の言動は、感情的。ストレスをぶつけてきます。二人の違いは論理性、相手 と周囲へ配慮する謙虚さ、困難を乗り越えるための努力にあると分かりました。この三 つの光が、京の主張に説得力を与えていたのです。 僕の改善点は、冤罪への怒りを整理できず、感情的だった点と、事実を重視するあまり、 相手への配慮を失っていた点。この二点です。誤解を減らす為に、衝突し、悩み、傷つ く事を恐れず多面的に物事を見る努力をしながら「主張とわがままの曖昧な境界線」を 手探りしていこうと決意しました。もう諦めないぞ。
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