29 日立化成の価値創造プロセス マテリアリティ報告 事業 新事業・新製品の創生 基本的な考え方 日立化成は、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神 成の継続的な成長のコアとして不可欠のものであり、 をもって、化学を超えた「新たな価値」 を創造し、社会 長年培ってきた広範な技術基盤を基に、リソースを効 やお客さまの期待を超える「驚き」 を提供することをグ 率的に投入しアウトプットに結びつける研究開発体制 ループ・ビジョンとし、社会や市場の潮流を俯瞰し、10 のもと、お客さま、社外研究機関などとの協業も活用 年以上先のニーズを見据えて新製品・新事業の創生に し、各種施策を推進しています。 取り組んでいます。新製品・新事業の創生は、日立化 日立化成の特徴 プロジェクト化による、経営層直下の研究開発マネ の研究開発プロジェクトを推進しています。 ジメントで、新規事業創生を強化・加速させています。 また、既存事業の次期大型新製品の早期立上げの 既存事業の延長線上に無い大型新規事業を創出する ために、エレクトロニクス、電池事業を中心に N e x t - X ために、筑波総合研究所が中心となって、環境・エネ プロジェクトと名付けた 14 プロジェクトを、研究所・ ルギー分野、ライフサイエンス分野、社会インフラ分 事業部開発部門が一体となって専任体制で推進して 野における Super-X プロジェクトと名付けた合計 8 つ います。 研究開発体制 Super-X・Next-X プロジェクトの推進 新事業本部 マーケティング グループ 筑波総合研究所 社会・技術 潮流分析 マーケティングセンタ 知的財産戦略室 先端技術 探索 新事業推進センタ メディカル事業ユニット Super-X プロジェクト (新規事業) Next-X プロジェクト (既存またはその延長線上の事業) 2014年度の取り組み アイドリングストップシステム車向けの 化技術、高耐久性技術の開発に成功しました。 次世代鉛バッテリー技術を開発 高容量化技術: ( I S S ) 車向けに、容 電極に使用される電池活性物質を多孔質にするこ 量・耐久性を高めた次世代鉛バッテリー技術を開発し とで、電解液との接触面積を増やし、5%の容量拡大 ました。 を実現。これにより、エンジンの始動性が高まるほ アイドリングストップシステム ※1 I S S は燃費改善、C O 2 削減による環境負荷低減など の目的で多くの自動車に採用されており、グローバル レベルで急激に市場が拡大しています。日立化成は、 2010 年よりI S S 車 向 け鉛 バッテ リーを販 売しており、お客さまか ら高 い 評 価 を い た だ い てきまし た。そして今日、日立化成の強み で ある材 料 加 工 技 術 などを活 か し、ISS 車用鉛バッテリーの高容量 Annual Report 2015 か、自動車の電気負荷増に対応します。 高耐久性技術 : 特殊な不織布を従来のセパレータと併用すること で、電極の上下で電解液の濃度が異なるために起こ る電極の劣化現象 ( 成層化 ) を抑制させ、バッテリー の耐久性 200% ※ 2 増加を実現します。 ※ 1車両の停止・発進に合わせて、エンジンの停止・スタートを自動的に行うシステム ※ 2当社現行 ISS 車用バッテリー比較。当社基準の PSOC( 部分充電状態 ) 条件の耐久 性試験において上記性能を確認しました。 日立化成の価値創造プロセス 性能を一段と向上させた 象が発生していました。UVB-ACF は FPD ガラス基 2 種類の新たな異方導電フィルムを開発 板の反りを従来比で 50%低減でき、基板のさらなる タブレットPC やノートパソコン、液晶テレビなどの 薄型化に貢献します。 フラットパネルディスプレイ(FPD) に広く使われてい る回路接続用異方導電フィルム(ACF) は、日立化成 (2) 高精細化に対応する PAL-ACF ( 粒子超分散配置型異方導電フィルム ) が世界に先駆けて開発した回路接続用材料です。 高精細化、いわゆる回路のファインピッチ化に関 日立 化 成は、さらなる薄 型 化と高 精 細 化に対 応 して、流 動 性を制 御した接 着 剤 中に導 電 粒 子を均 するため、基盤技術である機能性樹脂・硬化剤設計 等・均一に分散配置させ、粒子密度 ※も従来比 54% 技術と、粒子分散プロセス技術を応用し、2 種類の 低減させたチップ・オン・グラス用新型 ACF を開発 A C F の新製品開発に成功しました。今後も高度な しました。 技術と新製品の開発を通じて、FPD のさらなる発展 ※粒子密度:垂直方向から光を照射し投影される、単位面積あたりの粒子の数 に貢献していきます。 30 製品構造比較 液晶パネル 項目 チップ 従来 ACF PAL-ACF( 新製品 ) 導電粒子 配置状態 フレキシブル 配線板 ACF タブレット PC 製品構造 (断面模式図) 製品構造 (実装断面写真) (1) ガラス基板の薄型化に対応する UVB-ACF (UV 照射型異方導電フィルム ) 基板が薄型化すると、ドライバー IC チップとFPD 実装外観写真 ガラス基 板との 間で温 度 (接続面積 1,200μ㎡) 差 が 発 生しや すくなりま ②顕微鏡画像 ①微分干渉顕微鏡画像 す。従来の ACF で実装に ①対 向 電 極に 捕 捉された粒 子 数 にばらつ きがある 必要な加熱温度では、FPD ガラス基 板に反り( 歪 み ) ②隣 接 電 極 間 に存在 する粒 子が 凝 集しや すい ①対 向 電 極 間 に捕 捉された 粒子数が多く、 ばらつ きが 極 めて少ない ②隣 接 電 極 間に存 在 する 粒子が 均 一に 分 散 されて極 めて 凝 集 し に くい が発生し、この結果、FPD FPD ガラス基板反り量(µm) の色調が不均一になる現 製品外観 (UV 保護の防湿袋を採用) KPI コーポレート所属研究開発人員比率 30 25 (% ) 100 20 最大 50% の反り低減を実現 15 80 60 10 UVB-ACF 5 0 90 100 110 150 ACF 実装温度(℃) 160 実装条件 IC チップ : 0.9mm×20mm×0.2mmt ガラス基板 厚み 0.2mmt, ITO-Metal 電極 170 情報通信 ライフサイエンス 基盤技術など 19 180 20 0 16 24 3 12 24 26 45 47 2012 2013 40 従来 ACF 80 環境・エネルギー 7 20 57 2014 Annual Report 2015
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