神社の格付け

上田郷友会平成 27 年 5 月例会
2015.5.8 北村尚巳
神社の格付け
日本には現在、神社本庁*の管轄だけでも約8万の神社が存在する。「神社」を名乗る
ところが圧倒的に多いが、なかには「神宮」や「大社」の社号が付くところもある。
神宮や大社は、神社とどこが違うのだろうか。
ほんそう
*神社本庁(じんじゃほんちょう)は、神宮(伊勢神宮)を本宗とし、日本各地の神社を包括する
宗教法人。
神社本庁は最大の神社統括組織だが、唯一の組織ではなく、他団体に属する神社も数多い。また
包括団体への加盟・離脱は各神社の選択によるため、有力社・古社・地域の中小神社にも、神社
本庁の傘下に属さない神社(単立神社)がかなりの比率で存在している。
有名な神社であっても、神社本庁との被包括関係を有せず、単立宗教法人として運営される場合
がある。 例:鎌倉宮・靖国神社・日光東照宮・伏見稲荷大社など(出典:ウィキペディア)
1.“格付け”されていた神社
(1)今でこそ神社本庁の下、
「規模の大小はあっても、すべての神社は平等」ということにな
っているが、第2次世界大戦が終わった 60 余年前まで、神社の世界には「社格」という
名のランク付けがあった。
神社にお参りに行くと、神社名の横に「旧官幣大社」「旧国幣小社」などと表示してある
のを見られる。これが戦前の社格。
(2)今日「近代社格制度」と呼び習わされる社格ができたのは、1871(明治4)年。
政府が国内すべての神社を対象に、大きく官社(官幣社と国幣社)、諸社(府県社と郷社
と村社)、無格社に等級分けした。
上位の官社のなかでも官幣社は国幣社より格上とされ、別表の官幣大社を頂点とするヒ
エラルキーが形成された。
ただし、皇室の祖神・天照大神を祀る伊勢の神宮だけは「別格」として、社格の枠外に
据えられた。
(3)ちなみに、神宮の「宮」という呼称は天皇や皇祖の神々を祀る神社に使われることが多いが、東
照宮のような例外もある。
一方、大社の「社」は神社の略称。文字通り解釈すれば、大社は「大きな神社」ということになろう。
神仏習合時代には、「大明神」や「大権現」という社号もあった。
2.「氏神神社」と「崇敬神社」
(1)氏神神社とは地域の氏神様を祀る神社であり、住所地により氏神神社は決まっている。いわば、
常日ごろから守ってくださっている最も身近な神様だ。
(2)これに対し崇敬神社は、氏神神社のような地縁や血縁でなく、個人的な信仰心から崇敬される
神社を指す。神社によっては氏子を持たず、専ら「崇敬会」によって維持されているものもある。
3.なぜ伊勢の神宮は「別格」なのか?
古来「最も尊い」神社とあがめられ、近代社格制度にも唯一組み込まれなかった伊勢の神
宮。数ある神社のなかでもこの神宮が「別格」とされてきたのは、ひとえに祭られる祭神
1
の格の高さによるものだという。
伊勢の神宮とは、三重県の伊勢湾岸の4市
(伊勢・鳥羽・松阪・志摩)、2郡(
、2郡(渡会・
多気
多気)にわたる内宮および外宮と、別宮、摂
)にわたる内宮および外宮と、別宮、摂
社、末社、所管社合わせて 125 の神社群の
総称だ。内宮に天照大神(あまてらすおおみ
かみ)、外宮に豊受大神(とようけのおおか
み)を祭る。
(1)「神宮」といえば、本来は
「神宮」といえば、本来は伊勢の神宮のことを
「神宮」といえば、本来は伊勢の神宮のことを
指す。「神宮の社号が付く神社がいくつもあって紛らわしいため、便宜上『伊勢神宮』と呼ばれて
いるだけで、正式名称は『神宮』である。
いるだけで、正式名称は『神宮』で
。
(2)伊勢の神宮以外で神宮を名乗るのは、長きにわたって茨城の鹿島神宮と千葉の香取神宮だけ
伊勢の神宮以外で神宮を名乗るのは、長きにわたって茨城の鹿島神宮と千葉の香取神宮だけ
だった。これは両社が平安時代の権力者、藤原氏とその祖先の中臣氏の氏神だったことが大き
いようだ。
(3)明治以降は皇室とゆかりの深い神社で社号を神宮に変更するところが増え、さらに第2次世
明治以降は皇室とゆかりの深い神社で社号を神宮に変更するところが増え、さらに第2次世
明治以降は皇室とゆかりの深い神社で社号を神宮に変更するところが増え、さらに第2次世界
大戦後には北海道神宮など3社が神社本庁の承認を受けて改称した
かくして現在 20 社以上ある神宮のなかには、伊勢の神宮以外に“特別な神宮”もあるという。
「皇室との関係でいえば熱田神宮。歴代天皇に
受け継がれる三種の神器の一つ、草薙の剣をご
神体とする点で特別です」。
また、創祀(そうし)からわずか 90 年の新興神社
にもかかわらず、初詣だけでも例年 300 万人とい
う参詣者を集める明治神宮は、“人気面で突出し
た神宮”といえるだろう。
4.本社と総本社、分社と摂社と末社はここが違う
本社と総本社、分社と摂社と末社はここが違う
(1)「本社」とは一定の神域内の中心となる神社を指す。では「総本社」は?
)「本社」とは一定の神域内の中心となる神社を指す。では「総本社」は?
ほかの神社から祭神の霊を分けてもらうことを勧請といいますが、勧請はその神の根源とされる
神社から行うケースが大半。総本社は、根源の神が祭られた勧請元の神社のこと。
例えば、稲荷神社の総本社は伏見稲荷大社で、八幡神社の総本社は宇佐神宮。
(2)勧請先が「分社」で、一から新設し、総本社から分霊した神を祭る。
)勧請先が「分社」で、一から新設し、総本社から分霊した神を祭る。
神社に詣でると境内にごく小さな神社を見つけることがあるが、本社に付属するそうした小規模
な神社のうち、主祭神と縁の深い神を祭ったのが摂社、それ以外を末社と呼ぶ。
戦前の旧官国幣社においては摂社と末社とを区分する
戦前の旧官国幣社においては摂社と末社とを区分する基準があり、摂社は末社より上位とされ
基準があり、摂社は末社より上位とされ
ていましたが、現在はそれもなくなった
ていましたが、現在はそれもなくな た。
*摂末社(せつまつしゃ)とは、神社本社とは別に、その神社の管理に属し、その境内または神社の附
近の境外にある小規模な神社のことで、摂社(せっしゃ)と末社(まっしゃ)と併せた呼称である。枝宮
(えだみや)・枝社(えだやしろ)ともいう。
(えだみや)・枝社(えだやしろ)ともいう。(ウィキペディア)
(ウィキペディア)
出典:正月に知っておきたい神社の「常識」
正月に知っておきたい神社の「常識」 ―日経おとなのOFF
日経おとなのOFF(
(日本経済新聞
日本経済新聞 Web)
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