企業年金連合会 資産運用諮問委員会 議事要旨

企業年金連合会 資産運用諮問委員会
議事要旨
1.日時:2015 年 2 月 2 日(月) 13:30 ∼ 16:30
2.場所:企業年金連合会
特別会議室
3.出席者:
臼杵委員、喜多委員、坂本委員、引間委員、四塚委員、村瀬理事長、濱口運用執行理事
他3名
4.議題:
① 運用状況について
② 連合会年金資産運用の総括と今後の課題
5.議事要旨
・2014年度(4-12 月)の運用状況について、前2年度に引き続き2桁の収益率となっ
ており、好調なパフォーマンスを受け、資産残高は12兆6千億円強とこの間キャッ
シュアウトであったにもかかわらず、ほぼ2005年度末の水準まで増加していること
を報告した。また、11月26日に政策アセットミックスを変更し、内外株式の基準値
を12%高めることとしたが、もともと変更を見越して高目の比率を維持していたこと
もあり、代行債務ヘッジの状況などを見極めながら、徐々に基準値へ移行する基本的な
考え方を示したうえで、今年度のリバランスの状況について報告を行った。更に、マネ
ジャー・ストラクチャーの状況、リスク・ファクター分析に基づくポートフォリオの
トータルリスクの状況について説明を行い、運用方針に基づく運用が行われていること
を確認いただいた。
・現委員の任期における最後の委員会となることから、これまでの運用を総括し今後の課
題等について検討を行った。運用の振り返りとして、資産配分規制の適用除外を受けた
1996年度まで遡って定量面での分析、評価を行った。この間の投資環境を概観し、
代表的な国内機関投資家のパフォーマンスとの比較を行い、これまでの運用に対する取
り組みの経緯を総括した。
・また、定性面からの総括も行い、運用の目標、投資哲学(投資信念)、投資プロセス、
ガバナンス体制、リスク管理体制などについて改めて確認、検証を行った。その中で、
政策アセットミックスの策定方法や考え方とその変遷、マネジャー・ストラクチャーの
構築方法やマネジャーの評価・選定方法、資産管理体制、運用のチェック体制、情報開
示、災害時の業務継続体制などに言及し連合会の資産運用に関しての総点検を行った。
・過去のパフォーマンスは、厳しい投資環境の中にあっても、代表的な国内機関投資家の
中では比較的良い結果で、特に超過リターンが安定的に獲得できており、運用報酬や事
業費などのコストを差し引いても、付加価値額が確実に積み上がっていることを確認し
た。
・これまで国内の投資家としては、先進的に様々な取り組みを行ってきており、このよう
な取り組みから得られた実務的な知見を広く共有できるような情報開示のあり方につい
て検討することの重要性が指摘された。
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6.主な質問、意見等
・新しい政策アセットミックスへの移行やリバランスについて、代行債務をヘッジするた
めには、代行債務の評価の基準となる厚生年金本体利回り、すなわち運用を行っている
GPIFのポートフォリオの状況が把握できないと代行債務をヘッジすることができな
いが、GPIFの情報は四半期ごと2か月後の開示であり、タイムリーに把握すること
ができない中で、どうやってヘッジするのか。また、GPIFも連合会も基準値までの
移行が完了すれば、その後のリバランスは安定的に行うことができるのか指摘があった。
・ポートフォリオの移行については、GPIFの内外合わせた株式比率が9月末で36%
弱となっており、基準値は合計50%なので14%も増やすことになり、巨額の資産規
模から14%の買い増しには相当の時間がかかるものと思われる。一方、我々は40%
弱の内外株式比率を45%まで引き上げることになるが、5%程度の買い増しであり慌
てて基準値への移行を行う必要はないと考えていることを説明した。
・また、例えば代行ヘッジすべき株式比率に5%の違いがあり株価が30%変動したとし
てもその影響は1.5%であり、積立水準が105%を超えている現状では、1.5%
の変動があったとしても財政上致命的な問題になることはないので、慌ててリバランス
する必要はないことから、タイムリーではないが、GPIFの運用状況を確認しながら
移行を行っていくつもりであることを説明した。
・エマージング債券運用について、外部の運用機関に委託せずインハウス運用で行ってい
る理由について確認があり、外部の運用機関に委託した場合、エマージング債券運用の
運用報酬が高いことに加え、外部運用機関に委託するとベンチマークを意識するあまり、
リーマンショックのようなことが起きると、割安になった銘柄を我慢できずに損切りし
てしまい、その後のリバウンドを取り損ねるといったことを考え、外部に委託せずイン
ハウスで運用することにしたことを説明。これは、実際にリーマンショックの時、外部
の運用機関がクレジットを売り込まれた割安な価格でどんどん損切りしてしまうのを、
長期的視点からインハウスが現物移管で受け保有し続けることとした結果、その後の相
場の戻り局面で回復し損失を回避できたということがあった。エマージング債券の投資
を行うなら、長期運用の視点と、年金資産全体の中における位置付けという視点から、
年金資産全体を長期的観点で判断できるインハウスで運用すべきと考え外部に委託して
いないことを説明した。
・パフォーマンス評価は、リスク対比で分析する必要があるのではないか。モデルでトー
タルリスクのリスク・ファクター分解をしているのであれば、その配分されているリス
ク・ファクターに対してパフォーマンスが得られたかどうか、リスク・バジェティングの
観点からも分析してはどうか。
また、オルタナティブ投資についても、リスク対比で投資している効果が得られている
のか検証してみてはどうか。それぞれの投資の目的に沿った評価を行い、達成できてい
るかどうか検証することが必要であるとの指摘を受けた。
・トータルリスク・モデルは、パフォーマンス要因分析の機能を有しているが、現在はそ
の機能は契約していないので分析できないこと、オルタナティブ投資については、各資
産クラスの代替としての位置付けで投資しているので、各資産の中に含め資産全体とし
てベンチマークとの比較を行い評価していることを説明した。ファンドごとの評価も当
然内部で行っているが、時価の問題や特殊性から、個別に分析したものを開示はしてい
ない。分析方法も含め、今後の課題とした。
・これまで先進的な取り組みを行っており、全体としてはパフォーマンスも良かったとい
うこともあるので、これまでの取り組みで得られた知見をもっと広く伝えていってはど
うか。他の機関投資家にも情報を提供することは、年金資産運用の業界にとって有意義
ではないかという意見を頂いた。
以上
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